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2012年8月の10件の記事

電子書籍の増加率

 ITmedia eBookUserでは毎週末、電子書籍ストアの蔵書数チェックをしています。その記事の統計の2011年1月21〜2012年9月14日までをグラフ化してみました。

電子書籍ストア蔵書数グラフ

 “書籍”は“コミック”も含み、“雑誌”は“書籍”とは別カウントの模様です。グラフの系列数が多いのでちょっと見づらくなってしまいました。
 Koboは折れ線に大幅減がありますがこれは重複分を差し引いたら実点数が大幅に減った、というカウント方法の変化のようです。

 GALAPAGOS STOREの内訳がこちら。

Galapagos Store蔵書数グラフ

 メモ。

  • 毎年七万点を超える紙書籍が出版されている
  • 大日本印刷などが著作権管理業務をはじめている
  • 大手印刷会社はデジタル版下を保存・管理する業務を行っている
  • 大手印刷会社は70〜80年代から出版のデジタル化に備え業態の転換を進めている
  • 「出版デジタル機構、ビットウェイと電子書籍取次・配信システム構築へ」
  • 緊デジ”の「制作開始」書籍数は358+67=425タイトル(8/29現在)
  • 出版デジタル機構の公式サイトを見ても「出版デジタル機構とパブリッジが目指すもの」を読んでも事業内容がわからない
  • 税金主体のファンドが150億円を投じて立ち上げた出版デジタル機構/パブリッジ
  • 電子書籍タイトル数増加の内訳はコミックが97%(GALAPAGOS)、82%(Reader)、56%(Kobo)コミックが33%(GALAPAGOS)、44%(Reader)、17%(Kobo)を占めている
    ※統計方法が安定して以後で計算 9/14統計ミス訂正
  • 世田谷区の地域図書館が概ね蔵書8万冊。中央図書館が44万冊。最大クラスの書店は150万冊。

 電子書籍のタイトル数増加率があまり上がらない理由を書いてみようと思って集めてきた材料なのですがうまくまとまらなかったので。

  • タイトルを増やす努力はしている
  • 電子化のフローがあまり効率の良くないところで固定化されてしまっている

というあたりはグラフから読み取れるような気はします。
 後者の原因として想定したボトルネックが「電子化の許諾」でこれはさらに「著者の許諾」と「出版社の許諾」に分かれるのだと思います。が、明らかにする情報ソースが得られずに思いつきで終わりました。

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『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』大沢やよい

ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ
大沢やよい
一迅社百合姫コミックス
2012.5.18
★★★★☆

 五月発売タイトルで遅ればせながらの感想です。

卒業禁止

 卒業をきっかけに髪を染めてみたり、関係が変わったり。何かが起こりそうな期待感をお話に。

ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ

 動画サイトでの女子高生DJ?二人を描いたお話ですがインパクトのあるヤギーと女子二人の組み合わせの妙が思い切りハマった表題作。ヤギー様の部屋、訪問したい。『エコエコアザラク』全巻セットがありそうな。『百合姫』2012年11月号からこの話をベースにした連載が始まる模様。とても楽しみ。

さかしまシンデレラ

 さかしまって最近あまり聞かない単語です。なんで“さかしま”?というのは読んで納得なのですが、シンデレラはあとがきの解説を見てわかり、笑ってしまいました。確かにそういう絵だ〜。

