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『スズラン手帖』タカハシマコ

スズラン手帖
タカハシマコ
一迅社百合姫コミックス
2013.9.18

 2007年の発売日に買った『乙女ケーキ』から早六年。『乙女ケーキ』のカシスジャムを思わせる帯と苺ムースのような色味のツートンは今も私にとっては百合姫コミックスのベスト装丁。

 そして新刊の『スズラン手帖』。『乙女ケーキ』のシボが入っているかのような細い濃淡ストライプ+非コート紙の風合いはそのままに薄紅から水色にトーンを替え、銀の枝のスズランで彩られていました。うっすら玉虫色っぽいツヤのある気のする銀色の箔押しです。今回もめっちゃ素敵装丁。
 奥付ページにまでデザインの手が入っているのも『乙女ケーキ』同様。紙ならではの魅力のある本です。

 収録は全12話。プラスあとがき。2007年7月発売の『百合姫』vol.9から2013年9月号掲載分が11篇と4P描き下ろしが1篇。扉ページのワンポイントカラーイラストは「蜘蛛の糸」から。巻中にも雑誌掲載時に印象的であったカラーページが収録されています。小さなお話がたくさん詰まっていて個別には紹介し切れない感じですが、繊細な少女漫画テイスト+トゲや毒となり垣間見せる少女のエゴ、古典や科学の世界から唐突に現れてくるイメージの断片などが相まってタカハシマコ独特の作風となっています。ぱっと見の少女趣味全開さとは裏腹のゴシック感がたまりません。お気に入りは「リンゲルハンス島」とか「夢乙女」といった要素の断片なのですが、全体があってこその部分というか、お話を象徴していたり、かけ離れていつつも欠くことのできないピースであったりするのが印象に残ります。
 あとがきでは作者自ら「老女が多い」的なことを書いていますが、百合漫画で印象的に老女を登場させて話題になった『乙女ケーキ』の「タイガーリリー」からしてタカハシマコの手によるものです。タカハシマコ作品における少女の祖型は明治〜戦前にかけて形作られてきた“少女”のイメージで、“少女”を心に住まわせ現実を生きてきたのが現代の老女でもあり、また、少女期にあってはその時期の貴重さに気づけずに振り返ることでしか認識できないのが“少女”であればある程度年嵩の“少女”たちが描かれるのも自然というもの。

 『乙女ケーキ』でもこちらの『スズラン手帖』でも、少女漫画タッチに抵抗のない人は「まず読んでみて」とオススメしたいです。

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