« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

2009年3月の18件の記事

『ニッポンの恐竜』笹沢教一

ニッポンの恐竜
笹沢教一
集英社新書
2009.3.22
735円

★★★★☆

 「モシリュウ」に「イナイリュウ」。
 それぞれ別に見かけたならばどうということはないのですが、一冊の本の帯に並んでいると「居ないリュウ」と思ってしまうのではないでしょうか。
 ところがこれが立派な国産化石爬虫類の名前なのです。しかも「居ないリュウ」の連想はけして大ハズレでもないという謎の化石。戦中に失われたという北京原人を思わせます。
 古生物を学んだジャーナリストである著者がそのイナイリュウがなぜ居なくなってしまったのかを追いかける第一章。おそらく、この本は第一章のために書かれた物なのでしょう。

 第二章以降はモシリュウ、ニッポンリュウ、エゾミカサリュウ、フタバスズキリュウと発掘の経緯が紹介されていきます。この中で一般に知られているのはフタバスズキリュウくらいでしょうか。こちらは発掘の経緯が関係者の手で本になっています。(感想⏎
 最後には近年恐竜化石を多産している手取層群をはじめ最新動向を紹介してしめくくっています。

 あまり知られてこなかった日本の化石発見の経緯。興味深く読めました。同著者の『僕が「火星」を歩いた日』(感想⏎)よりずっと面白かったです。

| | コメント (0)

SONY VAIO type P その6・Readyboost×メモステ

 結論:type PのHDDモデルを買った人は速いメモリースティックを買うべし。

★ ★ ★

ExtremeIII届く

Readyboost

 Vistaにそんな機能があることを思い出しました。HDDの遅さを隠す機能……かな。
 早速メモリースティック『SanDisk ExtremeIII MemoryStick Pro-HG Duo 4GB SDMSHX3-004G-J3』を購入。Amazonで2500円ちょっと。(2009.3.25時点) バックアップDVD作成用のDVDドライブとともに届きました。

  • Readyboost
  • EPWING辞書
  • ATOK

 メモステExtremeIIIは挿しっぱなしで上記に使ってみることに。

CrystalDiskMark 2.2 [MByte/sec]

ドライブ SeqRead SeqWrite Read512K Write512K Read4K Write4K
type P標準HDD 27.37 27.02 15.14 13.14 0.27 0.52
ExtremeIII @ type P 13.98
21.05
9.45
16.30
15.00
20.41
6.08 3.60 0.07
ExtremeIII @ desktop 16.80 17.30 16.46 5.43 4.54 0.06
1TBHDD @ desktop 84.32 79.01 27.28 40.23 0.35 0.96
HAGIWARA 1GB SD 7.17 2.30 7.14 1.18 1.98 0.02
Transcend 2GB SD 18.57 8.34 18.10 3.56 4.77 0.02

 数字そのものを見てもよくわからなかったので、グラフに。

20090328_readyboost HDDとフラッシュメモリは見事に特性が逆転しています。これを見るとReadyBoostでフラッシュをキャッシュに使うのは正しそう。というわけで4GBのうち2GBをReadyBoostに設定してみました。
 しばらくHDDとメモリースティックへのアクセスが続き、一段落したらしいあたりでアプリをいくつか起動してみると……。

 速くなった!

 単なるエクスプローラもInternetExplorerもadobe readerも一太郎も如実に起動速度が改善されています。では、Vistaの起動時間はどうでしょう。

 速くなった!気がしたけど計測してみたら1分40秒→1分25秒程度と僅差で計測するたびに誤差も大きい。どのみちスリープと休止しか使わないのでどうでもいい違いかも。

 SSDモデルの人はこんな感じでより快適に使ってたのか、と溜息が出ます。

★ ★ ★

 他のユーザの方の所ではExtremeⅢとtype Pの組み合わせでSeqRead25MB/secくらい出ているようなのですがうちではデスクトップでもtype Pでも16MB/sec程度。MCaffeeのアンインストールツールも使ったり、フォーマットし直したり試してみても変わらず。
 →不要なアプリを削除したりいろいろいじっているうちに20MB/secくらい出るようになった。理由不明。(3/31追記)
 →内蔵USBハブの問題のようで不要なUSBデバイスを無効化すると20MB/sec程度出るようです。ただし試しに導入してみたWindows7βではワンセグやカメラを有効にしていても20MB/sec出たのでOS側の問題なのかも。(4/7追記)

 同時購入した『BUFFALO USB2.0用外付けポータブルDVDドライブ DVSM-P58U2/B』でリカバリディスク作成中……。

参考リンク

関連記事一覧

| | コメント (0)

『耽美なわしら 1』森奈津子

『耽美なわしら 1』
森奈津子
ハヤカワ文庫JA
2009.2.25
798円


★★★★☆

 電車の中で読んではいけません。

 思わず吹きだしてしまうから。吹きださずともにやにやするのを止められずに変な顔になってしまうことでしょう。

 森奈津子の同性愛的ギャグ小説の文庫化です。

 初出は1995年から1996年。百合ブームを引き起こした『マリ見て』が1998年からですからそれ以前に書かれた話であるわけです。にも関わらず、この内容。あとがきに「時代が愛原ちさと(作中の百合作家)に追いついた」と冗談交じりに書かれていますがまさにその通り。
 レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、ノンセクシャルとあらん限りのセクシャリティを総動員したコメディ。

