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『天空のリリー』千田誠行

天空のリリー
千田誠行
一迅社文庫
2010.3.20
650円

★★★☆☆

 感想を書くのが難しい本でした。
 予備知識に邪魔をされてしまってヒロインであるリリー像がモデルとなった実在の人物と重なったり、違和感があったりしてしまったためです。

 実録の戦記物に『出撃!魔女飛行隊』というタイトルがあり、『天空のリリー』はこれを下敷きにした話と思われます。『出撃〜』は第二次世界大戦のソ連女性パイロットたちに直接取材して書かれた本で、私的には大のお気に入りです。『出撃〜』を読んで強く感銘を受けた身としてはぜひ元ネタにも目を通してほしいと思ったのでした。

 『天空のリリー』は刊行前からチェックを入れていました。何しろ“スターリングラードの白薔薇”リディア・リトヴァクをモデルにしたお話です。版元も一迅社なので「百合ラノベかも」という期待もあって発売早々に買ってきたのでした。
 ですが、読んでみて正直がっかりしました。百合成分ナシです。

 リリーという愛称を前面に押し出していて女性だけの飛行機部隊という設定に、私の百合色汚染されたおつむは「百合物に違いない」と思い込んでおりました。でも冒頭からリリーと対置されてフォーカスのあたる教官役エースパイロットは男性であれれ? ラノベ的な乙女同士のいちゃこらシーンはあるのですが、百合を期待するとがっかりしてしまうはず。

 とはいえ『天空のリリー』はライトノベルの飛行機物としてはがんばっているとも思います。空への憧れ、飛行機描写、訓練生生活。
 コアな航空機ファンの心を満たすマニアックさがあるかというと否でしょうし、ソ連系ミリタリーマニアを満足させてくれるかといえばやはり物足りないかとは思うのですが、マニア狙いの専門用語の羅列で興ざめにさせず、ライトノベルという枠の中でそれなりに飛行機らしい飛行機が飛んでいるように思います。「百合じゃない」という衝撃?から立ち直ってみると元気な女の子の活躍するライトノベルとして楽しく読めました。
 でもなんで一迅社のラノベで、この素材で百合じゃないんだ……。←まだあきらめきれないらしい。

 続刊が出そうな展開で締めくくられているのですが、タイトルに数字が振られていないあたりで「出るのかな」とちょっと不安です。続きが読めるならぜひソ連軍らしさが欲しいな。一騎当千のエースよりも圧倒的な物量、堅物のドイツ人が見たら目を丸くするようなワイルドな機械の扱い、政治将校が出しゃばってきて何かあるとすぐに「シベリア送りだ!」となる展開。←本当にあったかどうかわからないけれどソ連といえばコレ
 素材の良さを生かしたシリーズとなってくれることを期待してしまいます。
 ここからの百合展開は……う〜ん、無理かなぁ。

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