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2008年10月の15件の記事

『SF Japan 2008 Spring』

SF Japan 2008SPRING
徳間書店
1680円
2008.3.31

 先日読んだ『宇宙細胞』『黒十字サナトリウム』の選評が気になったので掲載誌を探してみました。Amazonは「SFJapan」だと見つからず。「SF Japan」でないとヒットしないんですね。ちょっと見つけにくい。

 『宇宙細胞』の戦闘シーンではやはり選考委員も『寄生獣』を連想したようで同じことが書かれていました。投稿時点から大幅に修正されたのでしょう、選考座談会で欠点として挙げられていた部分はきっちり解消しているようです。選評とは「ん、違ってるんじゃないかな?」という部分がけっこうあった気がします。
 同様に『黒十字サナトリウム』ではオチのまとめ方に手が入ったのかな? 『黒十字サナトリウム』の後書きからするとかなり加筆されたようなのですが、変更前の状態は一般の読者はわからないので、たぶん、となります。

 そしてこの号には大賞受賞の両作者による短編が掲載されていました。
 『宇宙細胞』の黒葉雅人の「メイド・イン・ジャパン」は少し古いイメージのミクロの決死圏というか攻殻機動隊のナノマシンの解説というか、受賞作もそうですがやっぱりどこかで見たイメージの集合という印象。センス的には1990年代、いやもしかすると70年代あたりまで遡っちゃいそうなんですが、たぶん意識しての昭和賛歌ではないと思います。ちょっとがっかりな感じ。
 『黒十字サナトリウム』の中里友香は「逆十字入門」。これは受賞作の番外編でした。本編と同様、ゴシックロマンの香りたっぷり――だけどやはりSFではありませんでした。ファンタジーかホラー系列の賞の方が評価が高かったのではないでしょうか、この人。

 日本SF新人賞の選考座談会も大賞二作と合わせて読んでみると「なるほど」と納得の内容でした。受賞者自身の言葉もあって、特に『宇宙細胞』の作者の「ネットにも繋がっていない古いパソコンで書いた」というあたりに懐古調?の単語センスの源を感じたのでした。

 雑誌全体の印象はいまいち……。
 全体的に「SF的転回」を目指したっぽい短編が多くて星新一や小松左京、筒井康隆の後継なんだなと感慨も湧いたのですが、今時『ウルトラジャンプ』なり『アフタヌーン』なりの少年・青年漫画誌を開けばその半ばはSF設定の話な訳で、負けてないかい?と思ってしまいます。『SF Japan』だけでなく『S-Fマガジン』でも印象は同じなのですが。舞台は宇宙だったり、未来だったりして、SF的なアイデアも投入され、お話としてきっちり完成していて水準も高いのに、サイエンスの香りがしません。なんというか、科学自体の思考方法が感じられないのです。むしろSFの始祖たるジュール・ヴェルヌの方が科学的アプローチの意志が明確でSF度は比較にならないくらい高い気がします。この百年間はなんだったのか。
 作家的にSF度の低そうな恩田陸が一番面白かったり、四コマ漫画がアイデアのキレが良かったり。それでいいのでしょうか。

 がんばれ和製SF!

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『黒十字サナトリウム』中里友香

『黒十字サナトリウム』
中里友香
徳間書店
2008.9.30
2100円

★★★★☆

 表紙というか帯というか、徳間のSF赤本シリーズは不思議な装丁なのですが、幅広帯のイラストが内容をよく表しておりました。表紙買いおっけー。文章はたまに「単語の意味が微妙にずれてない?」と思うこともあるのですが、ぐいぐいと引き込む力があります。饒舌な文体で描かれるイメージは鮮やか。最初の一ページで「いける!」と手応えがあるはずです。日本SF新人賞の受賞作でこんな印象を持てたのは初めてかもしれません。
 文体は文学的、というか時折読んでいる者を置き去りにしそうな形容が現れます。が、そのぎりぎりの所を見極めている感じでとても読みやすく心地良い文章なので心配は無用。

