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『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』ピーター・D・ウォード

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ピーター・D・ウォード著 垂水雄二訳
文藝春秋
2008.2.15
2350円

★★★☆☆

 おもしろかった。
 でも、文章がひどかった。

 原著のタイトルは"Out of Thin Air"。訳者の説明では「薄い大気のなかから」という意味だそうです。う~ん。日本版のタイトルは恐竜ファンにわかりやすく訴えていますが、原タイトルの方がロマンチックな言い回しに思えます。
 適者生存を訴えたダーウィン、偶然の生き残りを強調したグールド。そしてこの本では進化と絶滅の原動力をひたすら酸素に求めます。カンブリア紀の進化の大爆発からペルム紀の大絶滅、白亜紀の恐竜の絶滅とその後の哺乳類の台頭までを酸素濃度の変化とその適応によって説明します。
 科学というのは概ね還元論的です。生物学ではダーウィンの進化論以来、次の世代の生物学をリードするパラダイム(学者達が共有する学問の常識)を打ち立てようと様々な進化論が登場してきました。利己的な遺伝子論などもその一部ですね。たったひとつの原理に収束させて、生物の進化を、仕組みを説明しようと試みられてきました。けれど決定打がないままでした。
 この本で書かれているのは酸素進化論とでも言うべき意欲的な進化のメカニズム提案です。面白いぐらいに気持ちよく、過去の生物の盛衰を説明していきます。酸素が濃ければそりゃ動物は元気いっぱい、酸素が薄ければ青息吐息、ととてもわかりやすい説ですし、酸素濃度の変遷に伴う呼吸器の発達の説明もナルホドナルホドと頷けます。

 でも。
 冒頭で書いたとおり、文章がひどいです。

ここで提案したいのは、頭足類の殻が、任意の時間単位あたりに鰓表面を通過する水の容積を大幅に増大させる高圧水流をつくりだせる、単板類のような形状を授けられた祖先種によって進化させられたのではないかということである。

 一節を抜き出してみました。超絶スパゲッティ文です。訳者の責任ではないでしょう。訳者あとがきでは読みやすい文章で全体の要約があります。至る所、上記の引用のような文章でいっぱいです。読むのが苦痛なくらい読みづらいです。crying
 内容的には面白かったので四つはカタいかと思ったのですが、あまりの読みづらさに減点。S.J.グールドは偉かった……。
 原著では図解も少なめだったようで日本版では図が増えているそうですが、それでもまだ足りない印象でした。特に一番盛り上がる“恐竜は気嚢を持っていたか論争”に終止符を打った?とされる論文の紹介で、その含気骨の図解がないのは納得行かないゾ。

 文章のアレさ加減に我慢できる人にオススメ。
 内容的には難解ではありませんが、目がすべるので読むのには時間がかかると思います。

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