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『太陽の科学 磁場から宇宙の謎に迫る』柴田一成

太陽の科学―磁場から宇宙の謎に迫る
柴田一成
NHKブックス
1019円
2010.1.30

★★★★☆

 『ロボットとは何か』に続いてアタリを引きました。面白くて二日で読み切ってしまいました。

 太陽活動の様子を解説した本です。
 太陽ってどんな星なのか、具体的なイメージが湧くでしょうか。恥ずかしながら私はあまり考えたことがなかったです。ただうんと強烈に光っている。そんなシンプルなイメージ。SFではプロミネンスやコロナをかいくぐって宇宙船が飛んだりしますが、それはたぶん違うだろう、くらいの朧な想像しかできなかったです。火星のように写真が撮れているわけでも、金星のようにレーダー地図が作られているわけでもなく、黒点なるものがぱらぱら散っている輝くお皿くらいの印象です。
 同じようにイメージがうまく湧かないのは木星や土星もですね。遠景ではきれいな縞々がありますが、その大気の上層に浸ってみるとどんな風に見えるのか、潜っていくとどんな感じがするのかはイメージになりません。
 この本でもやはり「太陽の光球面に立って眺めてみたらどんな感じだろう」というのは今ひとつよくわからなかったのですが、最新の観測データを元に示されたジェットの荒れ狂う世界というのは掴めてきました。一番よくわからなかったのは磁力線で、プラズマにとっては強烈な磁力線はびよんびよんのゴム紐みたいなものらしい、と表現されても対象のスケールがデカすぎて頭の中で絵が動きません。ううむ。かなりの紙幅で解説された磁気リコネクションは「なるほど」と理解できたものの、数万キロのプラズマのジェットが弾き出される様子というのはやはり実感として捉えがたいです。これはこの本をベースにNHKあたりで科学番組を作って欲しいところ。磁力線の振る舞いをアニメーションで見てみたい。
 よくわからない、ばかり書いてしまいましたがこの本の解説はわかりやすく、詳細です。でも太陽は圧倒的に大きくて、そこで起きていることのスケールも壮大で、常人の感覚で具体的なイメージが描けないだけなのでしょう。Hα線とか軟X線とか陽子とか中性子とか――原子物理の知識でイメージが持てないと苦労してしまうのも確かです。私も知識が抜けかけていて戸惑いました。口絵の図解や電磁気学の解説本を眺めながら頭の中で磁束のワームをうねうねと動かしていました。一般向け科学解説書の範囲でOKなので予備知識を得ていた方が断然面白くなります。

 一章、二章では私たちの太陽の構造をしっかり解説し、三章では太陽活動が地球上に及ぼす影響を、四章では一転して宇宙における恒星一般と宇宙規模のジェットの話を取り上げます。一、二章は著者の専門分野どストライクということもあって密度が濃かったです。

 金星探査機PLANET-C「あかつき」も五月に打ち上げですね。太陽観測では日本は世界をリードしているそうですが、金星観測もきっと面白い結果を見せてくれるに違いありません。楽しみ。

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