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『町田健のたのしい言語学』町田健

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町田健
ソフトバンクパブリッシング
2004.12.7
2625円

★★★☆☆

 タイトルの通り、読んで楽しい言語学の本でした。
 でも、少しがっかり。

 言語学の対象とする内容、細分化されたジャンルの紹介、ソシュールの構造主義言語学紹介、細かな要素から文法の解説。おおよそ、大学の教養課程で取る言語学概論の講義に相当する内容だと思います。丹念にじっくり、用語が新登場するところではノートを取りながら先へ進めていけば品詞の分類や文法についての知識が得られるでしょう。この点では読んでいて楽しかったです。

 でも、最後の章。「第五章 言語学と情報処理」にはがっかり。ものすごーくアバウト。

 こうして、文が使われる状況を理解し、記憶している知識を使うことで、状況が予測させる内容とは無関係の内容を現す文が、実際に現す別の意味を理解することができるようになります。
(中略)
 けれども、十分な量の知識を記憶しておかなければ、人間が普通に使う文の意味が正しく理解できないことは確かなのです。

『町田健のたのしい言語学』,p277-278,町田健,2004.12.7

 と書いて「知識をシステムに記憶させること」の必要性を訴えるのですが、これが無理だから現代の人工知能研究の成果が見えてこないのではないでしょうか。「フレーム意味論」に該当するものだと思うのですが、第五世代コンピュータの開発で単なる推論マシンを570億円もかけて作って、でも上で動かすべき人工知能(AI)が一つもできませんでした、という結果が十五年も前に出ているのに2004年の本で「知識ベースを作れ」ってのはあんまりのような。その記述方法が皆目見当がつかないからカタコトでも実働するAIが現存しないのでは……。
 言語の知能処理にはシニフィアン(記号)とシニフィエ(内容)の対応の恣意性を表現するような動的で曖昧な知識ベースを大量の文章から自動的に生成していくようなシステムが必要なのでしょう。そんな研究の紹介でも見られるのかな、とわくわくしながら最終章を読んだのですが。う~ん。残念。

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