 ジャンル的にはSFではなくゴシック小説だと思います。さらに細かいジャンルを書くとネタバレになりそうなので伏せますが。著者が自ら『SF Japan 2008 SPRING』掲載の受賞コメントで表明しているように萩尾望都の影響の窺える雰囲気で、かつゴシック。ホモとロック抜きのアン・ライス的世界、かな。冒頭こそ日本でのエピソードですが近代ロシア世界が舞台となります。登場人物たちのネーミングから察するに、著者はソ連時代のクラシック音楽も愛しちゃってるのかもしれません。BGMにはショスタコーヴィッチやプロコフィエフ、ハチャトリアン、ストラヴィンスキーが合う気がします。キラキラした金属弦のヴァイオリンとロシア音楽ならではの金管の響き。そんな感じです。そうそう。ふと思ったのですが、ヒロインのレイナには黒いファーの帽子が似合いそう。メーテルの被っていたような。

 文章に引き込まれても、キャラクターに魅せられても、たぶん最後のオチは賛否両論となるでしょう。私は背筋にぞわりときて「おおお!」となったのですが、唐突と感じる人もあるはず。ミステリのようなかっちりとしたロジックでの仕掛けではないです。

 巻末には『SF Japan 2008 SPRING』に掲載された短編「逆十字入門」も収められています。

 この著者の次の話もぜひ読んでみたいと思ったのでした。

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招き猫@豪徳寺

 招き猫Watchも少し間が開きました。

ボイス・オブ・マネキネコーズ GR DIGITAL F2.8 1/100sec ISO64 -0.3EV

 時折見かけるタイプのカジュアル系招き猫。ビー玉をお供にしていることが多いデザインで、真上から撮るととても楽しげに写る招き猫たちなのですが、今回は低めから。天から何かを呼んでいるみたいに見えないこともない……かな。

ウルトラニャン GR DIGITAL F3.2 1/160sec ISO64 -0.3EV これはもうセリフは決まっている感じです。

『ジョワッ!』

しあわせの黄色い招き猫? GR DIGITAL F2.4 1/80sec ISO64 -0.3EV 最近地道に奉納所での勢力を増しつつある「しあわせこいこい」系招き猫。額のハンコも最初は持ち主が押したのかと思ったのですが、最初からこういうデザインのようです。

ニャージャージー種 GR DIGITAL F2.4 1/80sec ISO64 ミケ柄の招き猫はどことなくニュージャージー牛っぽい模様にも見えます。木漏れ日が背景で綺麗なリングになってくれました。コンデジだとこのくらいの接写でないとふんわりボケてくれないのが残念。
 この招き猫は美人ですね。
 少しおかめ風というか、ふっくらしもぶくれ顔かな。

招き猫用座布団 F2.4 1/40sec ISO109 -0.3EV 時折座布団付きで奉納されている豪徳寺タイプ招き猫を見かけていましたが、お寺の入口の花屋さんで売られていたとは思いませんでした。手書き案内書きの右下にある赤いが実物サンプルのようです。らぶりー。

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『軌道エレベータ』石原藤男・金子隆一

軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋
ハヤカワ・ノンフィクション文庫

★★★★☆
※リンクは復刊された早川版で感想は裳華房版のものです。

 本の紹介というよりは日記・雑談です。

 軌道エレベータのことを調べたくなって持っているはずのこの本を探したのですがどうやら押入の中らしく見つからず。図書館から借りてきました。Amazonはリンク貼った時点では古本が3000円以上とかアホな値段になってますね……。BOOK-OFFならこの年代の本は100円コーナーなのに。宇宙ネタの資料としては評価が高いのに絶版、ということでプレミア価格なのでしょうか。

 軌道エレベータは三万キロ超の構造物で重力との戦いがあるために材料がネックとなります。何もぶら下げないケーブルを垂らすだけでも現在の材料では自重でちぎれてしまうのです。ウィスカーとかカーボン・ナノ・チューブとか未来の材料候補は色々ありますが、とりあえず現状では静止衛星軌道と地表を直接繋ぐエレベータは実現不能なようです。
 だからSFの素材になりうる、わけなのですが。
 『軌道エレベータ』の概要は

  • 静止軌道からワイヤー
  • 巨大な吊り鈎が降りてくるスカイフック
    • その派生型の超音速スカイフック
  • 低軌道で中に流体ぐるぐるの軌道リングシステム
    • その派生型の部分軌道リング

 こんな感じで派生型の解説が少し寂しい気もしましたが、基本的なアイデアの解説と歴史紹介がしっかりしているので軌道エレベータ本の決定版として高い評価が与えられているのも納得です。

