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2012年3月の7件の記事

『ひらり、』vol.7

ひらり、vol.7
新書館
2012.3.24
★★★★☆

表紙/扉絵 高嶋ひろみ

 加瀬さんシリーズから。上の画像の通り、色がとても綺麗。カラーイラストこんなに素敵な人だったとは。扉ページのプリクラ風イラストも可愛い。

愛を描く人 四ツ原フリコ

 四ツ原フリコ、絵の印象がすごく良くなった。丁寧。女子高生作家と昔風のツッパリ娘の話。絵もお話も『ひらり、』向けに調整してきた印象でよく馴染んでました。

この世にただ一人 藤たまき

 わぁ。小学生の登場人物、はまってる。ジュブナイル的なストーリーもいい。藤たまき好きだー。

異次元ダーリン 大沢あまね

 大沢あまねの今回は、同性愛カプの日常という感じ。気負いなく、自然体の日々がほのぼのと。恋愛と依存の境界で、依存に偏りがちなマイノリティの世界を描きに来たような気がします。絵柄もシーンも『ひらり、』的だけれどとてもガチなお話に思えたのでした。女性性を押し出して、でも自然体で。

女の子の設計図 紺野キタ

 第二話です。『ひらり、』での、というより最近の紺野キタは積極的に作風を変えて来ているようで『ひみつの階段』シリーズや『Cotton』、『百合姉妹』に掲載された百合もので強く押し出されていた少女性の描写が現代寄りになっているように思います。神秘性から身近な存在に。
 今回は男前の青音あとの女装?という妙な色っぽさや花南かなんのナイスバディな立ち姿が描かれ、どきっとさせられました。

ほんとのかのじょ 今村陽子

 わずか8ページだけれどビシッとまとめてきました。Vol.2のイラスト以来かな? 絵柄的には少女漫画/萌え漫画的ですががっちりギャグです。

すっぴんべっぴん 朝丘みなぎ

 この作者もVol.2以来。あはは。主人公の見栄を張りたい気持ちはよぉぉぉくわかる。

ロリータコンプレックス 吉田丸悠

 タイトルからロリータファッションの話か歳の差カプの話か、というあたりを連想したのですが違いました。子役芸能人二人の、プロフェッショナリズムを絡めたお話でした。作者は第1回ひらり、GLコミック大賞グランプリの方。

さろめりっく 袴田めら

 最終回。まだまだお話が続けられそうな展開だったのでちょっぴり意外でした。

春風と加瀬さん。 高嶋ひろみ

 加瀬さんシリーズ、前回はマラソン大会用に靴を買って、練習して、今回がマラソン本番です。おおう。ネタバレは避けますがひとつだけ。山田が加瀬さんに声援を送るシーン、カラーで見たかった。ここは“赤”の色でババーンとインパクト欲しかったー。

きっとずっと 平尾アウリ

 Vol.6ではとてもとぼけた不思議ちゃんノリで来ましたが今回は大沢あまねの「異次元ダーリン」ともどもセクシャリティど真ん中のテーマで来ました。8ページと短いながらぴりっと締まったお話。

お姉ちゃん 橋本みつる

 妹→姉と視点が切り替わっていく話で、どちらかの視点に固定した話だったらどうだったろう、となんとなく思いました。

唇に秘密を 八幡

 うわ〜、ひゃ〜、恥ずかし。もう読んでる途中で恥ずかしくってたまらなくなってきました。

箱庭コスモス 桑田乃梨子

 すでになんの漫画かわからなくなって――と思いましたが、桑田乃梨子の漫画はスタート時点から桑田乃梨子漫画以外の何者でもなかったことを思い出したのでした。

ピンク×ラッシュ TONO

 こちらのTONOも桑田乃梨子同様TONO漫画以外の何者でもないタイプ。マール・ツンツン写真集欲しいです。

氷糖プレパラート ふかさくえみ

 理系シャープ感と甘さの同居したタイトルがかっちょいい!一方で内容はほんわかなごめるタイプのお話でした。

あのこのすき、わたしのきらい 王嶋環

 これはまた見事なツンキャラ。Vol.5では四コマだった作者の12ページショートストーリー。

やわらかいあした 矢直ちなみ

 この季節に載せる話にぴったり! この登場人物たちに共感できる年齢の子たちに届いて欲しい気がした。中学の新入学生世代には百合専門誌はちょっと敷居高いかな?