 セクシャリティの“お約束”を森奈津子的に駆使していつものように笑わせられつつ、「セクシャリティってなんだろう」と考えずにはいられないはず。

 続いて二巻に取りかかる予定。

| | コメント (0)

大恐竜展 知られざる南半球の支配者

上野公園パノラマ

 花冷えという言葉を地でいくような天気が続いたこの数日。この日(26日)も風は冷たかったのですが晴れやかな青空。上野公園の桜もぽつぽつと咲き始めていました。動物園前です。
 お目当てはもちろん「大恐竜展 知られざる南半球の支配者」。国立科学博物館での開催です。

マプサウルス

マシャカリサウルス 恐竜とくればパノラマ撮影。
 理由はないけどそうせずにはいられないのです。
 上はマプサウルス。世界初公開のゴンドワナ大陸版ティラノサウルスといった趣のマッチョな大型獣脚類。真ん中が大人で右奥が幼体だそうです。左の色白君はメガラプトル。この写真だとわかりづらいですが、手の爪がいかにもラプトルでした。ラプトルなのにデカイ図体。

 会場は大型の恐竜を何匹ものびのびと飾れるほどの広さがなかったためか右のマシャカリサウルスなどは尻尾がうねうね。この手の竜脚類は尻尾の先はあまり器用に曲げられないと何かで読んだような……。

 会場での一番人気はこの化石。
 ニジェールサウスルです。

ニジェールサウルス復元ニジェールサウルス骨格

シワシワのアウカサウルス 上の二枚、左が生体復元で右が骨格。
 掃除機のような口。こんなマンガみたいな生き物がいていいのでしょうか。「これでいいのだ」って感じですが。
 イラストや写真で見ると「変なの」程度ですが、立体物として眺めると「ナニコレ!」とインパクトがあります。

 右は骨の表面のシワが特徴的なアベリノサウルスの仲間・アウカサウルス。ぉぉ。なんとなくメンデルの法則を思い出します。シワシワエンドウとツルツルエンドウ。淘汰とは関係なしに残ったりする形質だったのかな?

マジュンガサウルス ショウケースに収められた部分骨格は実際に出土した実物がけっこう多く、石膏のジャケットや添え木も観察できて「こんな風に運び出してくるのか」と興味深く見られました。左のマジュンガサウルスはまだクリーニング途中の感じ。

 会期は6/21まで。
 会場はカメラ撮影は可ですが、動画撮影、ストロボ撮影は禁止です。ISO200でF2.4、SS1/10秒前後と暗めの環境。コンパクトカメラやケータイのカメラだと撮影は難しいはず。
 春休み期間中は入場券の販売所がそれなりに混雑して行列する羽目になると思うので、前売りチケットを確保して出かけるのがお勧めです。

| | コメント (0)

『かなめも』第2巻 石見翔子

かなめも 第2巻
石見翔子
まんがタイムKRコミックス
2009.3.26
819円

★★★★☆

 貧乏話が苦手で1巻はちょっと抵抗を感じたのですが、2巻では困窮エピソードも少なめ&主人公・かなも主役らしい扱いとなり調子が出てきた感じです。
 新聞配達少女たちの貧乏な、けれど楽しく一部百合な日々を描いた四コマ漫画。面白かった。
 帯に「今夏よりアニメ化決定!」とありました。

 表紙裏のおまけ漫画、前後がめちゃくちゃ気になります。

| | コメント (0)

『ダーティペアの大復活』高千穂遙

ダーティペアの大復活―ダーティペア・シリーズ〈5〉
高千穂遙
ハヤカワ文庫JA
2007.1

★★★☆☆

 久々に読んでみたダーティペアシリーズ。感性が合わなくなっているのを実感しました。読む側として歳を取ってしまったのかなぁ……。

 救難カプセルで宇宙を漂流していたケイとユリ。目覚めてみれば人類は滅亡しているかもしれなくて、もしかしたら生き残ってるかもしれないキーパーソンを求めて大アクションをする羽目に。

 前作『ダーティペアの大脱走』が1993年。『大復活』のソフトカバー版が2004年。文庫は一昨年。
 読みはじめてみればダーティペアらしさは健在、と思えたのですが後半になってのアクションでユリがなぜかオタク娘になっていたり。これも時代というものでしょうか。続刊の『ダーティペアの大征服』もすでにストックしてあるのですが、これは読むのをためらってしまいます。つまらなくもないし、お話のできも悪くないと思うのですが「こういう方向でいいの?」と。そういえばFLASHシリーズも肌に合わなかったのでした。

 読む側もリハビリがいるのかな、と思いつつ黄ばんだ『ダーティペアの大冒険』を引っ張り出してみたり。

| | コメント (0)

『いま恐竜が生きていたら』ドゥーガル・ディクソン

いま恐竜が生きていたら
ドゥーガル・ディクソン著 小畠郁生監訳
ランダムハウス講談社
2008.12.17
1890円

★★★☆☆

 写真とイラストとCGを違和感なく合成させた一種の恐竜図鑑。『アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界』で一躍有名になったドゥーガル・ディクソンの「もしも……」的なシリーズです。
 内容的にはさほどのインパクトはないかもしれません。映画でも人間社会を恐竜が駆けまわる映像は定番ですし、恐竜の解説本でも巨大恐竜を街中に配する画像はよく見かけます。この『いま恐竜が生きていたら』はそんなCGイラストのオンパレード。
 象の背中を尻尾置き場にする巨大竜脚類、オオツノヒツジと頭突き合戦をするパキケファロサウルスの仲間、キツネと残飯を奪い合うコエロフィシス。漁網にかかったモササウルスがなぜかとても可愛らしかったり。