 ちと脱線ですが英語版Wikipediaやら軌道エレベータ関連で名前の出ている学者のサイトを眺めてみたらPaurl Birch's Pageに軌道エレベータの詳しい記事がありました。論文、というかレポートかな。ポール・バーチはORS(軌道リングシステム)の発案者です。さすが元ネタ。『軌道エレベータ』にも紹介のあった"Orbital Ring Systems and Jacob's Ladders"の原本でした。いいもの見つけました。

 オリジナルの軌道エレベータを考えてみようと思って調べ直していたのですが、1997年のこの本以降、新しいアイデアは出ていないようで、ネットを眺めてみても日本語圏では目新しい情報は見あたりません。何の実効性も無さそうな建設計画開始宣言だけ。英語圏の情報は"space elevator"とか"orbital ring"とか"sky fook"で検索にヒットする上位5ページ分くらいはざっと眺めてみたのですが、語学力の問題もあり、今ひとつ有益な最新情報が拾い出せませんでした。基本的にシンプルなアイデアであるだけに、材料の壁があるとそこで進展が止まってしまう、ということなのかもしれません。

 2009年12月追記。
 最近では破断長が35000km以上なのではないかと言われるCNTも出現しつつあるようです。

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『テンペスト』池上永一

テンペスト 上 若夏の巻
テンペスト 下 花風の巻
池上永一
角川グループパブリッシング
2008.8.28
各1680円
★★★★☆

 面白かった。
 読んで良かった。

 池上永一の新刊です。
 陳舜臣の、というよりNHK大河ドラマの『琉球の風』……よりちょっと下った清国崩壊の時代を池上永一が描くとこうなります、という大作。読み応えたっぷりでした。ちょっぴりユーモラスに、ちょっぴりファンタジー風に、どことなくあっけらかんとしながらもさりげなく残酷さもある南の国の物語。現代的な、少し砕けた表現が多いので堅めの言葉遣いが好きな歴史ファンには馴染みにくいかも。ジャンルとしては歴史ファンタジーになるのかもしれませんが、伝奇モノの要素もあります。 『バガージマヌパナス―わが島のはなし』の頃の鮮烈さは(私が沖縄話に慣れてしまったのか)やや薄らいだ印象ですが、綿密な調査の上に構築されたと思われる物語の密度のぐっとくること。沖縄出身者らしい故郷への愛もたっぷり。魅力的なキャラクターにめまぐるしいイベントの連続。琉歌の数々。ボリュームたっぷりの物語ですが、読み始めたら途中で本を置きたくなくなると思います。
 このお話、ヒロインは真鶴ですが、作者に愛されていたのは強烈なアクのある聞得大君(きこえおおきみ)かもしれない、とちらりと思ったのでした。

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10月の百合コミック

十月の購入コミック  『コミック百合姫 2008年 12月号』『半熟女子 1』(森島明子)『クローバー』(乙ひより)の三冊を買ってきました。画像は猫写真状態ですが。

 「ストロベリーシェイクSweet」も今回が最終回ということで今後は寂しくなりそう。作家の新陳代謝も激しいですが定番作家の連載ばっかりにはしないという事かな。
 今回から登場の藤生と青山あるとの二篇はどっちも楽しく読めました。藤生はこれまでの百合姫作家陣にはいなかったタイプ?

 『半熟女子』は春頃の予告ではケータイ配信で連載なのかと思っていたのですが、実質丸々書き下ろしの単行本。ほぼ同時にケータイ配信も始まるようですが、ベッドシーン多めのこのお話をケータイで電車の中とかで読むのは一種のプレイではないでしょーか。
 濡れ場を意味あるシーンとして物語に組み込んでいて、著者らしい表現に好感が持てます。青春と性と同性愛にまじめに取り組んでいる印象、は百合姫に描いている人は概ねそうですが、雰囲気だけで押し切らずにセクシャリティを扱う姿勢は森島明子らしさかな。

 『クローバー』は百合姫に掲載されていた連作短編の単行本化。美鳥と杉浦ペアの短編が新たに書き下ろされています
 『百合姫』本誌も裸やベッドシーンが普通に登場するようになってきましたが、乙ひよりはあくまでも純正少女漫画路線。単行本で追加された短編でも朝チュンです。でも、この著者で濃厚なベッドシーンを読みたいとは思わないのでたぶんこれで正解なのでしょう。

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『BEST WRAPPIN' 1996-2008』EGO-WRAPPIN'

