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『c-Japan宣言』曽根原登他

c-Japan宣言 情報を糧とした日本の未来ビジョン
曽根原登・東倉洋一・小泉成史
丸善ライブラリー
2008.3.8
798円

★☆☆☆☆

 ゼロでもいいような気がしました。
 情報爆発が起きているそうです。なるほど、ネットの帯域が増えるに従って通信量はたしかに増えていそうですが、爆発しているのは通信量? あるいは他の何か? それとも専門家としてそんな気がするだけ? 情報爆発を示すグラフひとつありません。
 日本は千年来の世界有数の「心の国」だそうです。根拠として万葉集、源氏物語、蜻蛉日記が例に挙がります。世界中を見渡してもその頃に素晴らしい文学を生み出していた国は他にはないことになっています。ギルガメッシュ叙事詩なんて紀元前二千年以上に遡りますがなかったことになっているみたい。そもそも「心の国」と日本の古典文学との繋がりも示されてませんが。
 メタデータの必要性を訴える節の中にはDRLM(デジタル著作権ライフサイクル管理システム)というのが紹介されていて、人気度で無料から有償へ切り替わるコンテンツ配布形態が紹介されています。タダであったものが内容が一切変わらずに有料化する――そんなあざとい公平感のないモデルが成功するのでしょうか。GIF特許で儲けようとした例を思い出しました。

 この本が情報科学の成果であるというなら情報科学など不要と思えてしまいます。陳腐で、科学的手続きを踏まない占い同然の現状認識と未来予測。「知識」を扱わざるを得ない分野なので手探りなのは仕方がないにしても、××が必要だ、という主張すべてに渡って根拠を説明する姿勢が皆無。(好意的に解釈するならスカスカ字詰めの本では書ききれなかっただけでしょう) ちっとも心に響いてこない政治家の演説のよう。

 日経サイエンス2008年8月号の読書欄に紹介されていたので期待して読んでみたのですが大ハズレ。西垣通の本みたいなのを期待したのにな。あ、今年の三月に西垣通の新刊が出てたんだ。読まねば。

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