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『カナシカナシカ』紺野キタ

カナシカナシカ
紺野キタ

新書館
2011.10.25
★★★★☆

 先月の『つづきはまた明日』3巻に続いての新刊です。

 タイトルの『カナシカナシカ』はどこで区切ればいいのだろう、カナシ−カナシカ? カナシカ−ナシカ? などと思いながら読みはじめたのでした。

 今回の主人公は不健康そうな男の子。『つづきはまた明日』のはるかもそうだけど見るからに美少年というのではないひょろ〜な感じの男の子が作者のお気に入りなのかな。現代の日本を舞台にするとそういうタイプの子が主人公になりやすいのかもしれません。ん〜。でも異界を訪れる主人公は男の子も女の子も活発なワンパクさんより、大人しくて内向的なキャラが多いかな。
 そう。今回の『カナシカナシカ』も異界のお話です。ジャンル的には児童文学的ファンタジー。現代物の漫画らしい描写があるので児童文学色は薄く見えますが(とくに導入部は)、真っ向ファンタジーです。そして——う〜ん、ストーリーの進展ともにじわじわと明かされていくネタのどこまで紹介して良いのか戸惑います。単行本カバー裏(バーコードのある側)にある説明はバレ要素強すぎる気がするし、帯の

こちらの世界と向こうの世界。
不思議な「えにし」で結ばれた迷い子二人。
紺野キタが紡ぐ不可思議ファンタジー!

というのは雰囲気は伝わるけれど内容はよくわからないまま。
 ストーリー的にはバレてしまっていてもまったく問題なく楽しく——いえ、ホロリとさせられると思います。大感動巨編とか衝撃のスペクタクルとかではなく、じんわり来るファンタジーでした。

 すずろ(表紙の女の子)も妹のゆかりも可愛いけれど、ワタシ的に一番お気に入りになったのは主人公のお婆さん。

 絵に描いたような「めでたしめでたし」ではちっともないのに「良かったなぁ」と思える落着点が示されて、『ひみつの階段』の頃とは少し違うトーンながらやっぱり紺野キタはイイナと思えたのでした。

 最後まで読んではじめてタイトルの音の区切りに得心が行ったのでした。

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