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2012年5月の8件の記事

『彼女とカメラと彼女の季節(1)』月子

彼女とカメラと彼女の季節(1)
月子
講談社モーニングKC
2011.5.23
★★★★☆

カノカメ風
↑のキャラの出てくる写真ネタのコミPo!漫画あります
第01話
第02話
第03話

 良かった!

 写真ネタ×百合の漫画です。写真ネタもイメージ先行でなくきっちり「写真」している感じがして、きっと作者が写真好きなのだろうな、と思わされました。

 表紙カバーでヒロイン・ユキが手にしているのはYASHICA FLEXを模した実在しないカメラ、だそうですが、検索してみると“OTOWA FLEX”も実在する二眼レフカメラであったようです。外見は不明。音羽光機製作所というメーカーの模様。作中では講談社の所在地から「OTOWA」とつけたのでしょうが意外な偶然が。
 表紙の二眼レフだけでなく作中で登場するのはフィルムカメラばかり。現像や暗室作業といったカメラオタ向けの蘊蓄はあっさりめですが暗室の光景などはさりげなくいい感じ。ユキさんのというよりは作者の写真愛が伝わる表現と日常的ながらパリエーション豊かな小エピソードの連発に引き込まれました。

 百合、と冒頭で紹介しましたが『百合姫』etcのような最初から恋愛漫画として作られた百合漫画たちとは少し違う感じもします。男子も絡み、ユキさんは謎キャラで、主人公は割とフツウの子のはずなのだけど男子に関心がないことにさえ自覚がないらしいナチュラルなキャラ。同性へのドキドキもあるけれど百合好き向け専用ではなく青春の一部としての百合なんじゃないかな。榛野なな恵の『ピエタ』紺野キタの『Cotton』といったマリみてブーム以前の百合要素のある漫画たちに近い感触。
 とはいえ主人公のあかりはいいよる男子に「うぜえ」とこめかみに青筋を立てるそっち系。対するユキさんは奔放というかフリーダムというか。バンギャっぽい先の読めなさ。意外な設定が後から明らかになる男子キャラも含め「どうなるのだろう」と二巻が楽しみです。

 このKANO*CAME世界ではデジタル写真はどういう扱いになるのかな、とふと思いました。


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百合アンソロジー『Dolce』

百合アンソロジー Dolce
エンターブレイン
2012.5.25
★★★★☆

 『amaro』というアンソロジー形式のコミックの百合特集版が今回の『Dolce』であるようです。『amaro』vol.1〜3の段階でも魅力的な描き手を揃えていたようですが、どういうアンソロジーなのかがわかりづらかったのかな。今回は“百合”に絞ってタイトルも一新。『amaro』vol.2の“男装女子”というのも面白そう。
 掲載陣は、

イラスト:なもり/小梅けいと/ひびき玲音/加茂/みずのもと/ソウマトウ/八色/しらび

漫画:茉崎ミユキ/真西まり/水瀬るるう/飴沢狛/ナヲコ/たまつー/ピカチ/百合原明/水本正/ミズタマ/渡まかな/やまもとまも/黒井みめい・稀周悠希/ささきあきら/MATSUDA98/ベンジャミン

と百合漫画では割と馴染みのある人が。全242ページで『つぼみ』『ひらり、』よりわずかにボリュームが小さい程度。普通の単行本くらいの厚さを予想していたのでずっしりで驚きました。

 作画の水準はアンソロとしては高め。「同人方向に偏り過ぎ……」とクセの強すぎる作画に困惑することもなかったです。表紙カバーや巻頭も含めてイラストに力が入っている感じ。漫画だけで16篇あり一作ごとのページ数は少なめ。

 今回の『Dolce』ではナヲコと百合原明、水瀬るるうがお気に入りとなりました。イラストのみずのもとも好み。公式サイトに試し読みページもあるので購入を迷っている方は眺めてみられてはいかがでしょう。大勢の作家さんが描いているので好みの作家探しにも良さそうです。百合度は概ね友情から一歩踏み出すか出さないか……くらいの感じで、大きく踏み出しているというかぶっちぎりなのは妖怪もののベンジャミン。いえ、具体的なエロ描写はないのだけれど人外エロス漂ってます。