魔女と騎士・海賊版 犬丸

 タイトル的に神林長平を連想してしまうSF読者。今回のは連作の演劇部話の劇中劇の部分だけ抜き出したもの、かな? この作者はこういういかにもお話めいた設定のがノリがいいような気がする。

コピーフレンド 麻友紗央里

 第3回ひらり、GLコミック大賞奨励賞作品。画力も構成も危なげないというか誌面で浮いてない。これだけ描けて奨励賞か〜とも思うけれど、賞向けとしてはインパクト弱め――かも。第1回グランプリの吉田丸悠とともに『ひらり、』生え抜きとして頑張れ〜。

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『原色の想像力2』

原色の想像力2
創元SF文庫
2012.3.22
★★★★☆

 『原色の想像力』第二弾。

 第二回創元SF短編賞の最終選考作十八作の中から七作と、受賞者による受賞後第一作が収録された短編集です。この記事では紹介&感想を兼ね、コミPo!による四コマ漫画もつけてみました。
 文章による感想は若干ネタバレ気味です。

繭の見る夢 空木春宵

繭の見る夢 空木春宵 とても美しいお話。
 ことさらに感傷的に叙情を訴えたりはせずにぐっと抑えているのに、文章のそこかしこから立ちのぼる色気が魅力。第一回の宮内悠介はざっくりと切り込んでくる恐ろしい刃物のようでしたし、同じく第一回の笛地静恵はゴリゴリと力強く鮮やかで色彩感のある文章が魅力でした。第二回では異形の酉島伝法と平安の雅な空気を湛えた空木春宵という対照的な文章を持つ作者が現れ、こぢんまりとした賞なのにすごい人が出てくるじゃないか、と溜息が出ます。

 舞台は平安。虫愛づる姫君と、姫君のために虫を獲ってくるために集められた浮浪児たちの日々を描く所から始まります。それだけじゃSFにならないじゃん!なのですが、姫君の身に怪異が起こり、とまずは伝奇に発展していき――これ以上の説明は無粋でしょう。『原色2』巻頭ではこのお話は「言語SF」と銘打たれています。物語のしかけはかなりはじめの方からキーワードが散らされていることもあって、読者は常にわずかずつ先を予想しつつ納得しながら読んでいく形になって、SFとしての意外性は感じられないものの気持ちよく物語世界に没頭できました。

 今作は割と有名どころに材を取っていたけれど、王朝文学専攻らしいこの作者ならマイナーなところからも面白い材料を見つけ出してきそうな気がします。次の作品もぜひ読みたい、と思わされました。

ニートな彼とキュートな彼女 わかつきひかる

ニートな彼とキュートな彼女 わかつきひかる 一次選考通過者の中に“わかつきひかる”の名前を見つけたときから「おおっ」と楽しみにしていました。プロの、かなり有名な方が投稿してくるんだ!と。

 可愛い、印象のお話です。

 そう遠くないであろう未来が舞台のボーイ・ミーツ・ガールの物語。といっても少年は就職に失敗してしまった青年ですし、少女は保育士をしている大人の女性です。異性との出会いもなく、パートナーがいるだけで“リア充”扱いされてしまう現代においては非常に身近に感じられるであろう「寂しい」がほのぼのとした文体で描かれます。SFとしてのキーはホームネットワークサーバー。人工知能のコンパニオンみたいな存在で、2012年の今だとiPhoneのSiriを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。あれをもうちょっと世話焼きにした感じ。

 SFとしてとても斬新であるというわけではないのですが、ライトノベルやジュブナイルポルノで活躍されている作家さんらしく、とても優しい視点で描かれる世界はなかなかに好印象だったのでした。

What We Want オキシタケヒコ

3_003 実を言うと、紹介ページで「スペースオペラ」とあるのを見て期待せずに読みはじめたのがこの「What We Want」。野田昌宏の「銀河乞食軍団」シリーズや「ローダン」シリーズ、「スターウォーズ」が苦手でスペオペに先入観を持ってしまっていました。

 ところが、読みはじめてすぐに「これは違うぞ」と気づきました。スペオペなんだけど、妙に濃い。なんか濃い。ハードSF寄りの感性を感じる。もちろん、ハードSFではなくて娯楽作品として非常に読みやすく作られていて、誰が読んでもノリノリで読めるはず。これは野田昌宏が読んだら、地団駄踏んで悔しがりそう。高千穂遙に『ダーティペア』で先を越されたときのように。

