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2013年10月の13件の記事

『暗黒女子』秋吉理香子

暗黒女子
秋吉理香子
双葉社
2013.6.19

 TwitterのTLで非常に好みの作風の(たぶん同人の)作家さんが紹介していて、これはぜひ読んでみなくては!と手に取ったのがこの『暗黒女子』。書誌情報に付されたあらすじでもお嬢様学校を舞台にした美少女の死から始まるとあって好みどストライクに違いないと期待値の高かった一冊です。見事に期待に応えてくれました。

 物語はいつみという美少女の死を起点とします。正確には、いつみが部長をしていた文芸部の面々が集う定例会での闇鍋のシーンから。少女漫画の中にしか登場しないような絵に描いたようなお嬢様学校の、紅茶とスイーツの振る舞われるサロンを持つ文芸部で闇鍋!というちょっぴり面白おかしく違和感のある場面なのですが、この闇鍋女子会は死んだいつみに関する自作小説を部員それぞれの朗読で披露する、という趣向に沿って進んで行くのです。
 少女小説風のきらびやかで爽やかな文体を予想したのですがもう少しこってりとしていつつ、いつみの周りを囲んだ少女たちの告発的な——小説と言うよりはドキュメンタリ的な物語が綴られます。
 タイトルからして『暗黒女子』。きっと登場人物たちの誰かが「暗黒」を抱えていてそれがいつみの死を招いたのだろう、と予想を立てつつ読み進めると思うのですが、期待通りでありつつ同時に裏切ってくれるはず。予想の当たり外れを楽しむタイプの本格ミステリというよりは「こうかもしれない」「ああかもしれない」と作者の思惑に振り回されつつ楽しむ話ではないかと思います。

 岩井志麻子の『女學校』が面白かったという人にはたぶん『暗黒女子』も好みに合うんじゃないかな。

 以下蛇足ですが……。
 文芸サークルなどでこの本を題材に読書会などを開く際には闇鍋を囲みながらというのはいかがでしょう。作中のシチュエーションに敬意を表して。
 『暗黒女子』は最後まで読まずに……そうですね、七〜八割ほどまで読んで「おあずけ」にしておき、皆で鍋を突きながら終幕部分を揃って読むのが楽しいのではないかと思います。

 というわけで、冬の夜のお鍋の友にいかがでしょうか。

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『know』野崎まど

know
野崎まど
ハヤカワJA文庫
2013.7.24

 良かった。
 分類するならば情報化社会SF、あるいはサイバーパンク、かな。

 人々が電子葉なる脳の電子的脳補助器官を装備するようになり、電子葉普及後の世代が青年期を迎えつつ、年長世代は電子葉がなかった時代をまだ記憶に留めている時代。エリート情報官僚・御野・連レルは情報格差社会に問題を覚えつつも、時代の流れには逆らえずに節を折り、情報処理技術の天才でありながら投げやりな日々を過ごしていた。そんな折り、彼が師と仰ぐ電子葉の発明者であり謎の失踪を遂げた道終・常イチの捜索以来が連レルの元に舞い込み——と始まる話。
 スターリング、士郎正宗の系譜を受けたサイバーパンク、ではあるのですがプログラマーの皮膚感覚的なデテールが投入され、同時にライトノベル的側面をも備えていて現代日本で紡がれたお話なのだ、という実感がありました。入り組んでいながら洗練されたプロットは物語らしさが濃く、電子戦物としても質感があり、新しい世代を代表するSFを実感しました。『マルドゥック・スクランブル』シリーズで冲方丁を知った時のような「おおっ」という感触。良い作者を知った、とデビュー作の『[映]アムリタ』を読んでみることにしたのでした。たぶん、そちらも近いうちに感想が書けると思います。

 ネタバレのない範囲で書くならば「輪を描いて回る炎の剣」のイメージが非常に格好良くて痺れたッ!と感じ、その時点で立てたオチ予想が見事に外れてやられたッ!と二倍おいしく楽しめたのでした。

 脳科学のデテールというか意識観や知性観がもう少しラディカルな方が現代の脳デバイス物としてはしっくり来たんじゃないかな、などとも思いはしたのですが、物語としての面白さの前には些細なことでした。
 和製SF好きな方はぜひ。

