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『つづきはまた明日』第二巻 紺野キタ

つづきはまた明日 2
幻冬舎バーズコミックス ガールズコレクション
2010.2.24
620円

★★★★☆

 読み始めた冒頭ですぐに思ったのは。「杳(はるか)可哀想……」でした。清はきっと年頃になった頃にはすっかり忘れているんだろうなぁ、ぎゅう、としたこと。小さな子の容赦のなさが十二分に発揮されていた和風ほのぼのしっとり日常ファンタジー第二巻。

 発売日の翌日から本屋巡りを始めたのですが、ナイ、ナイ、どこにもナイ。地元の本屋は諦めて新宿に出、大型店舗三軒目でようやく見つけたという有様。幻冬舎のコミックスは発売日に買い逃すとこんなことが多いようです。

 子供のストレートな振る舞いは大人にとっては新鮮そのもの。そんな新鮮がいっぱい詰まっている『つづきはまた明日』。ほのぼの、どたばたと展開される日常に時折しんみりとした空気をもたらす母の不在。紺野キタ的にはこの片親の設定は重要なモチーフなのかもしれません。「あかりをください」「Under the Rose」でもやはり母の不在設定がありました。いえ、むしろこの肉親の欠如はたぶん紺野キタが作品の中でしばしば登場させる少女小説の名作と共通する要素なのかも。名作における主人公はしばしば欠損家庭に育ちます。子供の自由な成長を阻害する存在としての親を欠くことで――なんて説明がなされがちですが、そんな理屈は抜きにしても“親”という存在をどこか疎ましく思う気持ちは誰にでもあり、同時に慕う気持ちもあり、というのが片親設定や孤児設定となるのかもしれません。
 二律背反的な感情を基にしっとりとしたノスタルジィを通奏低音として子供時代を描いているのがこの『つづきはまた明日』という話なのかも。
 いや、やっぱり理屈はどうでもいいですね。読んで「あはは。子供って残酷でストレートで可愛い」と素直に楽しめばいいのだと考え直したのでした。
 『リンバロストの少女』(私の読んだのは『リンバロストの乙女』というタイトルだった気がする)なんて懐かしいネタが登場して紺野キタのこの名作劇場的なイメージのラインナップにはツボを突かれまくり。近いうちに再読してみよう。

 とりあえず電車の中などの人目のある場所で読むのはやめた方がいいです。にやにやしかけて変な顔になるはず。なりました。

 帯によると『Cotton』や『夜の童話』も未収録作品を追加して再刊となるようです。

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