 恐竜ファン向けというほどマニアックな印象ではありませんが、幼児向けダイジェストでもありません。小学校高学年から大人まで目で見て楽しめるはず。
 『アフターマン』ほど突飛な話ではなく、恐竜の生態解説が中心です。イラストに設定されたシチュエーションは面白さ優先の感じもしますが、明らかに間違っているというものもないので楽しい“もしも”として読めると思います。CGによるイラストは写真との合成をしても違和感がないリアルな雰囲気で、設定された構図にユーモアが感じられました。

| | コメント (0)

『弱小空軍の戦い方』飯山幸信

弱小空軍の戦い方―枢軸国と連合国に分かれた欧州小国の航空戦
飯山幸信
光人社NF文庫
2007.11.17
960円

★★★★☆

 すごい情報量。
 第一次大戦前後から第二次大戦に至るまでのヨーロッパ弱小国戦史と用いられた機体の解説を450ページにぎっしり詰め込んだ本。
 航空戦というとドイツ、イギリス、ソ連、あとはイタリアと一次大戦であればフランスが表舞台となりそうですが、中欧や北欧の小国もドイツ、ソ連からの圧力や侵攻を排除するために戦ったり、あるいは戦わずして占領されたり、政治を駆使して戦禍を躱したり。
 オランダ、ベルギー、ノルウェー、リトアニア、エストニア、ポーランド、ユーゴスラヴィア、ルーマニア、ハンガリー、フィンランド、ブルガリア、スウェーデン、スイス、スペイン、ポルトガル……。
 列強に翻弄された国々の話は読んでいて悲しくなってきます。
 ソ連の侵攻を阻止すべく奮闘し航空戦史上記録的な撃墜率を誇るフィンランドの話などはミリタリー・マニアの血を熱くすると思うのですが、戦争をせずにはいられない「国家」という存在は何なのだろう、と憂鬱になります。

 戦史を中心に綴られる先頭三分の一ほどに対し、残りは各国でライセンス生産されたり独自開発された機体そのものについての詳しい解説です。写真は文庫ということもあってそこそこですが図はそれなりに豊富。フォッケウルフやメッサーシュミット、スピットファイアの陰で少数しか生産されなかった弱小国の飛行機も大戦を戦ったんだ、と感慨を覚えました。

 少し残念なのは文章。誤字が少々目に付きました。余話的な話題での誤記も。

 でもそんなことが気にならないくらい興味深く読めたのでした。

| | コメント (0)

『コミック百合姫S』2009 Vol.8

コミック百合姫S 2009年 SPRING Vol.8
一迅社
2009.3.18
880円

★★★☆☆

 『つぼみ』というライバル誌も登場した『百合姫』陣営。今号の『S』はどんな様子でしょう。

 掲載順に軽く感想や紹介を。

「夏の始まり」 吉富昭仁
 吉富昭仁の漫画はデフォルトでいつも夏だから百合姫Sにも夏モノばっかり描いていたのかな、と思っていたのですがシリーズとして夏というテーマで一冊分の連載であったようです。巻頭カラー有で今回もどことなく南アルプスの天然水CM的世界。私の吉富イメージは「過疎地+夏」ですっかり定着しました。ブルセラ的なアイテムも。
「雨粒ハルモニア」 いずみやおとは
 雨の日に女の子を拾ったヒロインは……、という少しファンタジーっぽいお話。
「flower*flower」 石見翔子
 『S』で一番楽しみにしている連載。中世異世界ファンタジー。前号は朱とニナの間にできた壁を予感させましたが、今号はニナ視点での描写でやっぱり“溜め”の印象。次号ではそろそろ大きな動きがくるかな? 楽しみ。石見翔子は今月『かなめも』 第2巻も刊行予定。
「ゆるゆり」 なもり
 不条理ギャグ連作。
「HONEY☆CRUSH」 椿あす
 幽霊のみつと霊の見える恭子のどたばたコメディ。前回は短い番外編でしたが今号は復調の感じ。みつは悪霊の素質がありそう。
「リンケージ」 倉田嘘
 まさかのロボット物。作者サイトを見ると建築関係のお仕事もしているようで理系ネタも納得。
「マイナスりてらしー」 宮下美紀
 ページ数少なめで次回へのプロローグ的な回でした。
「想いの向こう」 黒柾志西
 絵柄のせいかなぜかどのお話でもダーク系ファンタジーっぽい空気が漂う作者。
「LOVE CUBIC」 谷村まりか
 毎回お漏らしネタですっかりそっち方向の印象のある作者ですが今回は回想でのみ。次回への助走回?
「オトメキカングレーテル」 すどおかおる
 今回も見事におっぱい漫画。明解で明るいお色気が好き。「シンボク」描写はストレートすぎて少し抵抗を覚えましたが。
「CASSIOPEIA DOLCE」 高木信孝
 「グレーテル」がおっぱい漫画ならこちらはちゅー漫画。今回もちゅーちゅー。人形蘊蓄で埋め尽くしても良さそうなんて思うのは私が蘊蓄好きだからでしょうか。同著者のPUREまりおねーしょん の方が人形フェチ要素をクローズアップしていた気もします。
「Cでお願い」 すこやか
 一迅社コミック大賞百合姫部門からの入選作。『S』は属性の明確なものを集めているのかも。「グレーテル」のおっぱい、「ドルチェ」のちゅー、谷村まりかのお漏らし。そしてこれはパンツ……ということになるのかな。
「コノハナリンク」 玄鉄絢
 “リンク”がまだ明らかでないためかお話が動き出しているのかよくわからなかったり。登場人物紹介をしながらゆっくり展開させていくのかな。
「はくしゃくのお気に入り」 珠月まや
 不条理ギャグ系?
「会長と副会長」 袴田めら
 めら節。
「屋上のキセキ」 夏猫
 オチには「確かにありえねーっ!」とキャラと一緒に笑いたくなりました。

