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『大量絶滅がもたらす進化』金子隆一

大量絶滅がもたらす進化 巨大隕石の衝突が絶滅の原因ではない? 絶滅の危機がないと生物は進化を止める?
金子隆一
ソフトバンククリエイティブ サイエンス・アイ新書
2010.2.25
1000円

★★★★☆

 久しぶりの金子隆一の古生物本。表紙や帯には「巨大隕石の衝突が絶滅の原因ではない?」「絶滅の危機がないと生物は進化を止める?」「絶滅が進化を加速する」などとありますし、タイトルからも大量絶滅をテーマにした本であるような印象を受けますが——実際、大量絶滅について論じている本ではあるのですが、内容は進化論史の紹介でほぼ半分を費やしている進化テーマの本でした。

 創造説から進化論への歴史を追い、現代ではどの程度進化について把握できているのかを確かめることに230ページ中98ページを割いていることからもこの本における“進化”の扱いの重さがわかるかと思います。そしてそこから絶滅史を追い、大量絶滅の原因を論じはじめるのが残りページも少なくなった第四章。これではボリュームが足りないのでは、と思いながら読むとやはり個々の絶滅仮説紹介が駆け足になっていてちょっぴり不満だったのでした。う〜ん。サブタイトルというか煽り文句の「巨大隕石の衝突が絶滅の原因ではない?」というのが強すぎて絶滅仮説の検証本を期待してしまったのが不満に繋がった気がします。タイトルだけであれば断続進化説の本として納得できたかもしれません。巻末の文献リストからすると巨大隕石衝突説を否定するための新しい発見があったわけではないようなので、機会があればぜひプリューム説を補強する最新研究の紹介を期待したいところです。

 少々脱線の蛇足ですが。
 四月に録画しておいた放送大学の古生物の授業を見たのですが、その中で「隕石衝突説は検証された!」的な紹介がされていて「えええ?」と違和感を感じておりました。『大量絶滅がもたらす進化』以前から絶滅の隕石衝突説には問題点が指摘されていたので。ところがTwitterでそのことに触れてみたところ東北大の検証論文が元になっているのではないかと教えていただき「なるほど!」と思ったのでした。あれ? せっかく『Science』に掲載されたのに日本語の記事はどこで読めるんだろう。日経サイエンス……は『Scientific American』の翻訳誌だったのを思い出しました。デジタルの英語版『Science』買ってみようかな。(概要) 図書館にもあるみたいなのでそっちを読んでこよう……。
 偶発的な巨大アクシデントひとつで恐竜類がごっそりいなくなるというのは納得がいかない派なのでちょっぴりやきもき中。先日読んだ『地球生命は自滅するのか』の影響ですが、デカントラップも巨大隕石衝突も生物の自滅的暴走の引き金を引いただけなんじゃないかな、なんて想像は偶発衝突で核の冬により〜というのより魅力的な気がします。

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