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2011年9月の5件の記事

『つづきはまた明日3』紺野キタ

つづきはまた明日3
紺野キタ
幻冬社バーズコミックスガールズコレクション
2011.9.27
★★★★☆

 少し懐かしい感じをさせつつ現代でもある家族の日常を描いたシリーズ三冊目。母親のいない父・兄・妹の三人家族に叔母や隣家の家族が絡むしっとりほのぼのストーリー。何気ない毎日を大切に過ごすことを知っている大人びた小学生・はるかとその妹・さやが主人公。
 紺野キタのお話は『ひみつの階段』シリーズでもそうでしたが、昔のお話ではないのになぜかどこかしら懐かしいのです。『ひみつの階段』でも『つづきはまた明日』でも過ぎし日を振り返る視点を感じるから、かな。
 昔を振り返るだけでなくて、積み重ねた過去を元に次の世代を守り、バトンを渡そうという未来への前向きな希望/期待も感じられたりして懐旧だけではないのも好きなところ。
 それにしても子供って面白い。1巻からそうだけど清は膝を打つような発想を見せくれるし、スーパー小学生の杳にしても「そんなこともあったかも」と自分の過去を振り返りたくなったりして。ん〜、いや、こうだったら良かったな、かな。私の子供時代はもっと情けない記憶で山盛りでした。

 三巻目ということもあって読者も既刊を読んでいる層でしょう。紹介も今更ですが、紺野キタの漫画独特の、ページから漂うしっとりした質感、空気感は健在。紺野キタ未体験の方はぜひ1巻を手に取ってみて欲しいです。

 来月は『カナシカナシカ』も出るようです。楽しみ。

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『コミック百合姫』2011年11月号

コミック百合姫 2011年11月号
一迅社
2011.9.17
★★★★☆

 今号は書店を四店ハシゴしてようやく発見。ネット通販も品薄だったようです。『ゆるゆり』のアニメで捌けたのかな。

表紙:ガールズ・アップライジング 深見真/カズアキ

 あれ? え? FIN.って。まじですか。まだ終わってないというかこれからイイトコというか。一年連載してプロローグの気がする。続きは文庫になったりしないのかな?

ゆるゆり なもり

 百合姫掲載作紹介漫画も兼ねてる感じ。二話掲載で二話目は櫻子の姉妹登場。

ふ〜ふ 源久也

 今回もひたすらべたこらする話で読者に砂を吐かせるのかなと思いきや。新展開。

エトワール 黒霧操

 新刊を出したばかりの黒霧操。今回は演劇少女のお話。最後、セリフが見事にキマってた。GJ。

きものなでしこ 八色

 キモノ出そうよ〜、キモノ〜。国際色豊かというか無国籍漫画の気がする。それが今の日本……?

返信お待ちしております☆ 竹宮ジン

 ネットはほんと意外なところで人の繋がりがあるよね……。

よめとり! すこやか

 久々だけど相変わらずの謎のすこやかテンション。SFっぽい設定というか要素をぽこんと出してくるのはSF好きなのかな。

恋はお静かに かずまこを

 うはー。クール系キャラの心の声とかきゅーんと来る。少女漫画王道アクシデント型超能力。かずまこをの赤面キャラにはいつもやられる〜。

飴色紅茶館歓談 藤枝雅

 最終回っ。わ〜ん。連載間隔が不定期だったこともあって「あれ? 今回で最終回?」。41ページ掲載で今回作者もちょー頑張った。これは単行本が出てから改めて一気読みしないと。

飼い犬よ、手を噛め 森田季節/黒柾志西

 今回は伝奇じゃないぞ。美術室モノ、なんて書くとそんなジャンルがあるような気がしてくる。エロい! エロシーンはないけど、雰囲気が。字、ちっちゃくて小説コンテンツは読んでない人もいるかもだけど読むべし!

himecafe/ヒメトピ/ヒメレコ

 今回のゲストはかずまこを。仕事場解説イラストがカオスでナイス。かずまこをは整然とした絵柄なのでなんとなく机の上も整理されているような気がしたけどそうでもないらしい。作家の仕事場紹介シリーズは毎回楽しみ。