 百合姫本誌とも『つぼみ』(感想)とも路線が違うのだなと再確認した気がします。好みとしては

  1. 百合姫
  2. つぼみ
  3. 百合姫S

の順かな。

| | コメント (0)

SONY VAIO type P その5・マルチメディア

 「マルチメディア」と題しましたが書けることはあまりないです。

店頭販売モデルなのでワンセグが見られます
 アンテナの感度は良さそうです。テレビはあまり見ないので正直なくても良い機能でした。むしろGPSを試してみたかったな。
音楽解析機能付の分類ツール
 モバイルPCで音楽を再生することってあまりないような。type Pには処理が重すぎてアンインストールしてしまいました。
HD動画再生
 Gigazineの「VAIO type Pのハードウェア再生支援機能で本当にHD動画がスムーズに再生できるかどうか、いろいろと試してみた」という記事を見て記事中で紹介されていたHD動画を試してみました。CPUパワーもないのにばっちり。でも上の「ソニールームリンク」が使えなければ持ち腐れの機能かも。こんなちっこいパソコンでフルHD動画が再生できてしまうことには感銘を受けました。type Pユーザはお試しあれ。
 type Pには優秀な動画再生支援機能が搭載されているようです。GMA500というのがそれらしく、US15Wチップセットに内蔵の機能だとか。ということはMIDやネットブックの中にはフルHD動画を再生できる物がけっこうあることになるのかな。
WINDVD for VAIO
 CPRMのDVDが再生できてちょっと嬉しかった。
VAIO media plus
 これは試してみたかった機能です。密かに期待していました。うちのDVDレコはSONY製。DVDレコの録画がVAIOから見られる機能のはず――なのですが「ソニールームリンク」に対応していない古いDVDレコらしく機能しませんでした。がっかり。→SONYの解説ページ

 少し調べてみたのですがtype Pの「ソニールームリンク」ではBlu-rayレコのデジタル放送の録画は閲覧できなようです。著作権保護の暗号化通信がtype Pには重すぎるとか。

 ちょっと脱線ですが、ソニールームリンクはDLNAというマルチメディア配信技術のSONY版だそうで、ならばデスクトップPCを配信元にすればtype Pの動画再生能力を生かせるのではないか、と試してみました。
 結果から書けばうまくいきました。
 DLNAサーバで一番身近&手軽そうなのはWindows Media Player11以降、なのですがこれは試してみたところMicrosoft自身の動画形式WMVも配信できないという代物でした。そこでTVersityというオンラインソフトを試してみたらyoutubeのフラッシュ動画をローカルに保存した物でもWMVでもAVCHDでも、たいていの形式が配信できるようです。type P側のDLNAクライアントはVAIO MediaPlusでなくてもWindows Media Player12+Win7で(特にcodecの類を追加で入れなくても)試してみた限りの形式が再生できました。動画データは正直あまり関心がなくて「試してみた」というだけで実用して便利かどうかはよくわからないのですが。
 ハードウェア再生支援は今のところHDハンディカムを持っている人向けの機能って感じではないでしょうか。Blu-rayならデスクトップPCや専用再生装置の出番でしょうし。

バッテリ持続時間
 AVCHDの720pHD動画をノーマルバッテリで再生してみたところ30minで100%→30%に。マルチメディア関連はACアダプタ必須のようです。

参考リンク

関連記事一覧

| | コメント (0)

SONY VAIO type P その4・Zaurusとの共存

 type Pを導入した一方で私はZaurus SL-C1000ユーザでもあります。
 “小説書きツールとして”VAIO type PはZaurusと共存できるのでしょうか。

用途\機材 Zaurus VAIO type P ポメラ
※30分ほど試用
デスクトップPC
メモ × - ×
ディスプレイ
バッテリ駆動時間
(○※Lバッテリ
――
携帯性 + 不可
キーボード ++ +
かな入力 不可
お風呂モバイル 不可
PDF参照 不可
小説構成 + - ×
小説本文作成
小説校正 ×

 表にしてみるとどれも一長一短。

 少し意外ですが「デジタルメモ」を銘打つポメラが

  • 立ったままの操作に難あり
  • キーボード展開・収納が派手で手軽でない

と手軽なメモ用途に向かない印象です。TPOはtype Pと同じくらい選んでしまう。それでも電池と液晶は代替となる製品がないオンリーワン。

 Zaurusとtype Pは相互に補い合えそうではあるのですが

  • データのシンクロが煩わしい
  • デジタルガジェットをいくつも持ち歩くのはイヤ

と我が儘を言いたくなります。Zaurusはデスクトップと組み合わせるならデータ同期の頻度もお出かけ直前/帰宅直後と一日二回程度なのですが、type Pと組み合わせるとしょっちゅうデータを同期する必要があります。これは盲点でした。type Pを起動する毎にZaurusとの間でSDメモリを行ったり来たりさせなくてはいけません。二日やって音を上げました。

