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『ガールズ・シンドローム』慎結

ガールズ・シンドローム
慎結
一迅社百合姫コミックス
2014.6.19

 慎結の四冊目の百合姫コミックス。収録作品は

ストレンジ・フレーバーコミック百合姫2014年7月号
解ケヌ鎖コミック百合姫2014年3月号
ネムレルモリコミック百合姫2014年1月号
Dear...コミック百合姫2014年5月号
箱の中の姫君コミック百合姫2013年11月号
夏の終わりに描き下し

 慎結は純正少女漫画スタイルでマジョリティとの摩擦や孤立をテーマにした作品の多い作家さん。社会の“あたりまえ”や“フツー”に抗う少女を描きます。

ストレンジ・フレーバー

 ちょっぴり怪談調。学園祭を目前にクラスの出し物であるお化け屋敷の舞台製作に追われる仲良し五人組。作業をしながら怪談を楽しんだりした帰り道、どこからともなく怪談にあったような声が聞こえて来て……。怖いものが苦手な主人公は大いに怯えることに。果たして怪異の正体は?というちょっとホラーちっくな展開です。

解ケヌ鎖

 (Twitterでのご本人の呟きから)美大卒であるらしい作者。美術ものを得意とするようでこのお話も美術部が舞台。季節外れの可愛い転入生からの入部届けをラブレターと勘違いしてしまった美術部部長の主人公。ところがその転入生、不穏な噂があるらしく……。「ストレンジ・フレーバー」は怪談で来ましたがこちらはちょっと違う方向の怖いお話。

ネムレルモリ

 ふわふわと頼りない年長さんののん姉としっかり者の妹分・あーちゃんの二人の話。同性の恋人にフラれてすっかりだらしなくなってしまったのん姉を見かねたあーちゃんはキリキリと世話をします。のん姉を酷い振り方をしたのも女性という、女性の楽園的な世界が描かれがちな定型へのアンチテーゼにもなっていたり。

Dear...

 恋人は芸能人。シンプルにストレートにプレーンにそういうお話。波乱はあっても幸せいっぱい。

箱の中の姫君

 集合住宅カーストへの反発のお話。住人たちの収入の違いが居住区画ごとのカーストとなって子供たちに影響してしまう。同時にスクールカーストの軋轢にも挟まれて、行き場のなくなる少女たち。「解ケヌ鎖」ともどもの闇/病み百合テーマ。怖い系を中心にまとまった一冊なのかもしれません。

夏の終わりに

 丘の上の神社に受験合格祈願に訪れた二人の一瞬。汗。きらり。12ページの描き下し。

★ ★ ★

 慎結が百合姫コミックスに登場した初期の頃の『ROSE MEETS ROSE』と比べると恋愛要素が濃くなって来たかもしれません。一方でファンタジー要素は控えめになって来たかも。『ROSE MEETS ROSE』所収の「DOROTHY」がお気に入りである身にはまたファンタジー要素のあるものも読みたいなと思ったり。少女漫画ベースの百合ものに目がない人には是非。

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