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『NOVA1』大森望編

NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション
大森望編集
河出文庫
2009.12.4
998円

★★★★☆

 SF短編をあまり見なくなった、との編者の巻頭言に「そういえばそうかも」と思い読んでみました。原稿を寄せたのは伊藤計劃、円城塔、北野勇作、小林泰三、斉藤直子、田中哲弥、田中啓文、飛浩隆、藤田雅矢、牧野修、山本弘。確かにSFって感じの顔ぶれです。

 通して読んだ感想は「面白かった」です。と同時に「SF、病み加減かな」なんて思ってしまいました。

 SF的な尖り具合は円城塔、飛浩隆の二者が目立っていたかな。円城塔、飛浩隆と牧野修は神林系SF――言葉をテーマにした被書空間的なお話でした。北野勇作、小林泰三、藤田雅矢、山本弘、斉藤直子はそれぞれ楽しんで読めたけれど「ぐっと来る」ところまでは来ず、田中啓文は『ヤマト』パロディで楽しくはあってもすっきりせず。田中哲弥は苦手な作風でした。伊藤計劃は長編の冒頭部で絶筆となったものを収録してます。SFMagazineやSFJapanを一冊買うよりは楽しく読めた気がするのですが「はっはー、これがSFだぜぇぇぇ!」と高く拳を突き出せるほどの自信には欠けていた気がします。読んでいる側の私の感性が鈍磨していただけかもしれません。中高生の頃に読んだSFにはもっと何かわくわくするものがあった気がするのですが。

 なんとかしてそのわくわくを自分の手で掴みたいゾ。

 上で「病み加減」と書いたのは変化球が多かったから、かな。「これがSF」というわかりやすくバーンと来るものがなくて、常人の感覚から外れていることをひけらかす話ばかりであった気がします。それは確かにセンス・オブ・ワンダーですが、人格障害のようなキャラや時間軸の撹乱に「これがSFなのかな」とすっきりしないもやもやを感じます。でもなんでもやもやしてしまうのかが私自身にもわからないもどかしさ。

 『NOVA2』の準備も着々と進んでいるようです。次も読んでみよう。

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