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『化石から生命の謎を解く』化石研究会

化石から生命の謎を解く 〜恐竜から分子まで〜
化石研究会編
朝日新聞出版
2011.4.25
★★★★☆

 「科学的アプローチ」をテーマに章ごとに異なる著者が執筆した化石分析の最先端の話題がぎっしり詰まった本です。化石研究者というとハンマー片手に荒れ地をさまよう「化石ハンター」のイメージが一番に立ち、その化石の見た目から元の状態を想像して〜というような研究が想像されるのですが、この本を著した化石研究会の面々は化石研究に現代科学的なアプローチを持ち込もう、という研究者たちなのだとか。「CSI化石捜査班」?
 紹介されている研究もアプローチの方向もとても多様です。ケンタッキーフライドチキンを食べて骨を観察しよう!という話から、足跡化石、微化石、原生メタセコイア発見までの過程、真珠養殖etcとバリエーション豊富。微化石の堆積状況から古地理を解き明かしてマンモスやナウマンゾウの移動ルートを推測、なんてもはや微化石の研究なのか化石ゾウの研究なのかわからなくなってきますし、真珠の研究などは生物の鉱物化という点で化石とは繋がっていてもその視線の先は現代の真珠養殖技術の革新に向かっています。メタセコイアやデスモスチルス研究の紹介はどちらかというと研究史を振り返ったもの。大勢の著者が原稿を持ち寄っているので悪く言えば「まとまりがない」のですが、現代科学の手法をあちこちから持ち寄るという総合科学として古生物学の姿も見えてきます。現代の古生物研究はまさにCSI並に広範な知識の集大成へと向かっているのだなー、というのが実感できる本でした。
 難点を挙げるとすれば文章かな。研究者たちの書いた原稿ということもあって基本的に「カタい」です。その固さを和らげようと部分的にこなれた/くだけた表現を投入する工夫がされているのですが、基本的な論調の固さまでは抜けなくてちぐはぐになっている章もちらほら。でも、そんな取っ付きにくさを補って余るくらい楽しいサイエンスのエッセンスがぎゅう詰めになっていたのでした。

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