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『コミック百合姫』2013年3月号

コミック百合姫 2013年3月号
一迅社
2013.1.18
★★★★☆

 今回も待ち遠しかった発売日。買ってすぐにファーストフードに飛び込んでたっぷり堪能しましたですよ。

表紙 浜弓場双

 窓が開いていたり、折り返しに仕掛けがあったりとギミックに凝った表紙の多い『百合姫』ですが今回は繊細な小技で来ました。マットの白ベースなのは雪のイメージでかつ今回の「氷」部分のUV印刷のツヤツヤを生かすためのようです。しかもよく見ると、ツヤツヤ盛り上げ印刷部分、表紙ど真ん中以外は水滴の滲みっぽい表現になっていて、雪が溶けたもの?あるいは「初恋を振り返って涙を落としている」シーンだったり?とか思ってしまうわけで。表紙も見返しも幸せそうな二人ですが。

犬神さんと猫山さん くずしろ

 巻頭カラーから始まるのは単行本発売との連動かな。今回は新キャラ登場。このまま動物大集合漫画になっていくのでしょうか。

citrus サブロウタ

 これでもかという恋愛ドラマ風波乱たっぷり展開はTL誌で鍛えてきた作者らしい、というべきなのかな。イケイケ展開が新鮮です。主人公が破天荒キャラで次から次へと見せ場を作ってくれます。前回は連載初回だから特別に盛った展開だったのかなと思いきや今回もばっちり盛り上げます。次回への引きもガッチリ。トラブルメーカーの主人公はパワフルで魅力的。なのに攻められると弱いとかもう可愛いな〜。

好きの海の底 大北紘子

 日常モノ16ページ。いじめネタ、ですが百合誌ということでいじめネタはメインではなく。大北紘子の漫画は読者視点での一人称感がなくて少し距離のある感じで、そこが独特の明るさのような底の知れない感のようなものがあります。また異世界設定のものも読みたいな。

キラキラの中身 井村瑛

 ここ数作、絵柄というか雰囲気が可愛らしい方向にシフトしてきている井村瑛。今回はアイドルモノ。アイドルとしての仮面キャラが重荷になっていた主人公はある日素顔で勝負できるきっかけをもらったのでした。そのきっかけをくれた人は……というお話。

スノーフレイクス 百乃モト

 百乃モト久々だ〜。そして小ネタなのに、じわ〜っときました。こういう話こそが百合だったんだよ、という読後感。

センチメンタルダスト 河合朗

 表紙の水滴エフェクト、涙なんじゃないだろうかと思ったのはこの「センチメンタルダスト」の扉絵がそれっぽかったから。このシリーズ、この形にしかならないというところにカチリとはまる展開でかつジーンと来る感じがずーん、じわ〜っと来ます。百合姫の新人賞から出たばかりの人がいきなりの連載で描いているというのがびっくり。次号が楽しみ。

ゆるゆり なもり

 やばい。この結衣×綾乃駄洒落空間体験した井の頭公園。

ないしょのかいじゅうちゃん ちさこ

 OLモノだけどどこか女子校モノっぽいところがあったりするのもこの作者らしいところかも。

ジュリエット×2 慎結

 憧れの上級生への想いと現実にはギャップがあって、慎結の得意な心の痛くなる状況もあり。百合というのが必ずしも恋愛だけを描くものでなく、少女を描くという純正少女漫画としての側面を強く持ちますが慎結の作風はまさにそこにどストライクだと思うのです。

きものなでしこ 八色

 毒キノコの代表みたいなテングタケの仲間はほんとにおいしいらしい。

少女惑星 柏原麻実

 それぞれ独立したお話の連作短編シリーズ。今回は写真ネタ。最近は『カノカメ』『東京シャッターガール』など写真漫画が人気の模様。今号の『百合姫』でも森島明子がやはり写真部ネタ。こちらはデジタル一眼レフの動画をテーマに。明るくハイテンションな主人公と大好きな部の先輩と、というお話。

ふ〜ふ 源久也

 堂々の最終回。堂々のというか、いつものげろ甘の、いつものままの「ふ〜ふ」らしい終わり方でした。

雪バラ紅バラ タカハシマコ

 久々のタカハシマコ。今回は割とストレートなお話しだったかな。やっぱりタカハシマコのおかっぱは見ているだけで嬉しくなってしまうのです。何気ない話に見えるけど今回のモチーフの薔薇のようにトゲはやはり潜んでいて。でも『それは私と少女はいった』や『(ニコ)』ほどには恐ろしくは見えなくて。巻末の予告によると次号もタカハシマコ掲載ある模様。やったぁ。