 主人公は二人。視点は脳味噌おばけ型箱入り宇宙人のトリプレイティですが、活躍の中心は破天荒キャラのスミレ。宇宙商人です。商人といえばコテコテの関西弁、という定番キャラでマジメなトリプレイティと芸人ノリのスミレとのドタバタコメディが、かなりしっかりと作り込まれた地球と宇宙文明のコンタクト設定を背景に進展します。

 スペースオペラは長編シリーズ化してなんぼ。これはぜひ連作短編でシリーズ化して、映像化もして欲しいです。作者はスパロボ2のシナリオ開発にも関わっていたゲームプランナー&シナリオライターだそうで、エンタメ性の高さに納得させられたのでした。
 面白くなるように作られているから、面白い。でもそれだけじゃない+Xがある、です。

 タイトルとエンディングでは音楽の力も発揮されていたりして、非常に印象の良い話でした。創元SF短編賞をメディア方向で有名にするとしたら、この人じゃないかな。

プラナリアン 亘星恵風

プラナリアン 亘星恵風 理科少年が大人になった話、かな。

 琵琶湖疎水、切り刻んでもそれぞれの切片が再生してしまうプラナリア。うわー。これ、いい。特に前半。作者自身の分身であろう理科少年の描写にぐっと来ました。
 SF部分はプラナリアというネタから連想しやすい展開でアイデアとしての突飛さは感じなかったものの、プラナリアと過ごした青春という前半の描写だけで十分魅力的なSFでした。

 少年時代からプラナリアと引き合う何か……みたいなものが強く打ち出されていたほうがよりSFっぽかったかな?

花と少年 片瀬二郎

花と少年 片瀬二郎 正直に告白してしまいます。私には「花と少年」の面白さがわからなかった……。

 頭にコブを持って生まれてきた少年・龍平。成長するにつれそのコブは伸びて、お花になったのでした。

 あらすじを説明するとこうなります。SF的には正体不明の敵が襲ってきて、頭のお花との関わりが〜というところも描かれていくのですが、ストーリーの中心は龍平のストレスフルな成長の日々で、この屈折した少年の育ちっぷりが正直読んでいてとても辛かった。少年に共感しての辛さではなくて、読むのがイヤでした。でもそれは下手だからではなく、むしろ筆力があるからこそ私の内側の「うわ〜、こういうのヤダ」が引きずり出されてきたのでしょう。

 同じ、読むのがイヤだと感じられる作品を挙げてみると『たったひとつの冴えたやり方』以外のティプトリーの作品群があるものの、ティプトリーの場合はイヤでキライなのにも関わらず幾度も再読してしまうという魔性の力がありました。
 「花と少年」はどうだろう。時間を置いて再び手に取ったときに、読まずにはいられなくさせてくれるかな?

Kudanの瞳 志保龍彦

Kudanの瞳 志保龍彦 伝説の生物“くだん”をモチーフにした話で、アイデア的には前例も多いとの選評でしたが、研究者のロマン/ロマンスをほのかな情緒とともに読ませてくれました。これは私は文章がかなり好みで、巻末の座談会評価とちょっと差を感じました。アンソロ収録が決まってから文章面で大きく手を入れたのかな?

ものみな憩える 忍澤勉

ものみな憩える 忍澤勉 紹介漫画では「SFだ!」と強調しましたが、SF度という点ではさほどでもありません。なのにSFを強く感じたのも確かです。西武線沿線のちょっぴり時代を重ねた駅前商店街の空気に実在感があって、これSFなの? SFなの?と思いつつ読み進めてなかなかSFにならず、ようやくSF設定が明らかになったというジラシで強く印象づけられたのかもしれません。老人の日常的な描写が不思議に魅力的に思えたのでした。

洞の街 酉島伝法

洞の街 酉島伝法 異形、としかいいようのない物語。

 『結晶銀河 (年刊日本SF傑作選)』に収録された第二回創元SF短編賞の受賞作と共通した作風のお話。
 大量に投入される当て字的な創作名詞たち。その分量と漢字の当て方が強烈。読者側の負荷が高いので、読み疲れて放棄してしまう人もいるのではないかと思います。とにかく読みづらい。
 あまりの読みづらさに一旦中断して、傑作選とこちらの選評を読んで、改めて「皆勤の徒」と「洞の街」に取り組んでみると……。あれ? そんなにわからなくない。いや、わからない部分はいっぱいあるけど、でも、思ったより馴染みやすい物語の骨組みがあって、登場する異形たちも異形ではあってもヒトとしての気持ちや繋がり方を持っていて身近な話に思えてくる不思議な読書体験が味わえます。初読だと紹介漫画みたいな反応になってしまうかもしれませんが。