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『SILFRA』HILARY HAHN & HAUSCHKA

SILFRA(輸入版)
HILARY HAHN & HAUSCHKA
Deutsche Grammophon
★★★★☆

 ヒラリー・ハーンの新譜です。今回はHAUSCHKAとの競演――だそうなのですか、HAUSCHKAって誰?状態でした。どうやらパフォーマンス寄りの表現者の模様。Youtubeで検索したところ、こんな動画がヒットしました。

 わは。面白い〜。
 CDだけ聴いてもこの面白さは伝わらない気がします。弦の上で飛び跳ねるタブレットケース。ピンポン玉。子どものおもちゃ箱のようなピアノの中。
 恐らくこのCDの録音においても上の動画のような光景が繰り広げられていたのでしょう。あるいはもしかしたらハーンのヴァイオリンでも同種の試みがなされているのかもしれません。そんな想像をしながら聴くと――ほら、このCDも「ちょっと変わった音のピアノ伴奏曲」だけではなくなった気がしませんか。
 目で見ても楽しい。

 ヴァイオリン奏者としては超正統派で音程とリズムの精確さが飛び抜けているちょっぴりお堅い印象のヒラリー・ハーンが、真剣に、でも気さくな楽しさを提供している録音ではないかと思います。
 楽器の音色を楽しむ、という点では確かにゲンオンかもしれませんが、聴きづらかったり眠くなるタイプの前衛ではないはず。

 HAUSCHKAのサイトに試聴コーナーもあるので、上の動画共々チェックしてみられてはいかがでしょう。

 私が購入したのは輸入版ですが国内盤『シルフラ』には日本版のみのボーナストラックも収録されているようです。

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『コミック百合姫』2012年7月号

コミック百合姫 2012年7月号
一迅社
2012.5.18
★★★★☆

 表紙がすごくカッコイイ! これは通販サイトの商品写真だと伝わらないクール感。

表紙 なもり

 メタリック風の処理に青のトーンがかかっているのがとても涼しげで文句なしに素敵です。ピカピカの処理を選べばこーなるという簡単なことではなく水中感を出すために相当トライを繰り返したんじゃないかな。デザインしている人には一種理想の雑誌じゃないかって気がしました。

名前はまだない かずまこを

 純情まっしぐらキャラからミステリアスキャラにシフトしてきている気がするかずまこを。読み切りだとは思うのだけど先が気になるなぁ……。

Nińas -わたしとあなた- 慎結

 慎結は身近なところから題材を得ている作家さんなのかな、とTwitterでの呟きを拝見していて思います。スペインから来たカタコト少女のお話。さっくりした感じの少女漫画らしさ全開で好感触でした。

魔少女 さかもと麻乃

 ぉ〜。タイトルページ素敵です。お話も語り手の先生に共感できる部分を持っている自分がちょっと寂しく感じられて、それがなんともいえない読後感に。『リスランタンプティフルール』からはちょっと想像しづらいこちらのさかもと麻乃が好み。

ケミカルロマンス 大沢やよい

 花粉症百合とでもいうべきでしょうか。いえ、百合花粉でアレルギーが、というベタな話ではなく。アオリをつけるなら「鼻水が結んだ恋!?」とかでしょうか。う、美しくない。でもユーモラスな話の運びで花粉症ネタとぴったりでした。

STEP FORWARD 竹宮ジン

 ぐっさん&リョーコシリーズ。今回は立場がちょっと変わって、リョーコが思われる側に。今回の話、このペアのシリーズの中で一番好みです。

恋愛女子探偵ファイル・前編 森島明子

 ぶはっ。今回の森島明子はなんだかはっちゃけております。恋愛女子課シリーズで咲の当初の恋人として登場した漫画家・黄実と私立探偵クリスの、微妙にコントっぽいお話。いえ、コント成分は主にクリス担当で、下ネタ系ダジャレで誌面に独特のテンションを作ってます。