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『光るキノコと夜の森』大場裕一・西野嘉憲

光るキノコと夜の森
解説:大場裕一
写真:西野嘉憲
岩波書店
2013.7.4

 撮りたい。
 こういうキノコ写真、撮ってみたい。

 一番に思ったのはそれでした。表紙からして幻想的ですが中身の写真も素敵です。
 一辺20cmほどのほぼ正方形の写真集体裁。五カ所の生息地でキノコの光る光景が紹介されます。写真としても面白いし、図鑑としても見映えがしました。弧を描く星の軌跡を背景にしたツキヨタケ、ホタルの飛跡とともに収められたアミヒカリタケ。群れをなし光るクヌギタケの仲間。落ち葉に染みる光る菌糸。美しいです。

 キノコマニアでなくても楽しかったです。巻末には観察方法や撮影方法なども載っているので写真に撮ってみたいという人の参考にもなりそう。表紙画像に関心を引かれた方ならば楽しめるハズ。光りものには不思議な魅力がありました。

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『脳のなかの匂い地図』森憲作

脳のなかの匂い地図
森憲作
PHPサイエンス・ワールド新書
2010.2.20

 面白い、鮮度の高い本。

 においに関する本です。脳科学よりで、嗅覚がどのように生じるのか、そのメカニズムを最新の知見にもとづいて解説します。シンプルながら豊富な図解が付され、ちょっぴり堅い印象の文でありつつもわかやすい本でした。香水のうんちくや香りの文化といった要素はありません。におい分子、におい受容器から脳内の嗅覚野の話まで、化学反応から信号処理の部分をきっちりかっちり説明してくれます。このジャンルの研究者が自身の研究を中心に据えて語る本ですが、嗅覚の中核ともいえる重要な研究を紹介の中心としているので「ジャンルど真ん中」感があります。最先端で重要な発見をした研究者当人による一般向け解説本。
 文章は代名詞による言い換えや文脈依存の省略のない学者然としたもので、語調だけは会話体にして柔らかい雰囲気を心がけられてはいますがやっぱり「堅〜い」と思えるかも。でも、嗅覚+脳科学という認知の前線の概論が、専門科目の教科書に近いしっかりとした手順と論理で一般向けに語られているお得感満点の本です。科学解説書ファンの人は「これが新書で読めるのか!」という喜びの感じられるであろう一冊。ここしばらく味覚、嗅覚、脳科学関連の本を集中的に読んできましたが、嗅覚に関しては文句なしに一番お勧めの本です。PHP新書の科学解説シリーズならではの図解の多さもとても助けになっています。

 この本で知って一番興奮したのは、においの受容器と神経系の関係がフィードバック学習付きのフィードフォワード制御やニューラルネットワークアルゴリズムのモデルそのものの構造——当たり前と言えば当たり前ですが、それでもあまりにも論理構造がそのまま実構造となり、また一受容器・一糸球という徹底した最適化ができていることに衝撃を受けました。なんという効率性。嗅覚は一次元の感覚で、強度と時間の関数でしかないために一受容体について一カ所の神経系入力で良い、という構造は衝撃でした。粘菌の迷路と同じでおよそ最短と思える経路を結んで最適化されてしまうのでしょう。生物というのはなんて面白いのだろう。行き当たりばったりの機能追加を重ねているくせに、同時に最適化も見せてくれるのです。さらにその次の段階として「地図」が示されるわけですが、こちらは「そういうものかな」という印象でした。

 嗅覚の仕組についてわかりやすい解説本を探している方はぜひ。

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下町・三軒茶屋

東急世田谷線とキャロットタワー

 三軒茶屋。
 東急世田谷線の始発駅のある小さな街。けれど展望室のある高層駅ビルがあり、R246と世田谷通りの接点にあり、渋谷にほど近く学校がいくつか集まっているということもあってそれなりに賑わいがあります。

 でも、ちょっと意外な一面もあるのです。

三軒茶屋シネマ

 ここは三軒茶屋シネマ。すぐ近くに三軒茶屋中央劇場という映画館もあります。ありました。2013年の2月に営業を終了してしまいましたが。私の記憶では中央劇場か三軒茶屋シネマのどちらかはかつてロマンポルノを上映していました。今は名画座、かな。
 三軒茶屋シネマの上階はバッティングセンターになっていてものすごくおんぼろの外階段から入ります。もうこのあたりで漂いはじめる場末感。清潔感溢れる駅ビル・キャロットタワーとは世田谷通りを隔てているだけですが、雰囲気のギャップに驚きます。