真夜中グラヴィティ

 これはちょっと重たい話。不安定になっていく恋人がちょっと怖くて、悲しくて。

夕暮れ、オレンジ、咲く花は

 これは、切ない。同性愛者と噂の子と友だちになってみたら……、というお話。

劇薬まどれーぬとブラックヤギー

 まどれーぬ×ヤギーの逆視点お出かけエピソード描き下し14P。チビキャラってるときのヤギーさんカワイ♡

あとがき

 3Pで作品解説の裏話?が充実していて描き下し作品ともども単行本を買って良かったポイントでした。

 百合姫コミック大賞出身の新人さんなので『百合姫』購読者以外には初めて見る作者さんになると思います。癖のないプレーンな、でも好感の持ちやすい絵柄。あまり新人っぽさを感じさせない手慣れた印象のタッチ。お話の雰囲気も親しみやすい自然さがあって百合漫画初心者にも抵抗なく読めるんじゃないかと思います。ガチな同性愛設定もあるけど描写は大人向け少女漫画くらいの感じでページを開いてぎょっとさせられることもありません。
 逆視点の描き下ろしを読んでいてふと思ったのですが「ブラックまどれーぬと劇薬ヤギー」編なんてのもありえそうな気がしました。
 本棚にあるとなんとなく目について、繰り返し読んでしまう一冊となりました。

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『ミズイロ、ソライロ』慎結

ミズイロ、ソライロ
慎結
一迅社百合姫コミックス
2012.8.18
★★★★☆

 『ROSE MEETS ROSE』が気に入って楽しみにしていた慎結の百合姫コミックス第二弾。『百合姫』に掲載された六編+扉カラーイラスト+22ページの描き下ろし一編+あとがき漫画3ページ。

 『百合姫』掲載作もあらためて読み返すと好みだ〜と思います。どこかざっくり感のある少女漫画タッチ。尖っていて、傷つかずにはいられない少女という生き物。絵に描いたようなハッピーエンド、とは限りませんが、傷を癒すようなほっとする読後感。
 海へと入っていく少女を引き止めたことから始まる表題作「ミズイロ、ソライロ」、保健室登校の生徒と養護教諭の関係を描く「glass rose」、言葉の壁で馴染めずにいた海外からの転入生を任せられてという「Niñas」、親友がラブレターをもらってしまっていても立ってもいらない「rose letter」、唯一?のほのぼの話「sunny rose」、ちょっと重たくしんみり来る「神様を待ってる」。そして描き下しの「わがままな人形」は同性愛嫌悪のお人形さんのようなヒロインと親友とのはらはらするお話。
 吉屋信子の時代から連綿と続く少女小説の系譜を感じる、のですが、作者さんはそんな歴史を意識しての作風というわけでもない気もします。掲載誌的に百合設定は大前提ですしセクシャリティやマイノリティ寄りの要素も盛り込んではいますが、“少女”を描きたくて生まれてきた作品たちなのではないかな〜なんて思いました。

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『つぼみ vol.19』

つぼみ vol.19
芳文社
2012.8.10
★★★★☆

 今回は森永みるくがお休みでちょっと寂しかった。ご本人のブログ告知によると次号から再開するそうで一安心。vol.19発売日は『つぼみ』掲載コミックス単行本がまとめて出て賑やかでした。

ベツキス 百合原明

 表紙カバー+巻頭カラー+巻頭掲載とセットの百合原明特集号。カラーが映えます。今回は単行本1巻同時発売。ぶちゃ猫可愛いよぶちゃ猫heart04

神さまばかり恋をする 一花ハナ

 こちらも単行本1巻発売。身近な感じのする神さまたちを含め、キャラの関係がさほど明確ではなかったところからぐぐぐと動き始めた感じがします。

星川銀座四丁目 玄鉄絢

 前回、波乱で大きく盛り上がったところからしっとり落ち着いたフィナーレを迎えた星川銀座。次号にもおまけの話が載るそうで楽しみ。ちょっと前のカラー絵の謎の解明回でもありました。まだ謎がいっぱい残ってる気もします。