 試しにtype Pと紙のリングメモを組み合わせ中。これはこれで良さそう。Zaurusからtype Pにこまめにメモテキストを移すのは煩わしいけれど、手書きのメモをtype Pで打ち直すのはあまり煩わしくなかったりするのが不思議です。

 テキストライティングでtype Pと一番競合するのがデスクトップPCです。部屋のパソコンの前でtype Pを使っていても少しも困らなかったり。さすがにScanSnapでの資料取込はtype Pには荷が重いですが動画、音楽、画像を扱うのでなければtype Pで事足りてしまいます。画像もデジカメ画像のリサイズ程度なら我慢できる範囲。メールもブログ記事作成もほとんどをtype Pで行うようになりました。

type P用ケースと実寸カタログ そうそう。ELECOMのtype P専用ケースというのを買ってみました。1500円くらい。とりあえずの繋ぎにと思ったのですが、使ってみると悪くない印象。高級感はあまりないけれど価格からすると上出来。
 写真でtype Pの下に敷いている白いのが購入したケースZEROSHOCKⅢ。スポーツバッグのボストンみたいな素材です。赤type Pの上に載せているのは実寸大カタログ。

関連記事一覧

| | コメント (0)

SONY VAIO type P その3・小説書きツールとして

 モバイルで小説を書く道具としてVAIO type Pを評価してみます。

キーボード

 テキストライティングを考えるときにもっとも気になるのがキーボードの使いやすさ。

打鍵感
 ボディの剛性感は高く、キーが底突きしたときのたわみも少なめでノートパソコンの中ではかなり優秀な打鍵感。キーストロークは一般的なノートパソコンよりさらに短いようですが気になりません。
 FJキーのホームポジションマーカーが小さめであったり、キートップが真っ平らであるためにタッチタイプで打っていると「指が正しい位置にある」ことがわからなくなってミスタイプを誘発するのが惜しいです。
 キートップはカチャつきもグラつきもなくきっちり。押下圧は低め。
配列
 これはローマ字入力者とJISかな入力者とで評価が分かれそうです。
 ローマ字入力者には配列的に問題を感じるであろう部分はないはず。半角/全角キーが妙な位置にあること以外は違和感はないと思います。
 問題はかな入力。私はローマ字入力でも一応打鍵はできるのですが「できればかな入力したい」派です。その観点からするとtype Pの配列はイマイチ。右手小指のへー゛゜けむろが小さいですがそれはあまり問題ではなく、右Shiftと文字キーの間にキーが割り込んでいるのが厳しいです。ぁぅぇぉぃっ右Shiftを必要とするのですが、どうしても右Shiftを間違えて押してしまいます。今のノートパソコンでは当たり前になりつつある矢印キーの配置ではあるもののJISかな入力者には非常にツライ配置。これは慣れてもいつまでも誤打鍵が残りそう。
タイピング速度
 では実際にどの程度の速度で打鍵できるのか。
 タイプウェルというタイピング練習ツールで打鍵速度を測ってみました。三回ほどのチャレンジで「基本常用語:ランクSC@国語K」が出ました。277打/分程度。やはり右Shiftが足を引っ張ってなどのミスは多いです。打っていてホームポジションがわからなくなるのもネックかな。
 小説を書くのに打鍵速度はあまり関係ないのですが、人前でタイプする時など打鍵が速いと見栄を張れます。……無意味。
Typewell @ type P

ポインティングデバイス

 トラックポイントタイプのポインティングデバイスで操作感もまずまず。ただし、「プレスセレクト」という機能はイマイチ。これはスティックを軽く押しこむとマウスクリックに相当する動作をするのですが、設定を色々試してみても思い通りに操作できません。
 ポインティングの左右クリックボタンは少し硬めです。キーボードの押下圧とバランスが悪い気がします。またクリック音が大きめなので静まりかえった図書館まどでは響きます。キーボードが比較的静かに打てるだけにここもバランスが悪いかも。
 まとまった時間作業するならばマウスも用意したいところ。ちょうどMicrosoftからBluetoothの小型マウス『Microsoft Bluetooth Notebook Mouse 5000』が3/27に発売予定のようです。価格もBluetoothマウスとしては手頃なので購入するつもり。(※と思ったのですが実物を触ってみたら思ったより大きくて持ち運ぶ気にならず購入断念)
 type Pでの使用には合いませんが、デスクトップPCでは 『Logicool Trackman Marble TM-150』というトラックボールを使っています。トラックボールは細かな作業には向かないものの、大画面でポインタを大きく動かす用途には快適です。type Pに合うような小型で使い勝手の良いトラックボールは無理なのかな。

画面

20090312_02 1600x768のワイド液晶はアプリを横並べにして使うのが合っているようです。右の画像は秀丸で文章を縦書きにしアウトラインツリー表示させたものと、辞書ソフトを並べて表示したところ。大きめのフォントを使っているので文字のアウトラインもきれいです。
 Windowsのタスクバーを右クリックすると「左右に並べて表示」というウィンドウ整列機能があるのですが、type Pではキーボード手前のショートカットキーにこの機能を割り振っていて使い勝手がいいです。

