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『できそこないの男たち』福岡伸一

できそこないの男たち
福岡伸一
光文社新書
2008.10.20
861円

★★★★☆

 生物における性の起源とそのメカニズムの解明史を綴った本。
 内容は確かにその通りなのですが実際に読むと少しばかり印象が違うと思います。初期顕微鏡を開発した超絶技工の職人技。根気と緻密さの必要な研究に支えられた発生研究。苛烈な研究競争。「性」とは違う意味で生臭い研究者。けっして無味乾燥ではない血の通った科学の姿。性というシステムの解説に絡めた数々のエピソードが生物学を生き生きとしたものに変えてくれる本でした。

 この本は性システムの解説だけではなく、何かメッセージを含んでいるような気がします。性の仕組、起源の不思議に取り付かれた生物学者たちが研究に惹き付けられていくその気持ち。科学解説本という体裁はとっていても、科学の成果そのものではなくそこに携わった者ならではの感動、感慨を伝える本だったのかな、と。

 内容は全般わかりやすいのですが、DNA関連の説明はいまひとつすっきりしませんでした。DNAについては図解が欲しかったように思います。百科事典の例えは煩雑で文字を追う目が滑りがちでした。

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