総合タワーリシチ あらた伊里

 今回は二話掲載。
 神奈さん、あんた最凶……。そして後半のちはや回いい感じでした。

ミルノ観察日記 八神健

 八神健はvol.13での扉絵イラストに続いて今回は漫画で登場。すごくダメな大人キャラで来ました。

嘘つきと観覧車 杉浦次郎

 男装女子モノ。ワンコ話のイメージが強い作者でしたがプレーンな話で少し印象が変わりました。

前略、百合の園より 須河篤志

 今回のテーマは“おあずけ”かな。実は漫画描きであるコワモテの百合とSキャラを演じて?いるっぽい委員長のシリーズ。委員長、ボケキャラ入ってました。

魚の見る夢 小川麻衣子

 わーん。今回短いよぅ。4P。次回予告みたいな前振り回でした。

少女サテライト はみ

 かっちりしたストーリーや設定があるわけではなさそうな気もするのですが、断片のシーンのなんとなくな感じは悪くないこの連作シリーズ。今回は宇宙ネタ音楽で。

&ドロップアウトあんどろっぷあうと TOもえ

 メインはタイトル通り主人公に仕えるアンドロイドとの関係のようなので、もっとそっちよりのお話でも良かったかな?なんて思いました。

恋愛のできないお仕事 コダマナオコ

 色もの御当地アイドル三人組。ピーナッツのピー☆ガールってあんまりなネーミングだ〜と笑ったあとにカチッと決まる壁ドン。これだ〜。コダマナオコのキメシーンはとてもぐっと来るのです。主人公はリナですがヒロインの位置にいるのは小春のようで美人カットの小春が可愛い。

大正水玉奇譚 ていか小鳩

 作者ブログによると三人組であるらしい作者さんは初登場。大正ロマン的な時代背景で幽霊モノ。好感度の高い作画、うまく組まれた構成、小物や言葉遣いの大正的演出と今号のMVP。甘酸っぱいお話は作中に登場させたカルピス的イメージの飲み物とよくあって、いっそカルピスの協賛をもらってしまえばいいのに、なんて思ったのでした。

16歳のとりせつ とび

 おつきあいを始めたばかりの初々しくてもどかしい感じとギャグ寄りのノリが楽しい。二ページ目最初のコマは大ゴマで見せてぇぇぇと主張したいのでした。強く。

花と星 鈴菌カリオ

 ぉぉぉ。とっても百合漫画らしい展開。これまでの主人公のとんちんかん振りが見違えます。花井さんは朴念仁型主人公なのによく頑張った。星野さんもぶきっちょゆえの唐突さでよく頑張った。隔月連載でドタバタ面の印象が強かったけど単行本でまとめて読むとストーリー構成ががっちりしてるのが見えてきそう。

銭湯ハワイspa番外篇 かずといずみ

 「銭湯ハワイ」はwebコミックがメインストーリーなのかな。最初に読んだとき「番外篇」の文字に気づかずに湯浅さん中心の百合ハーレムになるのかと一瞬変な期待を。かずといずみはこういう楽しい展開を継いでいく話が好きだな〜。

しまいずむ 吉富昭仁

 年長組本格描写キター……のですがやはり吉富昭仁。一筋縄では行かない。

★ ★ ★

読者プレゼント

つぼみ Vol.19 つぼみ普及委員会 百合原明

 この号の『つぼみ』の読者プレゼント(懸賞)、当たりました。(2012/11/9)
 「つぼみ普及委員会」のポスターです。百合原明先生の絵です。かわええ〜。

 生まれて初めて読者プレゼントなるものが当たったのでした。

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百合とSF 2012

 百合SF
 今年読んだSFの中で百合要素のあったものをピックアップ。

 各々のタイトルでレビューしているものもあるのですが「百合」と紹介してしまうとネタバレになりかねないのでそのあたりははっきりさせないようにしていたのですが、それだと百合オタの人々に届かないわけで。
 というわけで百合オタでSFオタ向けのお勧めタイトル。

 以下、ネタバレありです。

続きを読む "百合とSF 2012"

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『NOVA8』大森望編

NOVA8 書き下ろし日本SFコレクション
編集:大森望
河出文庫
2012.7.20
★★★★☆

 今回は山田正紀の「雲のなかの悪魔」がカッコよかった。すごく。

 先頭に掲載されていた北野勇作「大卒ポンプ」の紹介文にてバチガルピの『第六ポンプ』の影響を挙げていて『NOVA8』を読もうとして『第六ポンプ』から読むことになったりと多少回り道もしたけれど、楽しく読めました。

