« 『屍者の帝国』伊藤計劃×円城塔 | トップページ | 『くろよめ』かずといずみ »

『荒野の恋(3)』タカハシマコ×桜庭一樹

 荒野の恋(3)
タカハシマコ×桜庭一樹
講談社KCデラックス
2012.10.5
★★★★☆

タカハシマコ×桜庭一樹によるコミカライズ・シリーズの第三巻。最終巻です。「少女でも 大人でもない 今だけの特別な時間——」という帯が付されているように思春期に差し掛かった少女の成長を描いたお話で、三巻では原作小説二巻目の内容を追います。少し駆け足気味に、でも原作ではちょっと抵抗のあった要素を適度に受け容れやすい形にして。二巻で動いたエリカとの関係も少し切ないままに十四歳を迎えて荒野も十四歳なりの恋愛観、異性観を身につけていきます。桜庭一樹の描く少女像と生身ゆえのリアルのせめぎ合いが、タカハシマコの表現で少し幻想に寄った印象でした。

 桜庭一樹の原作小説ではこの後十六歳の荒野が描かれますが『なかよし』誌連載のコミカライズでは十四歳の荒野でも対象年齢の読者にとってはきっと精一杯の背伸び。生々しさが際立った印象もあった十六歳の荒野は、小説で触れてあらためて強い印象を受けるという形で良かったのだと思います。

 『なかよし』の対象外となる大人の読者としては小説版の最後までタカハシマコの手によって描かれた荒野を読んでみたかったです。原作に忠実に展開していたストーリーも、タカハシマコオリジナル要素も見てみたかったかも。

 桜庭一樹×タカハシマココンビのもうひとつのシリーズ『青年のための読書クラブ』三巻が待ち遠しい。

|

« 『屍者の帝国』伊藤計劃×円城塔 | トップページ | 『くろよめ』かずといずみ »