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『テルミン エーテル音楽と20世紀ロシアを生きた男』竹内正実

テルミン―エーテル音楽と20世紀ロシアを生きた男
竹内正実
岳陽舎
2000.8.28
2100円

★★★★☆

 電子楽器テルミン。
 1993年にドキュメンタリ映画『テルミン』(DVD) が作成され、漫画『のだめカンタービレ』の作中でも登場して知名度が上がったところに、ちょうど良いタイミングで『大人の科学マガジン Vol.17』で紹介され人気を博したようです。この雑誌付録テルミンは好評であったらしくもう少しテルミンらしい音のする『大人の科学 製品版 テルミンPremium』などというのも登場しています。これ、どちらも知人が購入していて試させてもらったのですが通常の『大人の科学マガジン』の方は電子ブザーのような音で変えられるのは音程のみ、Premium版の方はCDで聴く本物のテルミンに近い音でした。ひょぉぉぉお~♪
 楽曲の演奏はかなり難易度が高そうでしたが。

 その電子楽器の開発者・テルミンの伝記本です。
 歴史に名を残すような人は多かれ少なかれ変わった人が多いのですがテルミンも風変わりな人でした。生まれたばかりの頃の記憶があり、二歳半で初恋をしたとか。テルミンを持ってアメリカに渡りソヴィエトのプロパガンダとして活動し、大成功を収めつつも技術スパイも兼ねていたとか。
 通信機の調整の中から萌芽し、ガス誘電率測定装置にヘッドホンを接続したことから生まれた電子楽器・テルミン。モーグ・シンセサイザー誕生にも一役買ったと言われる電子楽器とその開発者の生涯が綴られています。激動のソヴィエト時代に生きた技術者のなんて報われないこと!

 文章もテルミン奏者である著者の思い入れが感じられるような魅力的なもので、一気に最後まで読み通してしまいました。電子楽器テルミンに興味を引かれた方にぜひお勧めしたい本。
 この本の中でも紹介のあった、テルミン氏の血縁であるテルミン奏者リディア・カヴィナによる『Music from the Ether: Original Works for Theremin』とテルミン誕生時代を代表する名テルミン奏者クララ・ロックモアによる『The Art Of The Theremin』も素敵です。ぱっと聞いた感じでは人の声に近い音色で、音が低くなってくると少しブザーっぽい響きになってきます。テルミン氏が開発していたというポリフォニック・テルミン、どんな音がしたのか聴いてみたかったな。

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