さかしまシンデレラ 大沢やよい

 気軽な女子校病の恋愛ごっこかと思いきや……。ほのぼのしっとり繊細な描写からドタバタ展開まで盛り込むめりはりのある作風で一気に引き込まれます。

私の世界を構成する塵のような何か。 天野しゅにんた

 天野しゅにんたはチャレンジャー。単純に好き合ってらぶらぶ、というお話では物足りない描き手なのかも。前回は非性愛キャラで今回は非恋愛体質のキャラを主人公に。しかも連載。「ゆるゆり」効果で初めて『百合姫』を手に取った層にはどう映るのだろう。百合好きの中でもかなり濃い人向けの天野しゅにんただけど、少女漫画的な恋愛モノよりはこういった野心的なアプローチの方が百合ジャンルに縁のなかった人たちにはなじみやすいかも。

名もなき草の花の野に 大北紘子

 かなり好み。とても好み。娼館を舞台にしたお話で百合モノとしては少数派ではあっても古典の定番舞台設定。最近だと『エンジェル・ウォーズ』という映画で近い設定、雰囲気のシーンがあってイメージの引き金を引かれました。

熱帯のリリオン 井村瑛

 独特のタッチで百合姫コミック大賞から出てきた作者。力強いタッチによく合う舞台設定。民俗モノという分類になるのかな。ジャングルの狩猟民的な共同体で過ごす少女たちと掟を絡めたお話でした。

もう好きなんて言わないから さかもと麻乃

 アイドルネタです。正直「ちょろい設定で来たな」と思ったのですが、あれ、あれれ、面白いじゃないかー。最後のまとめ方もちっともちょろくないどころか良かった。

恋愛遺伝子XX 影木栄貴×蔵王大志

 車田正美風ドリームで笑ってしまった。そしてこの引き。次回はお約束のアレですね?とわくわく。

百合男子 倉田嘘

 カラーページの見開きがお花いっぱいで少女漫画してるのに、前回に続いて今回も男祭り。暑苦しい、暑苦しすぎるぅ。誌面がもうほとんど格闘漫画。もう啓介は今回の魚屋さんと結婚しちゃえよ、みたいな。……へんな感想になってしまいました。

ロケット★ガール 田仲みのる

 今回は主人公のバックグラウド提示の過去篇と有無を言わさずに転がりはじめた状況篇。ふむ。巻き込まれ型の主人公ということもあってあれよあれよと展開していきます。デビュー予定のバンドの残り二人も登場して、次回はいよいよ始動かな。これは長く続く話になるといいなぁ。

レンアイ女子課 森島明子

 今回が最終回。うう。ページ足りてないよぅ〜。もっともっと読みたいよ〜。咲と黄実それぞれの葛藤シーンも読みたかった。足りないくらいがちょうどいいのかもしれないけど、やっぱ足りな〜い! 11月に発売の単行本2巻でもフォローあるかもしれないけど、プラスもう一冊くらいはドラマありそうな女子課の顔触れの気がする。
 咲とアリスはどこかちぐはぐ感あるコンビながら、現実感と夢がほどよくブレンドされる組み合わせなのだと幸せな気持ちになれたのでした。

 宮木あや子の小説「あまいゆびさき」は今回はお休み。次回予告にはありました。楽しみ。テクノサマタの連載は予告にリストされてなかったけど載って欲しいなぁ。そしてcover storyの予告がなもり。クールでオサレな新装百合姫からまたイメチェンなのかな。次の一年はゆる系デザインになったりするのだろうか。

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漫画作成ソフト・画男を試しました

 画男(GAMAN)を試してみました。コミPo!的な3Dフィギュアで漫画を作成するツールです。

 まず最初にお断り。
 画男は個人で作成されていると思われるソフトで、今回試したのはテストバージョンです。商業製品であるコミPo!と同列には評価していません。

 今回は“起動テスト”への参加ということでまずは作者指定のテストデータを表示してみました。環境によっては起動しないこともあるそうで、作者さんはそのあたりの情報を欲しているようです。