大卒ポンプ 北野勇作

 タイトルで出オチじゃん!と思いつつも楽しく読めました。北野勇作らしいまったり?感もありました。

#銀の匙/曠野にて 飛浩隆

 飛浩隆は二話寄稿。両編とも共通した設定のお話で『NOVA1』収録の「自生の夢」とも同ワールド。複合現実ARやライフログ的なものに生まれた瞬間から囲まれた世代の詩人の話。〈夢字花ムジカ〉といったこのシリーズの造語の語感が面白かった。

落としもの 松尾由美

 とんがったSFじゃないけど、ほのぼの可愛い話でした。ケモノ好きと眼鏡好きにはとても楽しい、両者を兼任していればなお楽しい。ビジュアルは水玉螢之丞のイメージが浮かびました。砂浜で拾った眼鏡に関する謎解きのストーリー。

人の身として思いつく限り、最高にどでかい望み 粕谷千世

 田舎村に自称・カミがやってきた! しかも次から次へと願いを叶えてくれる。さあ、どうなる? 産業革命以前的な世界や人々のデテールの濃さといった違いもありますが星新一を思い出させてくれました。

激辛戦国時代 青山智樹

 タイトル通り、戦国の歴史を演出したのが激辛料理だったらどんなだろう、というギャグもの。バカSFに分類されそうな気はするのだけどもっとバカでもOKですよ? これは唐辛子をアメリカ新大陸から持ち帰ったワールド編も読みたい。

噛み付き女 友成純一

 ううむ、ううむ、ううむ。エロさや怖さが合わさったグロでもあるはずなんだけどのほほんとした「バカネタですよ〜」という雰囲気もあって直前に載っていた「激辛戦国時代」ともどもB級SFの雰囲気。

00:00:00.01pm 片瀬二郎

 『原色の想像力2』の「花と少年」、『NOVA7』の「サムライ・ポテト」に続いて新たな側面を見せてくれる片瀬二郎。今回は突然静止した世界を描く……のですがちょっぴり嗜虐というか残酷描写もあったり。「花と少年」で扱われたいじめの描写も含めてそういうイメージを描くのが得意なのかな。

雲のなかの悪魔 山田正紀

 今回一番印象が強かったのがこれ。流刑星からの脱獄モノで量子力学ネタをふんだんに散りばめてカッコイイという以外にない仕上がり。主人公は李兎リーユイなる革命特化のサヴァンの少女。
 山田正紀は第1回創元SF短編賞の選考座談会にて「量子力学的な話にはうんざり」と述べていました。(『原色の想像力』所収) 万能ツールとして安易に使われすぎるようになったのが不満であったのではないかな〜と。量子力学の前はナノテク。その前はバイオテクノロジーがそんな便利な物語の枠の破壊ツールでした。
 ところが当の山田正紀が量子ネタを引っさげてばばーんとインパクトのある作品で登場。しかもシビレルくらいカッコイイ。自身で貼った“陳腐”のレッテルを吹き飛ばそうという意気を見事に具現したように思えます。
 今回イチオシ。

オールトの天使 東浩紀

 「クリュセの魚」からの連作シリーズ完結編。シリーズ一通り読んで“絵”を描写したかったのかな?という印象になりました。紹介文によると“『ほしのこえ』への遠い遠いアンサー”だとか。

 次回『NOVA9』は十一月予定だそうです。

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『第六ポンプ』パオロ・バチガルピ

第六ポンプ
パオロ・バチガルピ
新☆早川・SF・シリーズ
2012.2.9
★★★★☆

 『ねじまき少女』の冒頭がぴんと来なくて放置していたバチガルピ、短編集から読んでみました。

 面白い!

