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『心をつくる』クリス・フリス

心をつくる―脳が生みだす心の世界
クリス・フリス
岩波書店
2009.5.28
2730円

★★★★☆

 冒頭を読んでくすりと笑ってしまいました。「心理学はまともな学問とは思ってもらえない」というエピソード、他の心理学者の本でも読んだことがあったので。心理学者たち共通のちょっと自虐なジョークなのでしょう。CTやMRIが登場する前だと冗談にもならなかったかもしれません。

 最初はこの本もよくある脳研究の事例紹介――人の行動と脳の障害を関連づけてみせたり、非侵襲的観測による脳の機能の局在を解説するのだろうと思っていました。実際、半分近くまでは確かに“よくある”パターン。ところがベイズの定理が登場して印象が一変しました。認知と行動という臨床の視点に情報処理という考え方が加わったのです。それ自体は脳科学の研究では珍しいことではなさそうな気はするのですが、この種の解説本で情報理論的なアプローチは新鮮でした。これは面白い! その後に紹介される“世界モデル”も「なるほど!」と膝を打つのですが、違和感なく納得させられたためか読み終える頃には当たり前のことに思えてきます。私は最初からこんな考え方をしていたのではないだろうか、と。何か魔法でもかかっているかのような本でした。心理学者の書いた本だから?

 読んで面白かったし、説得力もある本でした。おすすめ。

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