犬神さんと猫山さん

 今回は新キャラ登場。杜松ねず……ってフリガナないと読めないよっ。髪型は、あれ? ツインテは丸くお団子じゃないんですか? あ、アメリカの国民的アニメキャラから苦情が来そうだったからおさげとか? なんにせよ、ますます賑やかになりそうです。

私の世界を構成する塵のような何か。 天野しゅにんた

 うーむ。さっちゃんの彼氏はすごくハズレっぽい。百合漫画の男キャラとはいえ。天野しゅにんたはキレイな少女漫画的なキャラやドラマではなく、雑然というか混沌というか、少しだらしないくらいの自然であったり自己矛盾しているキャラたちを描こうとしているみたいです。そのスタイルが合う人には気に入るはず。逆に純正少女漫画調が好きな人にはとっつきにくいのではないかと思います。溜めの展開が続いてきたここまでですが、次回はすごく楽しい回になりそう。

鎖の斬手 大北紘子

 大北紘子はこれまでの百合姫作家とはちょっと違う感じの、ぽこんっと離れたところにあるアイデアにSFっぽさを感じます。SFといってもサイエンスではなくセンス・オブ・ワンダーかな。設定に香る独特さ。恋愛漫画としての定石には囚われず異世界を描くのがうまくて。今回も“鎖”で両手を結んだ何か芸事らしき修行者の世界が描かれます。わずか18ページで明らかに違うとわかる世界。

ゆるゆり なもり

 今回は良い話風の展開。作中でそうセルフツッコミが入ってもいるのだけどほんとにそういう話……なとこもあるのです。

ウタカイ 森田季節

 前回はバトるストーリーらしい、というのとラブラブなのはわかったけれど肝心の歌垣うたがきの正体はあまりはっきりとしなかったのですが、今回、じわじわと説明が入りはじめます。この小説は短歌への道案内的な効果になると面白いなあ。いえ、小説にそういう仕組を、というのではなく『百合姫』読者を短歌に誘うきっかけになったらいいな、という意味で。短歌自体にあまり馴染みがない私なので、作中で詠まれている歌の良し悪しも正直わからないのですが、なるほど!って感じの萌え短歌なのはわかります。そこからもう一歩読者としてステップアップするとより楽しめそう。「漫画しか興味ない」という人も読んでみればアツいバトルに思わず拳を握ると思う。字、ちっちゃくて読みにくいけど、オススメ。

きものなでしこ 八色

 巻中カラーから始まる今回のきものなでしこ。浴衣キター。見開きもキター。紙質も巻頭のカラーとは違って工夫が凝らされている気がする。ともかくも、やっとタイトルらしい展開になってきて嬉しいところ。これからもこの路線がいい! いいなぁ、キモノ女子。

金星のカノジョ 黒霧操

 キャラ絵も背景も頑張ってる気がする! お話の構成も天文ネタを重ねて工夫を感じる。新人さんはうまくなってくの見てると応援したくなります。

迷彩トルソー 井村瑛

 絵も話の設定も不思議なオリジナリティのある井村瑛。今回は“変身”がテーマ。

ふ〜ふ 源久也

 今回はきなとすぅちゃんの番外篇的な猫話。読んでいて照れくさいいつものノリとはちょっと違うしっとり回。

ロケット★ガール 田仲みのる

 前回の終わりから今回の繋がりはわからなくはないけど今ひとつしっくり来ない……かな? 奏が挫折状態にあるのだけれど、そのきっかけが不明瞭な感じ。立ち直り回になるであろう次回に期待。

