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HILARY HAHN HIGDON & TCHAIKOVSKY VIOLIN CONCERTOS

Higdon & Tchaikovsky Violin Concertos (輸入版)
Hilary Hahn
Deutsche Grammophon

★★★★☆

 国内盤が先行で2010.5.26に登場し、9月になってようやく海外盤が出たヒラリー・ハーンの新譜です。

 ヒグドン・ヴァイオリン協奏曲。ヒグドンって聞き慣れない作曲家ですが現代の人だそうです。ハーンが学んだカーティス音楽院の先生だとか。聴いてみると確かに現代的ではあるのですが、同時に古典的な印象でした。細かな音の並びは“現音”っぽいのに、メロディもよく聴くと“現音”っぽく捉えづらいヘンテコなのに、通俗的というか耳に馴染みやすいというか。曲の進行とともにイメージがいつの間にかまったく変わっていたりするあたりはやっぱり現音っぽいのかも。

 カップリング曲のチャイコフスキーは異色演奏。メロディアスで華やかでくねくねで煌やかに演奏されることの多いこの曲が、歯車のようにカチコチ駆動されています。音がつながるよう強弱・強弱と色彩をつけていくのがこの曲のスタンダードな演奏の気がするのですがそういった脚色が排されてみるとアララ? 実はチャイコンってすごく変な曲なのでは、と思えてきました。シベリウスのVn協と並んでハーンの有名曲風変わり録音になってる気がします。これはチャイコンの再発見っぽいアプローチかも。初演を依頼されたアウアーが「演奏不能」と拒否したのはこんな感じの素のチャイコンを頭の中で鳴らして気に入らなかったのかもしれません。スコアはアウアー版ではなくチャイコフスキー・オリジナル版に従っているとライナーノーツにありました。このオリジナル譜の選択もハーンらしい。おー。そういえばチャイコンの初演を行ったアドルフ・ブロツキー、ハーンの師匠であるヤッシャ・ブロツキーと関係あるのかな?
 一楽章はややゆっくりめに聴こえる寂しげな音。盛り上がりを避けている感じ。でも演奏時間を見てみるとオリジナル版の演奏時間としては特に長くない。リズムを揺らさないことで淡々と聞こえたということでしょうか。三楽章もあまり盛り上がらずにハーンの頑固職人めいた面が強調された気がします。イギリスに征服されたロシア@アルコール抜き、みたいな。

 チャイコンはやっぱりお風呂の鼻歌みたいなのがいいな、なんてちらりと思ってしまった一枚でした。

 ハーンが「カルメン」を弾いてもやっぱり既存のイメージから離れた演奏になるんだろうな。ハチャトリアンVn協もオイストラフの録音とはかけ離れたイメージのものになりそう。
 じゃあ、バルトークは?
 聴いてみたいです。すごく。

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