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『コキュートス』コダマナオコ

コキュートス
コダマナオコ
一迅社コミックス百合姫コミックス
2014.3.18

 コダマナオコのコミックス、百合姫コミックスとしては速いペースで出ていますね。『残光ノイズ』が2013年7月、『不自由セカイ』が2012年11月。
 2013年9月号〜2014年3月号にかけての『コミック百合姫』に掲載された表題作「コキュートス」前後編、「モラトリアム」前後編&描き下ろし後日談。表紙カバー下にはあとがき漫画があります。

 今回収録の「モラトリアム」はたいへん好みの話で、同性愛といっても必ずしもフィジカルな欲求を持つわけではなくプラトニックな関係を望むセクシャリティの持ち主もいるのだというテーマが描かれます。同性に惹かれはするものの肉欲の対象にはならないという主人公。そこに生じる欲求、葛藤へのアプローチ。「こういうの読みたかった!」というところストライク。学生〜社会人への移行期が舞台になっていてタイトルである「モラトリアム」=猶予期間を脱しつつある年代のお話でありつつもヒロイン二人はモラトリアム的な関係のまっただなかにあるというあたりもステキです。登場人物たちが中高生であればセクシャリティの揺らぎ・悩みテーマに傾いていたかもしれませんがそれぞれある程度安定した大人。安定した関係でありつつも、ふと揺らぐ。水面下での綱引き。思惑。

 表題作の「コキュートス」は孤立しがちな性格のヒロインとヒロインに惹かれつつも孤立の怖い主人公のお話。舞台は高校でこのお話の出色はなんといってもヒロイン・クロネコさん。孤立を恐れず、というよりも協調性自体が欠け気味なキャラクターが魅力なのです。

 ばーんと(インパクトある見せ方で)示される裸体も読者サービスという感じよりもキャラ視点での「わわっ!」というのにシンクロしていつつかつ魅力的で、絵柄自体もカチッと瞬間をとらえる感じのスチル写真的なセンスが漂っている感じが好みです。

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