あまいゆびさき 宮木あや子

 クライマックス回。むふー。「ウタカイ」の方でも掲載小説勧めましたが、こっちも読めデスよ。

百合男子 倉田嘘

 誌面でのネタ扱い、そろそろ苦しくなってるような。いや、ページを開いて思わず笑ったけど。単行本では普通に読ませてくれることを祈りつつ。漫画自体でばっちり面白いのでネタ扱いなしでもいいと思うんだけどなー。単行本第2巻が6/18発売。楽しみ。それにしても師匠、強運ですね。私も『百合姉妹』の頃からプレゼント応募してたけど何も当たったことがなーい。

飴色紅茶館歓談 藤枝雅

 番外篇っぽい感じです。ロリータブランドロゴの入ったチェーンソウはちょっといいかもしんない。次はいつ載るのかな? 不定期連載ということだけど。

恋愛遺伝子XX 影木栄貴×蔵王大志

 悪役エリカ様がどんどんカワイイキャラになっていく。この展開はアレですねミ……いや、なんでもないです。きっとやってくれるであろうお約束が炸裂しそうな次回がとても楽しみなのでした。

ブラックミモレ ちさこ

 まだちょっとお話の流れでぎこちない感じもあるけど頑張れ〜。

Cirque Arachne 再田ニカ

 回を重ねるごとにデフォルメキャラの比重が増えて行くのは作者のギャグ体質ゆえなのか。もっと演技・練習シーン見たいな〜。肉体美を描ける人だと思うので女性ならではのしなやかな筋肉見せて〜。

曖昧distance ふき

 第七回百合姫コミック大賞蒼玉サファイア賞受賞作。ストーリーも絵もよくできてるバランス型、という印象。今後が楽しみ。

 小袋のおまけが綴じ込みでついていて中に「ミラクるん」と「ライバるん」のカードが入っておりました。

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藤田弘基写真展「カラコルムヒマラヤ大星夜」

 写真展を見てきました。

R0015935

PENTAX FORUM
藤田弘基写真展
カラコルムヒマラヤ大星夜
2012年5月16日〜5月28日

 星景写真はデジタルカメラの進歩で撮影方法が大きく変わったジャンルです。この写真展もデジタル写真なのだろうと思って見に行ったのですが、フィルムカメラによる撮影でした。ブローニー版のフィルムに円周魚眼レンズを組み合わせ撮った夜のヒマラヤ。

 カッコイイ……。

 今ならばデジタルで地上の風景と星の明かりとのバランスを整えた写真を撮るのもそう難しくなくなって来ました。デジタル受光素子はアナログフィルムに数倍する量子効率を誇ります。相反則不軌もありません。コンポジット撮影というデジタルならではの手法もあります。暗い被写体を撮るには、アナログフィルムは圧倒的に不利なのです。

 なのにこの素敵な星景写真たち。撮影行も相当に重ねたのでしょう、火球を捉えたミラクルショットもありました。もちろん、アナログ故のノイズだってあります。解像度も中判といえど35mmフルサイズのデジタルに追いつかれてしまっているでしょう。露光時間が限定されることも絵作りの制約になります。
 けれど、バッテリーの心配なく、意外と軽量な中判カメラであるからこそ20世紀末からゼロ年代にかけてのカラコルムでの撮影チャンスを生かせたのかもしれません。

 見に行って良かった。

 同テーマの写真集も出るようです。

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クリンナップ

 招き猫写真も久しぶりの気がします。すっきり片付けられた直後の奉納所。

 ちび招き猫が集団を作っていました。

豆招き猫集合

ちょっと不気味

千羽鶴と豆招き猫〜ズ

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『少女機械考』阿部嘉昭

少女機械考
阿部嘉昭
彩流社
2005.10.5
★★☆☆☆

 よくわからない。

 そんな感想となりました。
 澁澤龍彦の『少女コレクション序説』や大塚英志の『少女民俗学』に連なる類の本かと思って読んでみたのですが、違ったようです。

 この本は漫画を中心としたサブカル的作品を素材に“少女”について語る、というスタイルを取っていると思われるのですが

  • 素材とする作品についての紹介が紹介として機能していない
  • あまり一般的でない言葉に独自のニュアンスを込めて使用しているようで意味が汲み取れない
  • 連想らしきものは並べられるが論理が見えない