Gaman_test

 スクリーンショットを撮ってテストをクリアし、「何か作ってみよう」と思ったものの触り方がわからず戸惑って週末まで持ち越し。サイトのチュートリアルに沿って作業をしてはじめて手順が理解できました。
 どことなく業務アプリ風です。「汎用データ形式で関節がフル可動するフィギュアで漫画作成」という仕様を純粋に実現した印象で、内部構造の要求するおまじないのような作業が必要だったりします。
 チュートリアルに従ってできたのが下の画面。

Gaman002

 今回のフィギュアはMikuMikuDance用に作られたキャラデータですね。オリジナルのフィギュアデータもありましたが今回はウケの良さそうな「けいおん」キャラで試してみました。.x形式をサポートしていてMMD用に公開されたものが流用できるようです。フィギュアの関節はフル可動で自在なポーズを取らせることができます。上のスクリーンショットは「ばいばい」のプリセットポーズを試してみたもの。媚びが足りないかな、ということで肩、足の付け根、膝を微調整したのが左下。変形コマやレンダーなど試してみたのが右下。

Gaman003Gamantest_2

 手足、首、胴から髪の毛まで、動きそうな部分はおよそすべて動かせます。画面右側のリストから項目を指定し、右上のメタセコ風3Dハンドルで操作します。キャラを直接マウスポインタで操作するタイプではありませんが、フィギュアの関節数からすると画面上のフィギュアをつついて動かすのは現実的ではなくこれで正解かも。IKは切ってあるっぽいです。
 直接画面をドラッグ操作するのはコマやマンプ、効果線程度。慣れてしまえばどうということはなさそうですが、とっつきは悪い部類かな。

美点

  • 汎用データ形式
  • 関節がフル可動
  • モノクロフィルタがけっこうイイ

難点

  • アンチエイリアスなど表示品質面
  • 操作のわかりにくさ

 個人がこの規模の仕様を形にできただけでも賞賛に値するはず。「すごい」と思いました。
 操作に関しては慣れでカバーできそうですが、ドットのギザギザを目立たせないよう進化するといいな。

★ ★ ★

 画男と前後してセルシスのCLIP PAINT Labも試してみました。現在テストバージョンが無料公開されています。こちらは3D関連の仕様は画男と近く、加えて2Dのラスタ描画ができるリッチな仕様。さらにWin&Mac両対応。UIは画面ぐりぐり系で難解さはないのですが、フル可動する関節を直接ポイント操作するのは厳しいものがあります。ラスタ・3Dを使い分ける仕様を飲み込むのにもそれなりに時間がかかりそう。まだテスト段階ではありますが機能面ではとてもリッチですしCLIPのデータライブラリと連携するために素材環境も充実しそう。企業製品のテスト版ということで見た目も隙がありません。作画への拘りが強くカスタマイズ性や自由度を重視する人はこれに期待してみても良いのかも。
 コミPo!は「コミックシーケンサー」と銘打っている通りですが、こちらは「手描きを3DCGで代替」する方向性を予感させます。

Clip_paint_lab


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コミPo!と記号と徒然

コミPo!記号論サムネイル
レイヤーリストサムネイル

 自作アイテムを多数投入して、今のコミPo!の制約のひとつ「素材不足」を解消を試みた「シルバーハライド」

 「あれ? 自作アイテム30点ってこんなもん?」と思ったのではないでしょうか。

 コミPo!漫画の作り手としてはキャラもポーズも背景も小物も、豊富であればあるほど嬉しく、カスタマイズの自由度が高ければ高いほど良い。——はずですが、最高の自由度=自作、を試みてもインパクトは出なかったように思います。自作アイテムの出来、物量不足、演出、ストーリーと理由は多々あるかもしれません。
 実は以前から漫画を面白くするためのツボはコミPo!ユーザの間でよく挙がる要望とはあまり関係がないんじゃないか、と思っていたのですが、自前で労力を注ぎ込んで実感しました。
 素材不足はあまり重要じゃない、と。

 たぶん、キャラバリエーションの不足やカスタマイズ性の低さも。

★ ★ ★

 コミPo!の実質的な作業を追えば見えてくることもあります。
 フィギュアを

  1. ドラッグ&ドロップし
  2. ポーズを取らせ
  3. フキダシと漫符マンプを添える

 こうして作られるのがコミPo!漫画です。とても明快な“記号”です。コミPo!のレイヤーリストを見ればコミPo!漫画が記号の塊であることに納得しないわけにはいかないはず。