月と世界とエトワール 高上優里子

 王道だけど陳腐じゃない。定番設定山盛りだけど退屈じゃない。「なかよし」で描かれている作家さんの地力をひしひしと感じさせてくれます。だって問答無用で面白いもん。一言、一言だけ。「や〜い、岸辺世界攻めなのにへたれ〜」

めかくしのこい(後編) 竹宮ジン

 前回の(前編)から不吉な感じが漂っていた「めかくしのこい」。今回はそれが露わになってザクザク心に刺さるお話に。白泉社の『Girlish Sweet』で全開になっていた作風に少し寄せてきた印象。

散華ノ傷跡 黒霧操

 ぉぉぉ。いい感じ。描こうとしたものと結果にはたぶんまだギャップがあるのだろうけれど、でも伝えたいものはわかる気がする。ぐっとくる。今回のモチーフになった植物はたぶんナンバンギセル。面白い形の花がつきます。

カノジョと彼女 森島明子

 ヨクボウと恥ずかしさと思春期と。ネガがおうちに月宮さんをお招きするまでのとこ、もうちょっと読みたかった。押し倒すシーンも好きだけど恥ずかしがり屋さんが頑張るシチュはより好物なのに〜という意味で。今回は写真でしたが、マニアックなネタのお話なら森島明子は江戸オタクという側面を生かして歴女百合漫画とか濃いのが作れそうなんてちらりと思ったり。ほら「日本百合戦」とかいかにも百合向(ry

百合姫編集部座談会

 この手の編集部記事、好きです。今回は編集者たちの百合モノ年間ベストで挙げた作品たちを振り返りつつの百合界分析、『つぼみ』休刊について、これから、と語られていました。『つぼみ』についてはなぜ休刊になってしまったのか未だにぴんと来ない……。
 この記事の司会役、誰だったんでしょうね。

ロケット★ガール 田仲みのる

 おお。少しお休みしている間に作中で三年が過ぎて。いきなり展開もハードというか重め。ノリノリでいけそうなエスカレーション部分をすっ飛ばしちゃうのはもったいな〜いと思ってしまいました。

恋愛遺伝子XX 影木栄貴×蔵王大志

 新キャラで新展開。このシリーズ、毎回見せ場ががっちりあって、大きな転回が節目節目で入る強力シナリオと強力な連載ですが、いよいよ大詰めに入ってきた感じがします。

私の世界を構成する塵のような何か。 天野しゅにんた

 むむむ。これも心に痛い展開で今号の『百合姫』は全体にヘビーな印象に。この作者のお話は読んでいると昭和的な香りを感じます。バブルよりさらに前の、テレビドラマの黄金時代の頃のおおらかなキャラクターみたいな。

ストレンジベイビーズ 大沢やよい

 おおお? ヤギー様が迷走してる。で、ようやく確信が持てました。読切り短編の設定はヤギーとまどれーぬがコンビを作ったところまでが同じでその先は連載独自展開の模様。なんで恋愛物はすぐそっちへ行くんだー、いや、ぐぎぎぎぎとなるのも楽しいけど。連休合宿ではココットの料理動画ネタをやったりするのだろうか。

百合男子 倉田嘘

 わははー。前回の感想で書いた予想というか期待が当たってた。そうだよね。やっぱり百合男子側の「百合とは」が一段落したら女子にとっての「百合とは」も描かなければ。タイトルこそ「百合男子」だけどこの漫画は「百合ってなんだろう」というお話なわけで。しかし、思わせぶりに登場していた謎女子があの人だったり、百合女子開眼一番手があのキャラだったりと意外な展開に。

 今回は「ニコニコ百合姫」の告知も。オンラインコミックがニコニコ静画で。「ゆるゆり」からのスピンオフ「大室家」、八色、くずしろ、ねこ太、すこやかが挙げられていました。『百合姫』本誌が発売されない偶数月の18日に更新の模様。
 真っ白い紙のページは前号までは小説掲載枠だったのにな、と少し寂しくなった号でもありました。

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