 SF的にはあまり尖ってはいなくて、デテールと物語で読ませるタイプかな。『ねじまき少女』に繋がりそうな世界はスチーム・パンク的な古めかしさを備えつつ、でも、バベッジの差分機械と蒸気機関から分岐した浪費だらけマッチョなスチーム・パンクとは相容れなさそう。エネルギー枯渇設定が中世を思わせる停滞や衰退の香りを漂よわせます。
 印象に残ったものだけ個別に感想を。

ポケットの中のダルマ

 中国のストリートチルドレンがひょんなことから手にしたデータキューブのために辿る運命。スラム描写とアクションと明かされて行く謎のバランスが良くてどんどん先に読み進んでしまいました。アイデアの突飛さはないけれど組み合わせの妙がありました。

フルーテッド・ガールズ

 特異な改造を施された脆弱な体を持ち、パトロンの元で生きることを運命付けられた少女・リディア。双子の妹ともに金持ち連中へのお披露目のときが迫っていたのだけど——。
 『S-Fマガジン』掲載時に話題になっていた作品。この短編でハートを鷲掴みされました。“少女”らしさを色濃く綴った幻想とエロスが素晴らしかった。収録作品の中でこの「フルーテッド・ガールズ」が一番気に入りました。

第六ポンプ

 面白かった。面白かった!
 ウィットを含んだ描写と設定はちょっぴり不謹慎な笑いも呼んでにやにやしてしまいました。下水処理場のポンプの修理に奔走する主人公の誠実さが好ましい。でもこの世界、実は割と幸せそうだよね、とも。

 「フルーテッド・ガールズ」みたいな話をこれからも書いてくれるといいなぁ。『ねじまき少女』も改めて取りかかってみようと思います。

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小説創作とiPad Idea Sketch編

 小説創作とiPadという記事でアイデアの整理用にIdea Sketchというアプリを紹介しました。今回はIdea Sketchの有料アドオンを導入してみたので、あらためて紹介を。

有料アドオン

 Idea Sketchの有料アドオンで追加されるのは、

folder organization, iCloud, AirPrint, 4 more shapes, 4 more color themes (each with 8 color choices), 5 more fonts, high-quality PDF diagrams (ideal for printing), and edit diagrams on a Mac or PC desktop using any software that supports the VDX file format such as OmniGraffle and Visio.

そのまま見ればわかりますが一応日本語にしてみると

  • データのフォルダ分類が可能
  • iCloudによるデータの同期
  • AirPrintでiOS機器から直接印刷可能
  • 4つの図形追加(ダイアグラムの囲い図形)
  • 4つのカラーテーマ追加(色パレット)
  • 5つの追加フォントが使用可能に
  • 高品質PDFでの出力
  • VDXファイル出力でOmniGraffleやVisioでダイヤグラムが使用可能になる

といった機能が追加されました。
 iCloudの同期、便利です。iPod touchとiPadで意識せずにデータを共有できてます。iCloudでの同期を有効にするにはiOS端末のそれぞれのIdea Sketch上のスパナアイコンwrench→Seetings→Use iCloudでOK。

設定画面Settings

 増えた図形はこんな感じ。色は「セット」でカラーパレットごと変わります。ダイアグラム中で使用できる色数が増えるわけではないです。

図形種類が増えた
カラーセット変更

 フォント追加は日本語ではイマイチなようで、文字化けも。デフォルトのフォントで使うのが良さそうです。
 iCloud対応がアドオンの目玉かと思います。

小説創作とIdea Sketch

 小説のアイデアいじりではあまり分類をせずに使っていて

小説ダイアグラム

こんな感じ。左半分がイベントで、右半分が設定です。どことも繋がっていない要素は未整理のアイデア。黄色で縦一列に並んでいるのがメインストーリーです。要素をあっちに置いたりこっちに移動したりしながら試行錯誤してます。
 細かく分類しないのがオススメ。図形や色を駆使して細かく分類してしまうとアイデアが増えるうちに「この分類ルール変えたい」となるのですが、その頃にはもうダイアグラムが大きく育っていて分類し直すのが億劫になり、丸ごと放棄することになりがち。

かなり重い

 日本語環境特有なのかもしれませんが、ダイアグラムが大きく育ってくると各要素の説明文(画像の小窓内の文章)の入力・表示レスポンスが低下します。また、ここに示したノード数166のダイアグラムをiPadで読込・表示させる際には一呼吸以上待たされる感じです。iCloud同期を有効にすると起動からアイデア一覧が表示されるまで多少の時間がかかるようにもなります。