 眼のいい人でもWindowsのデフォルト解像度(dpi)設定では全般に文字が小さすぎると感じるはず。システムのバックアップを作成したら110~120dpi程度に設定変更してしまうのがお勧めです。画面が多少狭くなりますが文字が見やすくなります。

 液晶そのものは表面がグレア処理で背後に窓や照明を背負っていると映り込みがありますが、それ以外は特に問題なし。周囲の光の色温度変化(電球であったり蛍光灯であったり)があっても画面の色はあまり影響を受けません。

無線LAN

 アンテナの感度は良好。でも小説を書くのには無用。
 私はネット環境があるとついつい遊んでしまうのでデータの同期以外では封印しています。Wikipedia等のネット辞書の類はEPWING化しHDD内に置いて利用するのがお勧め。

起動/終了

 主な利用の仕方はスリープ/休止状態で、ゼロからの起動はWindowsUpdateの時くらい? スリープとスリープからの復帰は2~3秒なのでパソコンとしては文句なし。休止状態は入るときも復帰するときも一分ちょっとかかります。パソコンとしてはこんなものなのでしょうが遅すぎてスリープ中心での利用になりました。

ソフト

 テキスト編集に使うアプリケーションは非力なAtomでもへっちゃらでした。

一太郎2008
 イメージ編集モードでの操作も、校正機能もまったく問題ないレスポンスで動きました。これでモバイルでも効率的な校正作業ができるゾ。縦書き原稿をイメージ編集モードで表示するとやや縦が狭く感じることが多い。(一太郎2008レビュー記事⏎
ATOK2008
 大きな問題はなし。デスクトップで設定したATOKの環境をそのまま引っ越してきました。文字入力中に反応が悪くなることもあって、イライラすることがあります。う~ん。(3/19追記:ATOKの[環境設定]-[辞書・学習]タブ内の「オンメモリ辞書」を有効に。入力が格段に快適になります)
 サスペンド/休止状態から復帰するときにかなロックが解けていて一度別ウィンドウにフォーカスを移さないとかな入力に戻れない不思議現象が発生します。これはATOKの問題かな。
OpenOffice.org
 こちらは難あり。元々起動時のHDDアクセスが多いソフトなのですが、type PのHDDではかなり待たされる感じです。WriterもCalcもいったん起動してしまえばどうということはないのですが。
秀丸
 問題なく軽快に動作。ATOKや一太郎もそうですが、デスクトップPCで使っていた環境設定ファイルを持ってくるとスムーズに環境を移せます。
EBWin
 EPWING辞書検索ツール。ソフト自体は軽快ですが、ここでもHDDが足を引っ張って検索ワードの入力から結果表示まで二拍ほど待たされる感じです。(使用辞書類紹介記事⏎
 秀丸との連携で「マクロで選択範囲をEBWinで検索」というのをやっていたのですが、Vista環境だとなぜかこのマクロ経由でのEBWin起動がやたらに遅い。というわけで他のソフトとのバッティングもあってこれまでは避けていたEBWinのクリップボード監視機能を使ってみたら比較にならないくらい高速でした。むむむ。
adobe reader
 ZaurusではあきらめていたPDFがtype Pではそこそこ実用的。readerの起動は少し重いですが、いったん起動してしまえば表示も検索自体もスムーズです。高解像度の画面と相まってスキャンデータとの相性は良好。画面の縦が狭いのでスクロールしながらの利用になりますが、ScanSnap(レビュー記事⏎)で作成した資料類がモバイルで活用できるのは気に入りました。実はPDF利用がtype P導入の一番の動機。Windows Searchとのコンビは便利。
 ただし、集中してのデジタル読書用途には向かないです。あくまでも資料の参照用程度。
 店頭モデルはHDD容量が60GB、実際にデータ格納に使えるのは40GB程度なので大量にスキャンデータを溜め込んでいる人は携行するデータを絞り込む必要があります。データの取捨選択をせずに丸ごと活用するのがPDF+デスクトップ検索の醍醐味なのでこの点では残念。
Windows Search
 WindowsVistaからOSにビルトインされたデスクトップ検索機能。type Pのカスタマイズでは必ずといっていいほど「インデックスの作成を停止」すると軽くなると書かれていますが、透明テキスト付PDFの資料をたくさん抱え込んでいるならば利用しない手はないです。バッテリ駆動時にはインデックス作成もほとんど動かないので邪魔にもならないはず。
 FoxitPDFのiFilterを使用。標準のPDF用iFilterは透明テキストをうまく拾ってくれないようでした。何か設定があったのかな。
 ひらがな・カタカナのみで構成された数文字の単語をうまく拾ってくれない癖は以前からのWindowsSearchと変わらず。
同期センター
 モバイルPCとデスクトップPCのファイルの同期はVistaから「同期センター」「オフライン・ファイル」という機能が搭載されて便利になったと聞いていたのですが、type Pに搭載のVistaHomeBasicでは「オフライン・ファイル」が使えませんでした。がっかり。WindowsVista依存の機能でXPのデスクトップやZaurusとの同期が取れなくなるようですし、結局今まで使っていたRealSyncというツールにお世話になることに。

バッテリ

 小さなノートパソコンは持ち歩いてこそ。ですが標準のSバッテリでは三時間程度しか動作しません。長文テキスト書きにはぜんぜん足りません。Sバッテリの二倍の容量のあるLバッテリ必須。本体をSONYSTYLEでオーダーメイドするならば最初からLバッテリ装備もアリだと思います。あ、SONYSTYLEにはケースとLバッテリの割安セット商品もあるようです。