居酒屋の窓に皮水筒

 界隈を歩くと一癖ありげですがおいしそうなお店もいっぱい。

常習性?のあるラーメン

焼豚屋

 お風呂屋さんだってあるのです。一見、空き地でも封鎖しているかのようなトタン塀ですが……。

トタン塀のお風呂屋さん

お風呂屋さん・間口狭し

 狭い入口の中を覗くと銭湯の入口が。場末、というよりはかつての学生街、下町の雰囲気なのかもしれません。

狭い路地

 車の入り込めない路地裏です。

昼でも薄暗い路地

 場末感が漂うのはR246と世田谷通りに挟まれたごくごく狭い地域。写真好き的には魅力的な街です。
 小さなスナックや小料理屋がぎゅう詰めになっている路地もあるのですがそういった場所は夜の方が魅力的。いずれ写真を撮ってきて紹介したいと思います。

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都庁展望室

 新宿西口から少し歩いたところにある東京都庁舎では展望室を一般公開しています。新宿に寄ったついでに登って来ました。

都庁展望室:ミニチュアモード

 単に高いところからの景色は肉眼だと「わ〜」という感じがあるのですが写真だとありきたりな感じになってしまいますね。変化を付けようと“ミニチュア”エフェクトで撮ってみたものが上。

 台風一過で夕焼けが見られるかもしれないと思ったのですが、あまり焼けない日没でした。

都庁展望室:夕日

 都庁北展望室はカメラを持った人でいっぱいで、日没のタイミングではシャッター音で賑やかでした。外国人観光客らしき方も多かったです。

都庁展望室:夜景

 夜景も撮ってきました。ビル展望台ではどこもそうですが、窓ガラスに室内照明が映り込んでしまってなかなかうまく撮れません。一応、ラバーのレンズフードを用意したのですが

  • 広角側ではフード自体でケラれてしまう
  • 窓ガラスと角度ができるとうまく遮光しきれない

と、効果は限定的でした。ネット上では映り込み対策にラバーフードを勧める文言を多く見かけますが実地に試して勧めている方は少ないのではないかと思った次第。
 この日はレンズを通す穴の開いた黒いサークルレフのようなものを使っていたスマートな一眼レフユーザを見かけ、市販グッズだろうか、映り込みが防げそうだ、と羨ましく思ったのでした。帰ってネットを探してみたところ、『忍者レフミニ』なる商品と似ていたように思えました。試してみたいけれど微妙に手を出しにくい値段ですね……。

 展望室からの夜景は比較的明るいのでISO6400あたりが実用になるカメラなら手持ちで問題ないシャッター速度で撮影できます。

 距離があって小さくではありましたが、東京タワーや東京スカイツリーもよく見えました。天気がよければ富士山も見えるらしいのです。あいにく富士山のあたりだけ雲に包まれていました。

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SONY NEX-5R レビュー(4) 手持ちで夜景

手持ちで夜景

 NEX-5Rではシーンモードの中に“手持ち夜景”というものがあります。これは高めのISO&速いシャッター速度での撮影なのですが、連射で複数枚重ねて統計処理をすることでブレやノイズを軽減させようという機能。Canon機では「マルチショットノイズ低減」という名前で、天体写真では「コンポジット撮影」と呼ばれているものと近いようです。

NEX-5R:手持ち夜景テスト

 “手持ち夜景”を試してみたもの。ISO6400・F4.5・SS1/10secとかなり厳しい条件ですが手持つでフツーに撮れてます。中心あたりを元画像等倍で切り出してみると、

NEX-5R:手持ち夜景テスト・中心部等倍

ノイズらしいノイズもなくすっきりした画像。三脚の使えない場所でこの程度に撮れるなら文句なし。

 豪徳寺駅近くの居酒屋さん。看板が大変魅力的。これも“手持ち夜景”で撮影。シーンモードなので露出補正ができていませんがマイナス0.6EVくらいしたい感じ?

NEX-5R:手持ち夜景・居酒屋看板

 こちらは個人経営の電気屋さんのショウウィンドウ的なもの。ISO640程度だと“手持ち夜景”モードの必要性はあまりなかったかな?

