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『つぼみ』Vol.12

つぼみ Vol.12
芳文社まんがタイムKRコミックスGLシリーズ
2011.6.12
★★★★☆

 今号は表紙に合わせてか題字の「つぼみ」も歯車になっていたりして。表紙と掲載漫画との連動があったり、少しだけ変化の兆し。表紙の色調も創刊の頃は和を連想させる中間色という感じだったのがアクが抜けてきた気もします。
 帯は今回もよくわからないなー。少女もろいからかいきゃくしあわせものな、錯誤温度かごのとり。

表紙 小梅けいと

 シチュエーションがよくわかって、訴求力もあって良い絵だな〜。

扉絵 カズアキ

 見覚えのあるタッチ……と思ったら昨年末のリニューアルから百合姫で表紙を描いているカズアキだ! ライバル誌の表紙イラストレーターを起用とは面白い。……この扉絵、右端の綴じ側の際を見ようと表紙をぐーっと開いてみた人が幾人もいる予感。

ウミニソラ 〜The Ocean Meets The Sky〜 小梅けいと

 究極超人あ〜る、あるいは鉄腕アトムに代表されるような等身大の人型ロボットストーリー。部活、変人の脇役、手足モゲ、と学園ロボット物としてはお約束の要素を押さえつつ……う〜む、科学部(主人公はアクシデントから科学部のアンドロイドと縁を持つ)のむさ男面々がキモい。というのは実は些事で、このお話には現代の「ロボット」に関わるテーマや詩情が素晴らしくうまく絡めてあります。機能の制限となる設定、引用される宮沢賢治、人工知能像。カサハラテツローのタンデマインの無骨なメカっぷりも素敵でしたが、単に「ロボ」を出しただけではないというのが伝わってくる短いシーンがあります。正直、シビレました。
 これは連載化されると嬉しいかもしれないけど、このまま一回ですっぱり終わった方が印象が良いかもしれない。表紙連動だけのことはある今回のMVP作でした。

星川銀座四丁目 玄鉄絢

 湊先生と喧嘩してプチ家出中の乙女。今回はお話通じてやきもき。次回はすっきり収まるところに収まるといいな。

ひみつのレシピ 森永みるく

 部長はそういえば受験生でした。そして若槻はやっぱりおばかなのでした。お色気劇場に“ピリ…”に、もうほんとにばかでばかで可愛い。夏合宿ではきっとさらにおばかな若槻が見られるはず。楽しみ。八月には単行本にもなる模様。

prism 東山翔

 端正な線で写真で一瞬を切り取ったような構図が魅力の東山翔。画面にどこか静かな雰囲気が漂います。恋人同士となった光とめぐみなのだけれど、おおっぴらにしづらいが故の小ハプニング。『つぼみ』でもティーン女子同士の淡い思いから明確に同性愛テーマを扱うものが増えてきたのは『百合姫』化のようにも思えました。雑誌としてある程度続くとテーマの幅を広げるのは必然なのかもしれません。

しまいずむ 吉富昭仁

 今回はGOSICKのヴィクトリカかと思うようなロリィタ服キャラが登場。前号のサダコキャラと合わせて一気に賑やかになりました。

ロンリーウルフ・ロンリーシープ 水谷フーカ

 ひゃー。ごろごろごろー。悶える。あれ? え? ええ? えええええっ?
 わ〜、次号はま〜だ〜?

Green. 大朋めがね

 つぐみもめぐみもこれまでで一番可愛かった。ちゅーしてるとことか特に。

異文化より愛を込めて 縞野やえ

 扉ページの感じは以前の「ガールは待ったなし」を連想させるはっちゃけそうな感じだったけど、今回はちょっとコミカル、割とシリアス、くらいの配分でした。

むすんでひらいて イコール

 Vol.9掲載作の続き。丸顔低頭身キャラで着替えシーンからばばーん。最後の「ピンクで…」は何を指していたのかな。ボケたオチの気がするんだけど伏線はカラーで読みたかった気がする。

くらいもり、しろいみち 由多ちゆ

 しょうはいつちはるの目のことに気づいたのだろう。とVol.10掲載の第一話を読み返してみたら、う〜ん、ラジオを持ってきちゃったことに気づいた時かな? 飴玉ネタはきっと映画『ブラインド・フューリー』。違うかも。あっちは石だっけ。

センチ・28cm やとさきはる

 『つぼみ』より『ひらり、』に載っていそうな感じの慎重さのある二人の初々しい話。

私の愛する河野さん 芥文絵

 すぐ前に掲載されていた「センチ・28cm」と並ぶと比較的近い雰囲気の漫画に思える絵柄なのに、中身で思い切り「同性愛者の悩み」が登場してギャップの大きさが引き立ちました。こういう話も好き。どちらかというと『百合姫』に載りそうなテーマではないのかな。『つぼみ』の特徴ってなんだろう。

プライベートレッスン ナヲコ

 幼少期のたまごの回想シーンから始まってどうやら最終回? 巻末の著者コメントでは単行本の予告と一区切りっぽい挨拶が。これからも続くのかな? お話としては余韻のような引きを作りつつ、最終回らしくもあり……という感じ。

 創刊からしばらくはオール読みきりを売りにしていた『つぼみ』ですが連載の比重が上がってきてみると「芳文社の百合雑誌」以外に明確なカラーが見えなくなってきた感じがします。百合漫画の総本山としての『百合姫』、少女漫画タッチの『ひらり、』と比較するとやはり少年漫画的というか『アフタヌーン』っぽいコアな漫画読者向けである気はするのですが、以前ほどはっきりとしていない気が。
 『百合姫』が「ゆるゆり」でマスターゲットを、「百合男子」で新しい何かを、と積極的に打って出ているのに対して、雑誌ではなくアンソロジーという形をとっていることもあって方向性が見えにくくなっている気がします。小梅けいとの表紙連動漫画のような試みがそのあたりを打破するきっかけになるといいな、と思ったのでした。

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