BEST WRAPPIN' 1996-2008
EGO-WRAPPIN'
2008.10.15
3200円

★★★★☆

 すでに持っている曲ばかりだったので迷ったのですが、大好きな曲でぎっしりだったので買ってみました。アルバム単位で聴くのもいいけれど、好みの曲が連なっていてこっちのが愛聴盤になりそう。

 安いラジカセで聴くと単に「あ、いい感じ」のJazz調Popsですが、再生環境を良くしていくと「ハイハットの音、しびれるぅ」「ハモニカ気持ちいぃ」「エレキギターってこんないい音がするんだ……」とどんどん心を蕩かすポイントが見つかっていきます。曲も演奏も録音も、日本ではあまりない、クォリティにとことんこだわった有数のグループがEGO-WRAPPIN'。

 ベスト盤なのですでにアルバムをすべて持っている人にはコレクターズアイテムのような気もしますが、公式サイトで試聴してこれからEGO-WRAPPIN'を聴いてみようという人には勧めやすい気もします。でもこの『BEST WRAPPIN』が気に入ればどうせ全部揃えたくなるからアルバムかシングルから買ってみるのがお得な気も……。

 DVDのついた初回限定版はネット通販ではどこも売り切れのようですが、ほどほどの大きさの実店舗を回ればまだありそうです。

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福島正実記念SF童話賞・経過1

 先日投稿した福島正実記念SF童話賞の岩崎書店から投稿原稿の受領葉書が届きました。
 届いたことが確認ができると安心できます。今回は普通の定形外郵便で送ったのでEXPACK500みたいに配達記録が参照できなかったこともあってありがたい配慮でした。

関連記事

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『宇宙細胞』黒葉雅人

宇宙細胞
黒葉雅人
徳間書店
2008.9.30
2100円

★★★☆☆

 『黒十字サナトリウム』とともに第9回日本SF新人賞に輝いた本書。常の感想ではやらないのですが、今回の感想はネタバレを含みます。

 読み始めてほどなく「どこかで見た」感じに首をかしげました。なんだっけ、と記憶をたどると

  • 映画『遊星からの物体X』
  • コミック『風の谷のナウシカ』
  • コミック『寄生獣』
  • 小説『ブラッドミュージック』

 これらが思い浮かびました。イメージ的にはかなりストレートな感じです。たぶん著者は安永航一郎とかも好きなんだろうなぁ。

 読んでいて困ったのは登場する生き物の形がよくわからなかったこと。「正面から見ると三角形で上から見ると丸」って円錐……なのかな。登場するクリーチャー・人鳥(ペンギン)の説明です。他にも爪蛸(つめたこ)とか説明を読んでも形がピンときません。図解が欲しかったかも。鳴き声からはウルトラ怪獣を想像しましたが。こんなの→(V)o\o(V)フォフォ

 全体の八割を占めるのはヒロイン・舞華の物語なのですが、最後にお話のスケールが一変します。その豹変ぶりが爽快で「ああ、SFなんだ」と腑に落ちました。いえ、全般、生化学ネタは山盛りでSFらしさは十分なんですが、このスケールが一変する最後の部分がなければSFとしての印象はかなり弱かったはず。

 一方でこのまとめ方は谷甲州の『パンドラ』やグレッグ・ベアの『ブラッド・ミュージック』のエンディングに据えてみても違和感がない気もしてしまいました。万能オチ、かも。スケールの落差が舞華の物語との乖離を感じさせた、ということかな。

 科学知識面での突っ込みは意地悪くしようと思えばいっぱいできそう……なのは大抵のSFで同じかと思いますが、科学者が巨大な単細胞生物を「ありえない」と驚いていたりするのは「むむ?」かな。単細胞の粘菌でも(多核ですが)林ひとつ丸々にはびこった推定体重100t超の個体がいたりするようです。

 

 一気に読めて楽しめたのですが、ダイレクトに元ネタを連想してしまうシーンに抵抗があったのと、文章が少しばかりなじみづらい部分があったのでは少なめとなりました。

★ ★ ★

 追記。
 ヨソの書評はどんなものかな、とgoogleブログ検索で探してみたのですが、内容について触れていたのは一カ所だけ。(2008.10.15 22時現在)

神なる冬 [SF] 宇宙細胞

 あまりにも話題になってなさ過ぎて心配になってしまいます。日本でたった二つしかないSF専門の新人賞の大賞で新刊なのに。

 googleブログ検索以外でも探してみました。(2008.10.23)