と読む者を拒絶する要素が多く、一応最後まで読みはしたのですが反論も共感も湧かず、で感想らしい感想も持てませんでした。読むそばから内容がこぼれ落ちていった印象です。『ハウルの動く城』という有名作も素材に使われているので(材として取り上げられている他の作品を知らなくても)著者にどれくらい共感できるのかのバロメーターになるのではないかと思います。たぶん、読む側に著者に近い感性が必要とされるのでしょう。

 目次を紹介しておきます。

連接の無限性少女機械について
弱体化の完成金原ひとみについて
身体衝動の自動性綿矢りさについて
少女性と内密性の連絡高浜寛について
希望体がかたどる性差消滅福島聡『少年少女』と浅野いにお『素晴らしい世界』について
ズレを語るための美少女の代入会田誠について
商品性と少女性の連接ハルカリについて
娼婦機械による死の分配東京事変『教育』について
少女の多時間性と定位不能性宮崎駿『ハウルの動く城』について
見ることとみられることの等質化辺見えみりの自写像について
近く自体の少女機械化化オノデラユキ『cameraChimera』について

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『無限振子 精神科医となった自閉症者の声無き叫び』Lobin H.

無限振子 精神科医となった自閉症者の声無き叫び
Lobin H.
共同医書出版社
2011.2.5
★★★★☆

 先日読んだダニエル・タメットの本に続く自閉症関連書籍。今回は精神科医となった自閉症スペクトラムである著者による手記です。タメットの一冊目の『ぼくには数字が風景に見える』と同様、幼少時からの成長の記録です。精神科医として実務を積んだ著者が、衝撃的な出来事を契機に初めて自閉症スペクトラムと診断された現在までを綴ります。

 読むのが辛い内容でした。
 文章自体は達者で、十分に読みやすく整理されています。辛かったのはその内容。自閉症スペクトラムに気づくことなくことなく過ごして来た半生は読むのがとても辛かったです。
 学力面でとても優秀で、精神科医になってしまった著者がコミュニケーションに困難を抱えるはずの自閉症であった、というのは不思議に思える話ですが、この本を読んでいくと「こんなこともありうるんだ」と重い気持ちになります。そして重い気持ちを増加させるのが自閉症スペクトラムとしての特徴の羅列で、著者のケースでは極端だとは感じるものの、あれ? これは私もじゃないか、と思わされるポイントが多いこと。試しに本書の中で紹介されていたAutism-Spectrum Quotientなるものを試してみたところ

あなたの得点は30点です。

社会的スキル
8点
注意の切り替え
6点
細部への注意
5点
コミュニケーション
6点
想像力
5点

という結果でした。上限は50点で、33点が自閉症スペクトラムのカットオフポイント。ちょっとでも内向的な性格であれば30点前後まで到達してしまいそうな質問が並びます。社交性の低い性格と自閉症スペクトラムは地続きなのだな、と納得する結果に。
 自閉症スペクトラムの境界があいまいなこと、自閉症スペクトラム中でも特性は多様なのだろうことは最近読んだ自閉症関連本でわかってきた気がするものの、自閉症スペクトラムという診断を下される人々の実際の困難――当人の苦しさ――は想像することしかできませんでした。でも、想像の手がかりにはなった……かな。

 子どもの頃から“仮面”的人格を作り続け、自閉症スペクトラムの診断を受けて初めて小さく押込められ未発達であった“私”=本来の自身を発見できた、というところでこの本は一段落しています。そのあまりにはっきりとした“仮面”と“私”の峻別が読んでいて不安になるくらいでした。自身の発見から“私”の成長が始まるのかもしれませんし、診断は本当に著者にとって救いになったのかもしれませんが、劇的な認識の変容が恐くもありました。

 自閉症関連書籍の一冊としてオススメに入れたいです。

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