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『家守綺譚』梨木香歩

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梨木香歩
新潮文庫
2006.10.1
380円

★★★★☆

 読んだと思っていた本なのですが積ん読本の山から出てきて、ページを繰ってみたら初読でした。しかも「なんで読み損ねていたんだ、ばかばか」と思う面白さ。
 刺激的な話ではないのですが、読み始めると止まらず、読み終えてしみじみ良かったと思えるお話でした。

 梨木香歩は何を読んでも面白い。

 時代はいつ頃でしょうか。電気がまだ引かれ始めたばかり、場所は登場する地名からすると琵琶湖周辺の山中で、昭和の初めくらいでしょうか。自家用車もテレビ――どころかラジオも登場しません。そんな舞台に、駆け出しの貧乏作家が留守宅の家守を任されて、というところから物語が始まります。植物の名前が冠された短編、というよりはショートショートと言ったボリュームの話が淡々と連ねられ、一つのまとまった物語を構成していきます。連作短編、です。サルスベリ、都わすれ、ヒツジグサと二十八の植物にまつわるお話。

 梨木香歩の話はいつもどこか懐かしい。『西の魔女が死んだ』でも『裏庭』でも『りかさん』でも時代設定以前に、登場する人々の醸す空気がノスタルジィを含みます。たぶん、きっと、時代を未来に設定してもこの人の書く物は“古き善き時代”の香りが漂うのでしょう。

 ああ『沼地のある森を抜けて』も読んでない。
 読まねば。

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