悪漢と密偵 黒葉雅人『宇宙細胞』
浪費日記 宇宙細胞

 近いうちに同大賞の『黒十字サナトリウム』も読んでみる予定です。→感想記事書きました (2008.10.28)
 選評の載っていた『SFJapan』の感想記事もあります。(2008.10.29)

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『童話を書きたい人のための本』上条さなえ

童話を書きたい人のための本
上条さなえ
角川学芸ブックス
1365円
2008.8.30

★★

 私には悪い癖があります。後出しで調べ物をすることです。デジカメを買ってからそのカメラの評判を調べたり、新人賞に応募してから「小説の書き方」みたいな本を読み始めたり。今回も例に漏れず童話の新人賞に投稿してから泥縄?の童話創作本。
 次回への勉強と思って読んでみたのでした。

 結論から言えばこの本は私に合いませんでした。

 「書くことによって癒される」

 格好いいです。素敵な感じです。でも私は「癒される」という受け身の言葉が大嫌いです。「癒し」を売りに童話制作を勧めるのなんてみのもんたが勧める健康法みたいでとても気持ちが悪い。
 とアレルギーを起こしたのですが、書かれている内容は王道的な「出版できるかどうかはわからないよ。お話を作るのは楽しいよ。続けていけば必ず上達するよ」といった内容でした。でも具体的なハウツー本よりも著者の創作動機や出版までの経緯を語る部分が中心かな。
 「癒し」以外にも性に合わない部分が多くは少なめですが、単に好みが合わなかっただけで内容的には童話創作を志す人には役に立つと思います。

 ハウツー本は好みが大きく出てしまうものなのだな、と改めて思ったのでした。

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『魅せる写真術』伊藤美露

魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル
伊藤美露
MdNコーポレーション
2079円
2007.5.19

★★★☆☆

 ちぐはぐな写真技術解説本でした。

 私にはお馴染みの豪徳寺の招き猫奉納所のカットが三つほど使われていたのですが、いまひとつおもしろみのないカットでした。他にもちっとも美しくも印象的でもないカットがちらほら。解説項目に合った効果が得られているように見えなかったりするサンプルも。
 一方で「うわ。きれー」と思うカットもあって、掲載されているサンプルのレベルが「別人が撮ったんじゃないの?」と思えるくらい開きがあります。その開きがちぐはぐ感に。

 メカニカルな解説からテクニックの解説まであるのですが、これ、すでに理解している人が読めば「なるほど」と思っても右も左もわからない初心者には何が書かれているかさっぱりわからないと思います。記述が難しいのではなく、サンプル素材がいまいち解説にジャストフィットしていないのと詰め込み過ぎ……の気が。

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招き猫@豪徳寺

華やか招き猫 GR DIGITAL F2.8 1/125sec ISO64 -0.3EV なんだか賑やかな招き猫。「しあわせこいこいやってこい」のセリフが書かれた招き猫は以前にも見たような。シリーズ化されているのでしょうか。
 赤地に白点が散っているのは裃(かみしも)っぽい形ですが、着物の色の合わせ方は十二単風。帯も女帯っぽいかも。少し不思議なデザインですが可愛いからおっけーかな。ミニ招き猫が五匹もくっついて、カラフルなのは風水っぽい?

招き猫四兄弟 GR DIGITAL F2.4 1/124sec ISO64 -0.3EV 同系統の招き猫が四匹まとまって並んでいました。この一角だけ豪徳寺じゃないどこか違う招き猫寺のようです。

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変形菌? カビ?

朽ち木の上のミニドーナッツ GR DIGITAL F2.4 1/30sec ISO130 -0.3EV

 先日来、朽ち木があるような場所へ行くとついつい変形菌の子実体はないかな、と目を凝らしてしまいます。比較的どこにでもいる生きもののようなのですが、大きさが数ミリ。しかもシロウトにはカビやコケ、埃、虫の卵との判別がなかなかつきません。上の写真は、う~ん、ケロッグのチョコワを思い出させる形です。カビなのか変形菌なのか。撮るたびに図書館に調べに行くのもおっくうなので図鑑でも買っちゃおうかな。