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『化石の分子生物学』更科功

化石の分子生物学 生命進化の謎を解く
更科功
講談社現代新書
2012.7.20
★★★★☆

 失敗が、いっぱい。

  1. ネアンデルタール人は現生人類と交配したか
  2. ルイ十七世は生きていた?
  3. 剥製やミイラのDNAを探る
  4. 縄文人の起源
  5. ジュラシック・パークの夢
  6. 分子の進化——現生の人類は進化しているか
  7. カンブリア紀の爆発——現在のDNAから過去を探る
  8. 化石タンパク質への挑戦

 上は目次の引用なのですが本の内容が想像できるでしょうか。たぶん、最新知識がだーっと並んでいて古生物学は今やこんなこともできるようになった!という本なのだろう、と思うのではないでしょうか。

 違うのです。

 第1章のネアンデルタール人の話こそ化石から抽出したDNA分析の成功例として華々しい結果が示されますが、話が進むにつれ“化石のDNA”は分が悪くなってきます。ジュラシック・パークの話や化石タンパク質の話などはもうほとんど失敗史の話となってしまい、できるかも、と注目された一時期との落差に驚かされます。ほんとうに、失敗がいっぱい、という本なのです。

 ですが「古生物のDNAを知るのはダメでした」という本でもありません。分子時計の話や共通のタンパク質コード——DNAから始原生物を探るような過去へのチャレンジ手法の様々とともに探求の途上であることを示します。失敗が失敗であるとわかることこそが分子生物学の進歩と厳密さの証でもあることがわかります。一般向けの新書ということで「DNAって何?」というような説明から始まるためちょっぴり迂遠な面もありました。

 蛇足です。
 この本、タイトルだけ見てAmazonで購入したのですが、かなり勘違いしていました。“分子生物学”が指すのはタンパク質etcの生物による高分子バイオマーカーの検出で、高分子は直接検出しづらいのでその痕跡化石を化学的に探ろう、という本なのだと勝手な想像していました。実際に手に取って読みはじめてみると“分子生物学”は主にDNA絡みのことと判明。『よみがえる分子化石』みたいな本でなくて「あれ〜?」と。もちろんそれは私の勝手な思い込みで、中身を読んで改めてタイトルを見れば非常に納得が行ったのでした。

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『ひらり、』vol.8

ひらり、 vol.8
新書館
2012.7.28
★★★★☆

 今号も面白かった『ひらり、』。

花と稲妻 袴田めら

 表紙、扉ページカラーと連動の今回の『ひらり、』は袴田めら特集っぽい仕立ての28ページ。
 すごく良かった!
 袴田めらはデフォルメやパースで大胆な試みをすることがあって、“めら節”に慣れていないと違和感に繋がることもあるようです。それは良い個性であると思うのですが今回は抑え気味に、会話や演出、ストーリーの流れでも大胆さは控えめに、細やかで丁寧に仕上げてきたのが「花と稲妻」という印象です。
 結果、“めら節”が希薄になってしまったかというとそうでもなく、純正少女漫画調でありながら『最後の制服』や『さろめりっく』とも少し違う袴田めららしさが現れてきた気がします。
 群れにいて微妙に噛み合っていない主人公・椿と、群れに加わろうとしない菊花の邂逅のお話。

きつね姫 ユキムラ

 大正ロマン的な時代設定。女学校。コントラストが高くシャープで力強い絵柄。「狐憑き」と言われるハルとカリスマであるらしい千代子。狐憑きという題材と絵柄、話の雰囲気が調和していて好印象でした。

聖純少女パラダイム 森島明子

 『百合姫』を代表する作家といえば森島明子。ポップでコミカルないかにも漫画らしいタッチの作者らしさはそのままに『ひらり、』の少女漫画的雰囲気に合わせてきた印象。遅れて入学してきた主人公・葵は昔ながらの女子高文化とイマドキの同居する入学先に戸惑いつつ、女の子好きを公言し告っては玉砕を繰り返す浮沈の激しいリリという友人を得て……。一、二ページ単位の小ネタを継いでストーリーに展開して行きます。誌面には明記されていませんが連載の模様。