 異形のキャラクターたちで埋め尽くされた、スターウォーズのような、(言葉遊びの面からは)漫画の蟲師のようなねちょぐちょワールドはぜひ読んでみて欲しいと思いました。設定は確かにSF的ではあるのですが、投入されているセンスは怪奇小説的。読みづらいのも本当なのですが、この濃厚な個性の出現に注目しないのはもったいないです。二作も読んで馴染んでみれば、異形スタイルの物語が自然に頭に入ってくるようになること請け合い。

 読者を改造してしまう、豪腕だと思いました。

★ ★ ★

 私自身が投稿している新人賞ということもあって非常に強い関心を持って読むことができました。この『原色の想像力』シリーズに掲載されている小説たちは私にとってはライバル……というより“壁”です。この原色たちを超える――少なくとも並ぶレベルのものを書かなければ落選となるのです。

 なんて遠い。

 そう思いました。
 酉島伝法や空木春宵の創作に全霊をかけていることの伝わってくる作風。オキシタケヒコの、ゲームというシビアなエンタメの世界に身を置いている人ならではの力量。第三回にも、次回にもそんなパワフルな人々が原稿を投じるのでしょう。

 とにかく、全力を尽くしてぶつかれた、と言えるだけのことをしてみようと改めて思ったのでした。

関連リンク

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『コミック百合姫』2012年5月号

コミック百合姫 2012年5月号
一迅社
2013.3.17
★★★★☆

表紙 なもり

 紫がかった髪の子は2012年7月号の隠れたページの子かな。栗色ショートのプレイガールを軸に展開している模様。どうなる、次号!

卒業禁止 大沢やよい

 前回のブラックヤギーはインパクト強すぎるくらい強かった大沢やよい、今回はしっとり地味めの卒業話。絵柄も安定してて、色んなアングルでの人体デッサンも不安げなく。五月にはコミックスも出るようで楽しみ。

犬神さんと猫山さん くずしろ

 毎回トバしてて息切れしないのだろうかと思いつつ、もっとやれーと声援を送ってしまうのであった。今回は二本立て。すごくいいポジションにいる秋が羨ましくなってきました。

愛と仕事と金の話をしよう 大北紘子

 大北紘子はぱりっとした、目力?のある絵とざっくり心をえぐっていく設定が魅力。今回はDV被害者であり生活能力のないヒロインという、地味ながら一部読者には心に痛いであろうキャラが投入されます。この人は百合以外でも仕事来そう。

いじめっこ すこやか

 直前に載っていた大北紘子はDVでしたが、こちらは謎バイオレンス。バスケ部の先輩後輩で〜という設定説明が無力な気のするすこやかワールド。

ふ〜ふ 源久也

 はやせ×小麦回。掲載順はバイオレンス繋がりかな。小麦のどつき加減は痣になりそうな激しさの気が。coldsweats01

神様を待ってる 慎結

 悲しい設定のお話。Twitterによると「百合姫掲載作は、実体験が元になっています」とのことで尚更に。

きものなでしこ 八色

 ほのぼのと微笑ましい展開に頬が緩みます。いよいよ次号は着物回かな? 今回も二本立てです。

ゆるゆり なもり

 着ぐるみ系パジャマパーティと沈黙劇の二本立て。

ウタカイ 森田季節/茂田家

 しっとり雅な短歌モノを想像して読みはじめたら……。あれ? あれれ? ジャンプ系超能力バトルみたいなノリ。しかもいちゃこら度高め。「歌のボクシング」的な側面もある短歌をまんまバトル小説にしてみましたというこの話、連載のようですがやっぱり強い敵がどんどん出てくる話になるのでしょうか。

himecafe

 常連作家が一巡したみたい&アニメ第二期も控えたなもりの二回目の特集。単発掲載の作家さんも載せていきましょうよ〜。『ひらり、』や『つぼみ』みたいに漫画は載せてるけど編集部記事のないアンソロの作家さんも百合姫でインタビューしちゃえばいいのに。作家さんだけでなくて百合アンソロ/雑誌系編集者の座談会企画とかも面白いんじゃないかな〜なんて。『エス』みたいなイラスト誌がやっている作家特集みたいなの希望。

