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『アマゾンの秘密』 ダイヤモンド社 松本晃一

アマゾンへのリンクアマゾンの秘密
松本晃一
ダイヤモンド社
2005.1.28

 以前に『アマゾン・ドット・コムの光と影』 という本を読みました。秘密主義のAmazonの内幕を潜入取材によってレポートする本で、劇的なスクープはなかったものの興味深く読めました。

 今回読んだ『アマゾンの秘密』はアマゾンジャパンの立ち上げに関わった人物が当時を語った本。著者は技術寄りの人物らしく、経営や物流の話はほとんど無く、Amazonのwebサイトがどのように機能しているか、が中心。
 Amazonの正規の社員ではなく、アドバイザーとして参加していたので内情を綴った本を出せたのかもしれません。正規の社員になるとかなり厳重な守秘義務が課せられてしまうようです。

 印象に残った部分をいくつか引用します。

しかし実際には警戒されることはあっても、敵対的に扱われるということはほとんどなかった。しかも、出版社で窓口になってくれた担当者からも、会社を離れた書籍を愛する一個人としては、むしろアマゾンが日本の慣習を革新してくれることを望んでいる、という発言が予想以上に多く飛び出した。
『アマゾンの秘密』P.73より

 昨日の日記で取り上げた『出版大崩壊』にも関係のある話です。アマゾンジャパンが動き出す前に各出版社を回った時のエピソードだそうです。選りに選って、出版社から業界の旧弊打破を期待されるとは。すでに出版業界には自浄能力がなくて、外圧に頼るしかないのでしょうか……。

 アメリカ文化らしい大ざっぱなエピソードもあります。ABテストと呼ばれているらしいAmazonの社内実験の話です。

 さてカスタマーレビューのABテストではコンテンツから一切のカスタマーレビューを取り去ったものと、普通にカスタマーレビューが掲載されているものを、一定期間、同時にエンドユーザーに提示することによって、カスタマーレビューの存在が商品購入に対して意味を持つのかどうかが記されていた。
『アマゾンの秘密』P.87より

 Amazonユーザーを実験台にしてテストを行っているわけです。アクセスする人ごとにレビューがあったりなかったり。日本の企業だとこういうことは「ユーザーを混乱させる」「問い合わせが殺到するだけ」とやらせないだろうな、と感心させられました。

 そうそう。Amazonのカスタマーレビューには一万円くらいの価値があるそうです。

 この本はAmazonのヨイショ本です。『アマゾン・ドット・コムの光と影』のようなルポとしての視点で書かれたのではなく、アマゾンジャパンを立ち上げた当時を振り返った成功談が綴られています。内実が明らかにされないAmazonの貴重な情報ではありますが、インパクトはあまり無いかな。

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