 手描きの漫画であれば“絵”の部分だけを取り出しても表現・創作を感じることもできますが、コミPo!で表示されるキャラクターやアイテムはどれだけよくできていても、カスタマイズを施しても記号の範囲を出られないと思うのです。

 だって、コピペだもん。

 コミPo!漫画の画面に登場するのは、漫画制作者が作ったわけではない(とコミPo!を知る読者に認識される)複製品です。美しい/可愛い/カッコイイキャラクターやアイテムはコミPo!の製作陣、もしくはユーザアイテム制作者の功績です。読者はコミPo!による漫画の実体が右に貼った灰色シルエットの漫画と変わらないものだと直感してしまうはず。

 ネガティブですか? 某巨大掲示板のスレから拝借した意見のツギハギでもあります。
 ですが、私は記号として見たコミPo!にこそ可能性を感じます。3Dアイテムの製作に力を注ぎ、自作アイテム乱発のデテール漫画をせっせこ作っている私の主張としてはおかしなことかもしれません。ですが……

 ストーリーと演出だけで勝負できるのがコミPo!だと思うのです。


★ ★ ★

 『「コミPo!」製作委員会 田中圭一氏が語る「作り手であること」の意味』という記事を読みました。内容についてはこれまで田中圭一があちこちで語ってきたことと変わっていないのですが、よくまとまっていてコミPo!の未来が見えた気がします。
 記事の中で

まんが表現は体系的に構築すべきであるとは思っています。

『「コミPo!」製作委員会 田中圭一氏が語る「作り手であること」の意味』より

から始まる段落にぐっと来ました。これをコミPo!に実装するとなると、キャラメイク機能を基点にしたシナリオプロセッサ的なものが思い浮かびます。ハリウッドシナリオ術的な漫画構築ツール! それってパーソナル版の大塚英志漫画塾みたいなものじゃないですか。

 欲・し・い!

 某巨大掲示板コミPo!スレやTwitterでユーザから挙がるのは作画の表現力充実やカスタマイズ性強化が中心なようです。けれど記号操作ツールであるコミPo!で作画要素を強化しても、読者の作者への評価になりづらい——のは上で述べた通り。
 ならば記号として勝負のできるストーリー面と魅せ方を強化すべき、というのが田中圭一の発想ではないかと想像します。

 構成作業のサポートツール。
 小説やシナリオの世界ではアウトラインプロセッサ的なものも構成作業に使われたりもしますが、その実質は理想とはほど遠い単なるツリー構造化——目次作成ツール同然です。もし、田中圭一の示すコミPo!像が実現するならばサブカルチャーのターニングポイントとなるでしょう。

 田中圭一の「手描きを置き換えるツールではない」という言葉が深く印象に残った記事でした。

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『女の子×女の子コレクション』vol.3 ロクロイチ

女の子×女の子コレクション 3
ロクロイチ
松文館シガレットコミックス
2011.8.27
★★★★☆

 「女の子×女の子コレクション」シリーズではこの三巻が一番楽しめました。悲しさをスパイスにしたお話が好みだったのかも。成年指定で同性愛性描写を伴うのでお勧めできる層は限られてしまいますが、Wildroseシリーズや百合姫コミックスの単行本描き下しでロクロイチ作品が気に入った人にはツボだと思います。成年指定にした潔さも含めて、印象の良いシリーズ。

 三巻は四話収録。恋した相手に夢の中でだけでしか想いを打ち明けられず、現実ではひた隠しにする主人公の話「閉じこめたいの」、叶わない片思いに未練を抱きながらも出会い系サイトで体だけの恋人を得た夕里。体だけのはずの関係が……と展開する「私と世界を繋ぐもの」。小学校の頃に転入してきて以来の親友が高校生になって将来に向かって歩みだしているのを知って動き出す二人の関係を描いた「スリーピングリリー」。家業の仕事場に可愛いバイトの娘がやってきた、と始まる「君と結わえる」。三巻はサブタイトルに添えられてもいた一話目「閉じこめたいの」が出色でした。

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