SSを書こう

 少し前にもあったSS特集。「ゆるゆり」のSSを盛り上げたいみたいだけど、ハウツー記事よりSS小冊子とか実例を見せる方がわかりやすいかも。

ロケット★ガール 田仲みのる

 今回のテーマは外見と音楽と。ロックには付き物の葛藤がピンチヒッター演奏イベントを通じて描かれます。これはまた次回が待ち遠しい引っ張り方。

藍色アプローズ ちさこ

 双子ネタ。非常に好きな設定だ〜。双子の部屋やベッドといった背景にももちょっと愛があるともっと素敵なのに。

ふたりのミルキーウェイ 森島明子

 俺様千秋様のような、でもちんちくりん系主人公の演劇モノ。シナリオ書きの主人公と演劇部の子とで、え〜と、役どころの説明はけっこう難しいな。今回、主役二人がちんちくりん系ということもあってか絵柄がコミカルな方に寄っている印象でした。

水深 井村瑛

 この作者は百合姫の枠からはみ出しちゃうような話が合うんじゃないだろうか、なんて思った。

あまいゆびさき 宮木あや子

 来た来た来ましたよ。期待通りの展開だけどこれはもう前回あたりから「期待しなさい」と示されていた道筋だけに涎だらだらでマテの姿勢。さらにワンクッション。次回こそご褒美クライマックスの予感。

私の世界を構成する塵のような何か。 天野しゅにんた

 見開きタイトルページが「いま7人の関係はどうなっているでしょうか? 線で繋いでみましょう。」でキャラ一覧が。たーしーかーにーわからなくなってた。

STEP UP 竹宮ジン

 前号に続いてのリョーコとあーちゃんの話。一冊分、この二人のストーリーになるのかな?

零れ桜 黒霧操

 話もうまくなってる。絵の安定度も上がってきてる。頑張れ新人さん。

恋愛遺伝子XX 影木栄貴×蔵王大志

 コテコテ少女漫画系悪役のエリカ様すてきーっ。婚約者という勝者の立場にありがならサクラを取られることを心配してしまう。乙女だ。

百合男子 倉田嘘

 今回はちょっとおとなしめかな?と思ったけど啓介のSS妄想シーンが良かった。しかしこの話、着地点が想像できないゾ。単行本二巻のドラマCDは啓介登場しないそうだけど、逆に男だらけのドラマCDで良かったんじゃないかな、なんて思ったり。

 今号お休みだった再田ニカのサーカスもの、次回は載るようです。楽しみ。テクノサマタの「宵待群青姫王子」そろそろ続き来るかな?と思ったら、作者が昨年末に病気をしてらして休業してたんですね…。お仕事再開してるようですが、大丈夫かなぁ。続きを楽しみに待ってます。
 第7回の百合姫コミック大賞が3/30に締切だそうです。今回はどんな人が出てくるのかな。

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SF短編『漫画脳BMI』

 第三回創元SF短編賞において一次通過・二次選考落ちした作品です。


漫画脳BMI
2012.3.21公開
ダウンロード

「世界中の“ぼく”にわずかでも共感を」

 「攻殻」みたいな便利な電脳デバイスの普及するちょっと前、ブレイン・マシン・インターフェイス黎明期に登場したコミフレという技術をきっかけに、未来に思いを馳せてみませんか。


ジャンル:SF全年齢・50枚
  • テキストは青空文庫のタグを使用しています。一般のテキストエディタでも表示できますが、青空文庫ビューワで表示すると読みやすくなります。
  • 青空文庫ファイルはZIPで圧縮しています。
  • 枚数表記は400字詰原稿用紙換算です。

注意事項

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『TUKIKAGEカフェ1』川原由美子

TUKIKAGEカフェ(1)
川原由美子
朝日コミックス
2011.3.16
★★★★☆

 月影カフェは星ノ井なのだな、と思ったのでした。
 #1の、囲まれたビルの隙間に覗く月。深く降りて行った底にある月世界。深い井戸の水面に映った月が月影カフェなのでしょう。#2の扉絵は――細胞のようでもあります。

 

 『ななめの音楽』以来活動ペースの上がっている川原由美子の新刊です。
 『ななめの音楽』では全ページ横長四コマで映画のスクリーンのようなページを作っていました。今回はコマとフキダシを極端に減らしたモノローグ調で、全編を通じて詩のような印象に。一、二ページだとこういう作りの漫画も見かけますが、全てこの構成で綴られた漫画はにわかには思い出せません。これでストーリーが載せられるのだろうか、と不安に思いつつ読み進めてみれば杞憂であることがわかりました。

 すごくイイ。

 幻想的に綴られるのは“月のひと”の訪れるビルの谷間にある不思議なカフェ。

応募もしていない
アルバイトの
採用通知が
やってきた

みはらしのよい
山頂カフェ
高給優遇

はて?