わたしのオディール 磯谷友紀

 vol.5で産毛ネタで来た作者の今回はバレエ。今回もフェチぃです。背景や主人公の花嫁修業的な言動からすると女学校文化の残る校風の女子高か過去が舞台なのでしょうか。制服は現代的なデザインかな。

月化 橋本みつる

 ファザコン成分あるお話?と思ったけれどそうではなくてタイトルの「月化」と月明かりを浴びて眠ることが最後のシーンに繋がるのであろうお話なのでした。

ライカ、パブロフ、ポチハチ公

 『ひらり、』掲載作ではとても絵柄が丁寧というか繊細になった印象の四ツ原フリコ。今回のは需要と供給というお話……かもしれない。相性というのはあるんだな〜と。お花のコマ「わは♥」という感じでした。

ほんとのかのじょ 今村陽子

 vol.7の続編。二話構成。今号の『ひらり、』はフェチというか百合成分以外でも微妙に偏った話が多い気が。しかし、ゆーかさん、なんか手遅れ気味です。

放課後ナイフ 佐藤沙緒理

 vol.6でバイオレンス+ギャグな感じだった作者。今回もギャグ成分はあるけれどしんみりシリアスでぐっと来る教師×生徒モノ。

やわらかな夜 平尾アウリ

 一過性のものとなりがちな女子校での恋愛と、同性にしか興味を持てない者とのギャップが切ない。こういう平尾アウリは好きだ〜。

女の子の設計図 紺野キタ

 全三話の完結編。vol.7では青音あとのデコチューでパニクってた花南かなですが翌朝?には平常運転。ところがそれは……というのが綴られて大きく動いた最終回となりました。表現としては『ひらり、』的な範囲なのですがテーマ的にはガチンコで、基本トーンが明るく軽い雰囲気で来ていたこともあって予想外の展開に感じられました。#2と#3の間には描かれなかった花南の葛藤シーンがあったんだろうな、としんみり。

ミニスカートよさようなら 吉田丸悠

 ひらり、の新人賞から出てきた吉田丸悠。広角レンズのようにぐっと寄ってる感じの迫力。

ピンク*ラッシュ TONO

 マールはもういっそサナとおつきあいしちゃえばいいのにと毎度のごとく思うのであった。

under one roof/parlor 藤生

 じわじわと進むルームシェアのお話はなんだかちょっと良いカンジに。日記漫画風の方は今回は恐怖のギョーカイ身内売り?話。餌食は青木光恵先生でした。楽しゅうございました。

little by little 雁須磨子

 vol.6「私の嫌いなおともだち」の別視点ストーリー。

春の終わりの夜の夢 犬丸

 出番少ないけど火ノ見先輩みたいなタイプむ〜か〜つ〜く〜。とはいえこういう人がいるから話が動いて面白い。

泣き虫王子様 大沢あまね

 この人、キャラ立てるのがうまい〜。扉ページの四コマでしっかり掴んでくる。魔法のよう。メンタル・フェミニンな王子様とメンタル・マニッシュなお姫様。

きらきらのなつ ささだあすか

 うーわー。萌えとかそういうんじゃなくて、同性愛とかフェミとかもおいといて、なごむー。六年生の夏休みに田舎に転校したすず。その田舎町で秋から唯一の女子の同級生になるらしいひなた。二人で過ごす小学校最後の夏休み。

箱庭コスモス 桑田乃梨子

 ふし研の研究は進んでいるのだろうか。いっそ「不思議が集まらないふし研の不思議」を研究の対象にすべきなのではないかと思えてくる今日この頃。桑田乃梨子は今回も平常運転。

予告etc

 次号は11月。森永みるくも参加するようです。次回も好きな作家さんが並んでて期待。10月には『キラリ、』なる部活女子アンソロが予定されているようです。どんなのになるんだろう。楽しみ。
 第4回ひらり、GLコミック大賞は賞なしの「もう一歩!」二つ。

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