正体不明ぽわぽわ GR DIGITAL F2.4 1/30sec ISO130 -0.3EV  これもカビなのかなんなのかよくわからない白いぽわぽわ物体。変形菌には走光性があり、子実体を作るときにはじめじめした場所から明るく日当たりの良い場所に移動してくるのでカビとは区別がつきやすいらしいです。なので上や右の写真を撮ったような日の当たる場所にできているのは粘菌じゃないかな~なんて思うのですが正体が掴めず。どちらも1~2mm。

★ ★ ★

 図書館で調べてみました。前者は「ワガタホネホコリ」に似ているような気がします。

ワガタホネホコリ
Diderma deplanatum
子実体は屈曲子嚢体型、まれに単子嚢型、群生、無柄、白色または淡いおうど色、輪形、網目形、。または枕形、高さ0.2mm、幅1.5mm、長さ2mmくらいまで。変形膜は不顕著。子嚢壁は2層。外壁は石灰質で平滑、白色でもろく、殻状で厚い。内壁は膜質で真珠光沢があり、下部はだいだい色をおびた褐色またはおうど色。細毛体は糸状、暗紫色、まばらに二叉状分岐し、とげやじゅず状の膨大部が多い。奉仕は反射光で暗褐色、透過光で褐色、細かいとげ型、直径9~11μm。変形体は白色。

『図説日本の変形菌』,山本幸憲,1998 より

 写真のない白黒のスケッチ図との比較だったので今ひとつ確信は持てないのですが。(2008.10.13追記)

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『恐竜の復元』

リンクはAmazonへ 恐竜の復元
監修:小林快/平山廉/真鍋真
学研
4725円
2008.9.9

★★★★☆

 大きめの本です。縦26.5cm×横22cm。フルカラーで恐竜の模型やイラストが再現されるまでの過程を紹介しています。最新レアモノ恐竜図鑑+おもしろ恐竜アイテム図鑑といった感じ。写真も図も豊富ですが、解説文はマニア向けの印象。恐竜ハカセの子供たちならば喜ぶかもしれませんが、あまり詳しくない子に買ってあげても「知らない恐竜ばっかりでつまんない」となってしまうかも。
 紹介されていた絵画は欧米のイラストレータのものが中心で、日本人の感覚的には「絵としてはアバウトな感じ」と思ってしまいます。むしろ模型の紹介作品が凝っていてすばらしいできでした。印刷の美しさもあいまって田渕良二氏の木製模型などは「実物が見てみたいっ!」と思わせられます。
 きれいな本で少し値も張りますが店頭で見かけたらぱらぱらと覗いてみてください。きっと欲しくなるはず。紹介画像はヘレラサウルスの模型制作場面のページから。ドールアイを使い頭骨模型から肉付けしてできあがるのは骨の繊細さが隠れてしまう当たり前のトカゲ顔。科学的な復元というのはなんてもったいないんだ、と思ったページでした。

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『ふしぎな生きものカビ・キノコ 菌学入門』ニコラス・マネー

ふしぎな生きもの カビ・キノコ―菌学入門
ニコラス・マネー著 小川真訳
築地書館
2007.12.25
2940円

★★★

 少し前に「粘菌? 変形菌?」という記事でも菌類に触れましたが、今回はその菌類の本です。

 おもしろかった。おもしろかったけど、なぜか文章が頭にするすると入ってこない本でした。訳文も読みやすかったのになぜだろう……。
 欧米圏の科学解説書はグールドやドーキンスの本のようにエッセイ的な語り口で書かれたものが多いのですが、この「ふしぎな生きもの」も日常の話題から菌類の話が紹介されていきます。ペ二スそっくりの形をしたスッポンタケの話題、ミズムシの話題、毒キノコの話題。学校の先生らしい気を引くネタから菌の性質の詳しい話へと展開します。惜しいのは図解が少ないこと。菌類は図鑑を見ているだけでも楽しい絵になるヤツが多い世界だと思うのですが、活字で成長の様子を描写されても今ひとつイメージが湧きません。
 よくわからなかったのが

粘菌そのものは菌類とは無関係です。 『ふしぎな生きもの』p.214

という記述。むむむ。粘菌は菌類じゃないのか……。と巻頭に付された分類体系図を見てみると確かに粘菌はツボカビより古くに分岐していて「菌界」には含まれていません。なるほど。

 難解ではありませんし楽しい本だとは思いますが、微妙な読みづらさとイメージの湧きにくさがあるので先に図鑑類で菌の姿を知っておくとより楽しめると思います。

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