まとめ:小説書きツールとして

 高解像度の液晶に大きめに文字を表示し、辞書ツールと横並びにして使うととてもリッチなテキスト編集環境となります。画面自体は小さいので文字を大きくして使うのが無難。(800x600ドットなどに表示を落とすのではなくフォントスケールを標準の96dpi→110~120dpiに)
 純粋にテキストのみを編集したい人よりも「辞書ソフトを常時併用したい」とか「スキャンデータの資料を利用したい」タイプの書き手向きだと思います。テキスト編集オンリーに集中したい人はポメラも候補になるんじゃないかな。

 さらにもうひとつ弱点が。それはタフネス。Let's NoteやZaurusのような頑丈さは感じられず手荒に扱ったらあっさり壊れてしまいそう。華奢というほどではありませんがショルダーバッグにそのまま放り込んで満員電車に乗る気にはなれません。せっかくの薄型ボディなのに頑丈なケースが必要では本末転倒な気が……。

 そして最大の問題点は「パソコンに詳しくないとやってられない」点。

  • Windows Vista
  • あまり速くないCPU
  • 遅い小型HDD
  • テンコ盛りのプレインストールソフト

の組み合わせは反応の悪さにうんざりできること間違いなし。マニアな知識は必要ないですが、根気よくあれこれいじってやらねば快適に使えるようにならないあたりに壁の高さを感じます。
 Windows7が登場してからがtype Pの本領発揮であるのかもしれません。

 HDDモデル購入後の印象としては、評判通りSONY STYLEで買えるSSD搭載モデルが良かったような気がします。市販のSSDよりも安価なようですし。(type Pに換装可能なZIFタイプのSSDはかなり割高らしい)

関連記事一覧

| | コメント (0)

SONY VAIO type P その2・セットアップ

 重い、重い、重い。
 操作が何から何まで重い。

 というわけでまずは少しでも快適に動かすための環境設定。

  • McAffee Internet Securityを削除
  • 視覚効果を「パフォーマンス優先」に
  • 自動復元ポイントの作成を「しない」に ※少し危険です
  • VAIOコンテンツ解析やPlace Engineなど要らなさそうなSONY製ツールをごっそり削除
  • 仮想メモリを「なし」に ※危険です

 概ねこんな設定でかなりマシになりました。店頭モデルじゃなくてSONY STYLEでSSDモデルを注文すればずっとマシだったのかな?

 イライラしない程度には快適になってようやくアプリケーション類を導入。

  • 一太郎&ATOK(ワープロ)
  • 秀丸(エディタ)
  • EBWIN(辞書)

 これでようやく常用できる環境に。タスクの切替やエクスプローラはやっぱりもっさりしているけどそれぞれのアプリの起動後は特にストレスもなく動きます。

Desktop_2

 田ミ+数字でクイック起動(スタートボタンの右にあるアイコン)のショートカットになっているのをご存じでしたか。
 右のタスクバーのようになっているとWindowsキー+3でInternetExplorerが、Windowsキー+5でメーラーの秀丸メールが起動します。数字部分は「左から×番目」となりす。
 そこそこ使いやすいトラックポイントとはいえ、キーボードだけでアプリを起動できた方がずっとスマート。簡易アプリランチャーになっているのでした。

 人心地ついてあれこれ触ってみた印象など。

  • 天板はつやつやでキレイだけど本体の銀色の部分は使い込むとZaurusみたいに色落ちしそう。
  • なんでタッチパネルじゃないの?
  • 筐体は堅牢とまで行かず満員電車で潰されたら液晶が割れちゃいそう
  • SDカード/メモリースティックスロットのダミーカードはいかにもなくしそう
  • スタンバイ状態だとウルトラ怪獣の卵みたいに電源ランプがほんのりと点滅するのがらぶりーheart
  • モニタの輝度を落とすとつるつる液晶への映り込みが目立つ
  • キーボードはノートパソコンとしては上出来
  • ポインティングデバイスはノートパソコン用としてはそこそこ使いやすい
  • 無線LANのアンテナ感度はとても良い
  • ACアダプタ使用時には本体左半分が暖かい
  • 猫の反応は薄い。

VAIO type にゃー

 次回は小説書きに使ってみた印象を書いてみる予定。

関連記事一覧

| | コメント (0)

SONY VAIO type P その1・購入しました

vaio type P パッケージ  買ってしまいました。SONY VAIO type P。
 店頭モデルです。SSDモデルが欲しかったのですが、SONY STYLEで64GB SSDを注文すると少し時間がかかるらしいと知り(2009.3.11現在)、待つのも面倒くさかったので安売店で買ってきてしまいました。色は赤。

 帰宅して箱から取り出してみると……。

デカイ。

 いえ。一般的な12inch液晶のノートパソコンや10inchのネットブックに比べれば小さくて薄いのですが、Zaurusユーザーには大きく思えます。LOOX Uにしておけば良かったかな?とちらりと思ったり。でも薄さはZaurusより薄い。見た感じMacBookAirくらいの感じ。

