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『宇宙で地球はたった一つの存在か』松井孝典

リンクはAmazonへ宇宙で地球はたった一つの存在か
松井孝典
ウェッジ選書
2005.12.25
1470円

★★★☆☆

 おもしろかった……けど、なんだかすっきりとしなかった本。
 松井孝典、毛利衛、田近英一、長沼毅という四人から、おそらくは「普遍性」というテーマで原稿を集めた本。個々の知識、たとえばスノーボールアースや太陽系の惑星たちの内部構造についての解説は楽しいのですが、それらの最先端の科学知識と普遍性というテーマとの結びつきが今ひとつ説得力を欠いてしまいます。
「ちょっと視点を変えれば普遍も特殊もないんじゃない?」
という風に。
 実際、話の中のあちこちで普遍が成立するのかあやふやだと言わんばかりに「普遍」は相対化されて「特殊」になったり、逆の道筋を辿ったりします。そして最終章では文明の普遍性というものが取り上げられるのですが、具体的な科学の知識を飛び出して文明論になった途端に理路が整然としなくなり、唐突な結論がぽこりと浮かび上がって混乱するはず。
 テーマの検討が十分に熟成していない印象です。

 クオリア、利己的遺伝子、構造主義生物学。具体的な法則性や数式化も検証も不可能なアイデアのようなものが人気があるようですが普遍性というテーマもこれらに通じる検証不能な代物に思えます。とても胡散臭い。
 もちろん、著者達はバリバリの正統派の学者で、この本は論文ではない軟らかい読み物なのですから堅苦しく考える必要はないし、先端科学知識の紹介については文句なしに素晴らしく面白いのですが……。

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