 こんなシーンから始まる『TUKIKAGEカフェ』。不思議で、ファンタジーで、ポエムで、ときどきSF。作画の印象は『観用少女』より『ななめの音楽』寄り。メカ成分は少なめで花、服といった華やかな要素が強調されるのでそういう点からは『観用少女』的だけれどコミカルな要素は少ない大人の雰囲気です。
 物語は最初は希薄に感じられ、幻想的なお店で給仕をする少女の不思議な日々が淡々と綴られる連作短編集なのかなと思いきや。じわじわとこの世界のイメージが広がって行き、緩やかな繋がりを持ったお話たちへと展開します。ハリウッド映画のような明確なドキドキワクワクも劇的感動ストーリーもあるわけではないのに、あれ? あれ? なんか感動しちゃってるよ、うわぁ、大好きだこれ、となっている自分に気がつきます。お話の骨格はきちんとありつつ、あまり出しゃばらずにすーっと染み込んでくるみたいな。

 ああ、#4に登場した青年の淹れたお茶、飲んでみたい。

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第三回創元SF短編賞

 第三回の創元SF短編賞投稿作「漫画脳BMI」は一次選考通過、二次落ちの結果となりました。
投稿作は少し手を入れ、当ブログで近日公開の予定です。

 第二回分の「くさびらリング」は大幅な改稿を進めています。

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『96%の大絶滅―地球史におきた環境大変動』丸岡照幸

96%の大絶滅―地球史におきた環境大変動
丸岡照幸
技術評論社知りたい!サイエンス
2010.3.26
★★★★☆

 先に読んだ『決着!恐竜絶滅論争』は内容のしっかりした最新の恐竜絶滅仮説の本でしたが、あまりに衝突説寄りであるのが気になっていたので、読みのがしていたこの本を手に取ってみました。『決着〜』より古い2010年出版の本であるものの『決着〜』で端折られていた衝突説の詳細部分が詳しく解説されているのと同時に、衝突説自体の堅牢さがどの程度のものであるのかを多面的に解説しているフェアな視点の本でした。

 タイトルの“96%”という数字は恐竜絶滅――中生代末の大絶滅ではなく、古生代末の大絶滅を指します。ただし、より詳しいことがわかっている衝突説の検証と解説にページ数が割かれていて、古生代末の絶滅に関しては全210ページ中の65ページ程度が費やされています。

 中生代末――KT境界における絶滅のシナリオについてはわかっていること、わかっていないことをきっちりと挙げていき、衝突説以外の仮説がなぜ脱落するのかを明確にし、衝突説にまだ不足している部分、反証となり得そうな部分をわかりやすくしめしてくれます。隕石の衝突自体はほぼ確定的なのだと、この本でも先の『決着〜』でも思えましたが、恐竜の絶滅原因としては最有力候補というだけでとても確定的とはいえないとこちらの本を読んで感じました。
 実際、2010年の論文紀要にもKT境界より新しい地層から得られた恐竜化石をウラン−鉛同位体年代測定法で直接年代を計測した、なんてのもあって相対年代(KT境界を挟んだ上下)からも絶対年代からもKT境界以降に恐竜が生き残っていた可能性が示されます。この報告は先の『決着〜』の元となっていてる論文が発表された半年ほど後のものです。これに対する反論は衝突説側からはなされているのでしょうか。

ウィグナルによる絶滅への連鎖モデル サムネイル 古生代末の大絶滅に関してはチュクシュルブ・クレーターのような決定的なイベントの痕跡が見つかっていないようで、海洋無酸素事変や硫化水素の痕跡から複雑な連鎖モデルが提案されていて、これが非常にややこしいながら魅力的です。白亜紀末の隕石衝突もこの種の連鎖モデルが必要なのだろうと思います。
 右の図はこの本の中で紹介されていた「ウィグナルによる絶滅への連鎖モデル」をIdea SketchというiOS Appに入力してみたものです。

 最後は現代の人類による進行中の絶滅イベントについて触れられていたりして、古生物の話もまた現代にリンクする話であるとまとめられます。

 文章は比較的平易で、グラフもたくさん用いられており、全ページ二色刷りということもあって見やすい本ではあるのですが、情報の密度が高いので「すらすら読める」類の本ではないです。特に紹介されているグラフは重要で、これをちゃんと消化しつつ読むとなると速読は無理です。
 2010年代のPT境界絶滅仮説進展が楽しみになる本でした。オススメ。

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