« SONY NEX-5R レビュー(2) | トップページ | SONY NEX-5R レビュー(3) タイムラプスで星景 »

『脳の情報を読み解く』川人光男

脳の情報を読み解く
川人光男
朝日新聞出版
2010.8.25

 『人はいかにしてことばを獲得したか』の中で紹介されていた本だったように思います。認知と脳科学の最新の状況がわかる本で、自作小説の『漫画脳BMI』はせめてこの本を読んでから書けば勉強不足感はちょっとは減らせたかな、と思いました。同種の本をいくつか読んでいたこともあって知識が大幅に更新されるということはなかったのですが、脳科学の専門家が最前線で取り組んでいるBMIの話題であるだけに、BMIという技術に携わる人のものの見方、脳科学における脳や知能、意識に対するパラダイム的なものが感じ取れた気がします。少し前に読んだ『脳はなぜ「心」を作ったのか』には専門外の工学側の視点が感じられてそれはそれで面白かったのですが、こちらの本はジャンルの統括的な役割を果たしているらしい著者ならではの幅広く未来を見据える視点がありました。BMIという技術の紹介、脳の機能説明、具体的なBMI技術の応用、これからのBMI。特に今後のBMI技術については「倫理4原則」という形で(ロボット三原則的なものとして)提示されるガイドラインが面白くもありました。

 この本はBMIという工学へのアプローチであることもあり『脳はなぜ「心」を作ったのか』に近い制御工学としての側面も色濃いのですが「心」のモデルにはまだ踏み込まずに実践的な技術として、医療や産業のための最先端の科学として紹介されます。そのリアリティが力強いのです。現実感がSF的にとても刺激になった気がします。空理空論ではない実践の重み。

 少し残念であったのは本の中で紹介される公開データベースの公開が終了しているらしかったりすることでしょうか。それでもこれまでに読んだ本の中でBMIという技術についてもっとも具体的で、包括的な紹介がされている本でした。2010年刊で早くも“最新”ではなくなっている可能性もありますが、オススメ度高いです。ブレイン・マシン・インターフェイスについて知りたいという方に強くオススメ。

|

« SONY NEX-5R レビュー(2) | トップページ | SONY NEX-5R レビュー(3) タイムラプスで星景 »