NEX-5R:手持ち夜景・金魚水槽

 高校生の頃、写真部ではこんな感じの写真ばかり撮っていた気がします。当時はISO100のモノクロフィルムで三脚なしの夜景は考えにくかった記憶が。巨大掲示板にもアップしたもの。

NEX-5R:手持ち夜景・光と影

 歩くのに不自由しない程度の照明のある場所であれば一脚も三脚も不要になるんじゃないかと思えてしまう“手持ち夜景”。少なくともスナップ程度であれば事足りてしまいそう。一眼レフやミラーレス機に限らない、どころか今ではスマートフォンのカメラアプリでも同様の機能が実現されているみたいです。高感度撮影なんてノイズだらけ、データ処理で高画質なんておもちゃ、という時代が過ぎてしまっていたことに今更ながら気づかされました。

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招き猫とNEX-5R

 カメラが変わった記念で豪徳寺に。

招き猫に異国の祈り

 アラビア文字のメッセージでしょうか。
 左耳に鈴がかかっていますが、奉納者さんはぶっきっちょさんだったのかもしれません。結び目がうまく作れなかったのかテープ止め。前方の招き猫も同様でした。

行列招き猫

 行列、行列。ちっこい招き猫を並べたくなる気持ちはなんとなくわかります。

苔むす招き猫

 招き猫奉納所は大盛況。秋も深まり苔むして来ました。

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SONY NEX-5R レビュー(3) タイムラプスで星景

タイムラプス・アプリ

 NEX-5、6、7シリーズでは「アプリ」なるものが使えます。追加機能をネット経由でインストールするもので、その中に「タイムラプス」があります。1000円です。本来はコマ撮り微速度撮影ムービーを作成する機能なのですが、各コマを静止画のまま保存することもできます。“インターバル撮影”です。シャッター速度=撮影間隔にして連射し“比較明合成”という方法で一枚の写真にまとめると……

オリオン座近辺インターバル&比較明合成撮影

 こうなります。2013年10月12日午前3時頃のオリオン付近。

機材SONY NEX-5R E PZ 16-50 OSS
絞りF4.0
ISO感度400
シャッター速度15秒
枚数150枚
ホワイトバランス太陽光

 計38分ほどの撮影です。風がありコンデジ用の華奢な三脚が動いてしまったもので途中でズレちゃいましたが世田谷の街中でもこれだけの数の星が写ると面白い! もっとちゃんとした三脚を仕入れて再挑戦したくなりました。

 設定できる部分はマニュアル設定する方が簡単です。ピントも“ピーキング表示”機能を使うと暗い被写体でも苦労せずに合わせられます。ライブビュー表示、便利だ……。液晶の向きが変えられるのもカメラが上を向きがちな星空の写真には快適。
 比較明合成にはSiriusCompというWindows用のソフトを使いました。


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『脳の情報を読み解く』川人光男

脳の情報を読み解く
川人光男
朝日新聞出版
2010.8.25

 『人はいかにしてことばを獲得したか』の中で紹介されていた本だったように思います。認知と脳科学の最新の状況がわかる本で、自作小説の『漫画脳BMI』はせめてこの本を読んでから書けば勉強不足感はちょっとは減らせたかな、と思いました。同種の本をいくつか読んでいたこともあって知識が大幅に更新されるということはなかったのですが、脳科学の専門家が最前線で取り組んでいるBMIの話題であるだけに、BMIという技術に携わる人のものの見方、脳科学における脳や知能、意識に対するパラダイム的なものが感じ取れた気がします。少し前に読んだ『脳はなぜ「心」を作ったのか』には専門外の工学側の視点が感じられてそれはそれで面白かったのですが、こちらの本はジャンルの統括的な役割を果たしているらしい著者ならではの幅広く未来を見据える視点がありました。BMIという技術の紹介、脳の機能説明、具体的なBMI技術の応用、これからのBMI。特に今後のBMI技術については「倫理4原則」という形で(ロボット三原則的なものとして)提示されるガイドラインが面白くもありました。

 この本はBMIという工学へのアプローチであることもあり『脳はなぜ「心」を作ったのか』に近い制御工学としての側面も色濃いのですが「心」のモデルにはまだ踏み込まずに実践的な技術として、医療や産業のための最先端の科学として紹介されます。そのリアリティが力強いのです。現実感がSF的にとても刺激になった気がします。空理空論ではない実践の重み。

 少し残念であったのは本の中で紹介される公開データベースの公開が終了しているらしかったりすることでしょうか。それでもこれまでに読んだ本の中でBMIという技術についてもっとも具体的で、包括的な紹介がされている本でした。2010年刊で早くも“最新”ではなくなっている可能性もありますが、オススメ度高いです。ブレイン・マシン・インターフェイスについて知りたいという方に強くオススメ。

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SONY NEX-5R レビュー(2)

手作りバッグ奉納品
魔方陣
シーソー:馬事公苑
ラベンダー:馬事公苑
農大卒業生のお酒:農大博物館
稲穂パッケージ:農大博物館
飴色清酒:農大博物館

操作系の混乱

 NEX-5の操作、取っ付きの悪さはないけれど馴染みにくい気がします。
 「一眼レフ」タイプではISO、ホワイトバランス、AFモード、連射モード、とおよそ機能の数だけボタンが並び、背面・上面はボタンおばけになりがち。対してコンパクトカメラでは背面は四方向キー+3ボタン程度、上面にはモードダイヤルがあるくらい。ズームレバーは背面にあったり上面にあったり鏡筒にあったり。ボタンの数は少なく、細かな設定はできないorメニューの階層奥深くに押し込まれている。
 NEX-5Rは、ボタンの数はコンパクト機と同じ。そして一眼レフとしての機能が一通りあり、使えます。
 ——それで、ダイヤルから刻印が消えたのでしょう。

のっぺらぼうダイヤル

 ひとつのダイヤルがその時々で違う機能を持つために刻印が記せない。電動ズームの鏡筒リングにも刻印がありません。ズームリングになったりピントリングになったりするためでしょう。

 SONYらしい。
 けれど、戸惑います。機能の分類と操作の分類がちぐはぐな感じがすることも多いです。使い込んでいけば慣れるのかな。購入三日目ではまだ被写体に向かうより、設定画面をにらんでいる時間の方が長いです。

接写

 デジタルではコンパクト機ばかり使っていて、NEX-5Rで初めて一眼レフ的なフル機能のカメラを使ったのでした。小物をアップで撮ろうとして気がつきました。

 寄れない。

 レンズ交換式カメラとしては比較的寄れるレンズではあるようなのですがGR digitalではレンズ前5mmまで寄れたこともありギャップは大きいです。手っ取り早くクローズアップレンズでも買ってみようかな。接写リングもあるみたいだけどレンズの付け外しをするならマクロレンズを買ってしまっても良さそう。α Eマウントのマクロレンズにはお手頃価格のものもあるようですし。

画質

 コンデジからの移行で一番期待していたのが画質。といっても画素数は初代GR digitalの700万画素程度で不足はなく、ラチチュードの広さと階調の豊かさに期待したのでした。NEX-5Rではこのあたりかなり良くてAPS-Cサイズセンサの力に満足。白飛びと黒潰れへの階調がスムーズです。
 高感度性能も良好で、ISO1600あたりまではまったく問題なく使えてしまいます。隔世の感。ISO6400でもドット等倍でチェックするようなことをしなければ十分にきれい。
 同センササイズのライバルと比べた訳でもないので厳密な画質の良し悪しは語れないのですが、コンデジと大差のない大きさのミラーレス機から一目でコンデジと「違う」絵が出てくるのはインパクトがあります。

ボケ

 一眼レフの背景のきれいにボケた写真、ということであればキットレンズの入門機はあまり向いていないです。広角側で16mm——(35mm判換算)24mm相当f3.5、望遠側で50mm(75mm相当)f5.6。開放絞り×最短撮影距離付近の被写体×うんと遠い背景の組み合わせでない限りあまりボケません。E PZ 16-50 OSSはキットレンズとしてはf値も標準的なところなので、他の一眼レフ入門機でも状況は変わらないはず。APS-C版の被写界深度の感覚は思ったよりコンデジ寄りでした。右列・一番上に貼った手提げ袋の写真はそこそこ背景のボケたカット。四番目のラベンダーはもっとボケボケに蕩けて欲しいシチュエーションでしょうか。
 明るい中望遠単焦点レンズが欲しくなります。ダブルレンズキットを買っておけば良かったかなともちらりと思ったのでした。

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SONY NEX-5R レビュー(1)

新宿御苑にて
豪徳寺香台
豪徳寺絵馬
豪徳寺招き猫
勝光院(ドロップカラー・赤)

SONY NEX-5R購入前

 比較候補に挙ったのはFUJIFILM X-M1Canon EOS MRICOH GRでした。

  • APS-Cサイズセンサ
  • コンパクトなミラーレスorレンズ一体型
  • 価格

といった条件で絞ったのですが、実機に触れてみるとレンズも含めてコンパクトなことに感銘を受けてNEX-5となりました。最新型のNEX-5TではなくNEX-5Rにしたのは、価格と新旧の差がNFCのみであったため。17000円以上差がありました。

ユーザ登録

 ファーストショットも上々で帰宅し、webでユーザ登録をしたのですがMy Sony ClubとPlay Memoriesと二つもIDを作る羽目に。面倒臭い……。Sony Reader StoreはMy Sony ClubのIDで使えるようなのでPlay Memoriesも統合しててくれれば面倒がひとつ減ったのに。

 NEX-5シリーズは「アプリ」のインストールが可能になっていることもあってネット親和性が高いです。ですがそれだけに「ネット接続の設定をして」「アプリを入れて」「ファームウェア更新して」と煩わしい初期作業も多いです。タッチUIのぎこちなさも含めてスマートフォンの内蔵カメラの簡単さにはそうそう太刀打ちできなさそう。

 私のパソコン環境はMacですが、NEX付属のCD-ROMの中身は何も導入せず用が済みました。RAW現像もiPhotoで対応している模様。NEX-5シリーズのAVCHDもiPhoto上で再生できた……ものの再生処理が重く、コマ落ちしてしまいました。VLCのようなハードウェア再生支援を活用する動画アプリで再生してやればスムーズに再生されます。

感圧式タッチセンサー

 ネット関連の設定を求められるカメラなのでキー入力が必要になります。SSID、パスワード、Play MemoriesのID。小さなソフトキーボードは押し間違えが多くくたびれます。綿棒など先の細く硬くないもので押してやると多少はマシに。反応のイマイチな感圧式タッチパネルはZaurusを思い出させてくれました。

スマホ・タブレット連携

 楽しみにしていたのがこれ。NEX-5R以降は無線LAN(WiFi)絡みの機能が搭載され

  • 撮影データを簡単にスマホ・タブレットに転送できる
  • スマホ・タブレットをモニタ付きリモコン化(要アプリ)

ということができます。できました、比較的簡単に。無線LAN設定の知識がないとわかりづらいかもしれません。そんなときのためのNFC搭載NEX-5Tかもしれませんが、誰でも簡単、というほどNFC対応端末は多くない気がします。

撮ってみて

 コンパクト機、それも旧式機からの移行ということもあり、明らかに「明白な失敗写真」が少なくなりました。昼の屋外順光〜半逆光であればまず失敗はなく、日陰で「イマイチ」なことがある程度。ISO1600や3200も常用範囲で朝夕の薄暮の時間帯にも強くなりました。室内撮影も。
 全自動ならば難しいことはなさそうですが、ちょっと工夫してやろうと思うととたんに機能の多さと操作ボタンの少なさに戸惑います。各々の機能についても違いを知るにはそれなりに試し、撮影結果を眺めてみなくては掴めないので馴染むにはそれなりの時間が必要そう。試してみたい!のは追加アプリの「タイムラプス」です。これは近々挑戦して結果をレポートしてみるつもり。細々としたアクセサリ類のインプレッションも書くつもりです。

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SONY NEX-5R 購入

Img_0042

 デジタルカメラを買いました。SONYのNEX-5Rという機種です。ひとつ型遅れになります。初代GR digitalからの乗り換えです。

 カメラ店からの帰り道に開封。バッテリ残量は10%程度と心許なくはありましたが、そのまま新宿御苑と豪徳寺に寄ってファーストショットを捉えてきました。

新宿御苑・逆光

豪徳寺だけれど比叡山

折り鶴たち

おしゃべりな奉納品

 とりあえず設定らしい設定もせず、全自動と絞り優先オートでシャッターを切ってみました。

 小さいです。これまで使っていたGR digitalよりは一回り大きくなりますが、普段使いのカバンに問題なく収まる大きさ。SONYらしい思い切ったカメラ、というのが第一印象となりました。

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