 さっそく起動。
 電源を投入してから操作できるようになるまでおよそ24分。
 バッテリは九割方チャージされていましたが、最初の電源投入は自宅でACアダプタを使ってゆっくりした方が良さそうです。その最初の24分から後もWindowsUpdateやらなんやらで実際に使えるようになるのは数時間後。ポメラなら箱を開けて三分で使えそうなのになぁ、なんて思ってしまいました。

20090311_02

 Zaurusとの比較。
 type Pの底面積はおよそZaurus三つ分です。

 今後、何回かに分けて使用感をレポートする予定。

参考リンク

関連記事一覧

| | コメント (0)

『凍った地球』田辺英一

凍った地球―スノーボールアースと生命進化の物語
田辺英一
新潮選書
2009.1.25


★★★☆☆

 惜しい感じの一冊でした。

 内容的にはスノーボールアース仮説のその後の研究状況を追ったものなのですが、文章が冗長であったり、説明展開があっちに飛びこっちに飛びしている印象で系統立っておらずしばしば「今読んでいる部分は何の話をしているんだっけ」と少し前に戻って読み直さなくてはいけなくなったりしました。
 最新の情報は付け加えられていますし、対立仮説も並べて見せてくれるフェアさはあるのですが、大枠自体は初期の「スノーボールアース」の説明からさほど変わることがないために新味は薄い印象です。

 火星ネタが好きな私としては最後の方に登場したハビタブルゾーンと火星の関係や、エウロパ絡みの話が興味深く読めました。地球と生物の共進化という概念もスケールが大きくて面白そうではあるのですが、さすがにここは話が広くなりすぎて科学と言うよりはアイデアの紹介かな。この部分に学問としてがっちり取り組んだ本があれば読んでみたいな、と思いました。地球内部のマントル活動と生物が固定する二酸化炭素とに相関があったりするとまたスノーボールアース仮説と生命の共進化という考え方がより楽しくなりそうなそんな気がします。
 そうそう。太陽定数を横軸に、凍結緯度を縦軸に取ったグラフを見て「カルノーサイクルのサイクル線図みたい」と思えてなんとなく感慨深かったです。

 スノーボールアース仮説の現状を知りたい人向け。
 入門であれば少し古くなりますが『スノーボール・アース』の方がドラマチックでいいかも。

| | コメント (0)

『プロペラ飛行機の興亡』黒田光彦

プロペラ飛行機の興亡
黒田光彦
NTT出版
1998.7.6

★★★★☆

 先日読んだ『飛行機の100年史』と同ジャンルの本です。飛行機史を概観する内容なのですが、今回のは少し癖が強かった。もう十年以上前の本なので新刊書店では見つからないと思います。私も図書館から借りて読みました。

 文章はあまりこなれていなくて技術に対する評価視点の偏りが感じられるという部分で“癖”を感じますが、これは著者が技術者上がりで自動車会社に長年勤務してきた人物だからでしょうか。やぼったさを感じる読み物ではあるのですが、取り上げられている個々の技術、飛行機への愛着と拘りが滲み出ている感じで、「読みにくいなぁ」と思いつつも最後まで楽しく読んでしまいました。
 この手のマニア向け要素の強い本は「対象への執着」みたいなものが何よりですね。とはいえ飲み屋で熱弁を振るうメカオタク老人といった風情なので受け付けない人も多いかも。

 取り上げられているのはリリエンタールの滑空機時代から第二次大戦までのレシプロ飛行機黄金時代。タイトル通り。技術や戦争の“戦略”について言及される部分も多く、そのあたりに著者ならではの部分があるように感じました。

 なんとなくまだ読み足りない感じなのでもう少し飛行機本の発掘は続きそうです。

| | コメント (0)

『ロボットのおへそ』瀬名秀明・他

ロボットのおへそ
稲邑哲也、瀬名秀明、池谷瑠絵
丸善ライブラリー
2009.1.30
798円

★★★☆☆

 SF作家の瀬名秀明とロボット工学者の対談とロボット開発の現状の概要説明の本。

 ロボット研究の最前線を一般向けに解説しているわかりやすい内容、と書きたいところですが、要となるはずの「知能」のモデルが示されないために全体が宙に浮いているような印象です。「曖昧さ」の処理方法などは具体的な解説があるのですが、その先はまだ暗中模索であるようですっきりしません。
 この本の中で示されるロボット像も今ひとつ釈然としません。「わからないことを人に訊く」「学習する」ロボットを目指しているとか。人が教え導きカスタマイズしてそれぞれ個々人の生活を補助する機械。う~ん。自動清掃マシンとか、汚れた服を放りこむだけできちんと畳まれて戻ってくる洗濯機とか、自炊するより安くて品質の良い外食や保存食とか、実用品としてはそんな物の方が嬉しいような。
 ロボット研究の一番の難点は知能処理やメカニズムではなくて「目的」なのかもしれないと思ったのでした。

 研究者の解説文がところどころ文章がこなれていなかったり、解説が大雑把だったりして今ひとつ「面白かった」「ロボットの最先端がよくわかった」という気がしない一冊でした。知能絡みの問題にぶつかっているジャンルは未来への確固たる手がかりを掴めずに四苦八苦しているのかな。
 明確なビジョンを打ち出せていないジャンルに若い人は集まらないと思うのです。

| | コメント (0)

映画『スカイ・クロラ』

スカイ・クロラ
押井守
ProductionIG

★★★☆☆

 ネタバレありの感想です。
 否定的なことも書いています。

続きを読む "映画『スカイ・クロラ』"

| | コメント (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »