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『ユリイカ』2014年12月号

ユリイカ 2014年12月号
青土社
2014.11.27

 評論誌『ユリイカ』が百合特集ということで買ってみました。予想以上にしっかり百合と向き合った特集で寄稿者もインタビューも良いところから選んだ気がします。理屈好き、蘊蓄好きの百合オタクには間違いなく楽しい内容。
 目次を引用してみます。

人生に関する断章*36
心平庵あるいはパブリシティ権について 中村稔
あかがみ 一方井亜稀
耳目抄*326
小さなおせんべいの話 竹西寛子
今月の作品
石川木子・青山律子・山岡ミヤ 選=日和聡子
われ発見せり
私は「ボケ」だったのか! 鈴木洋仁

特集*百合文化の現在

少女小説の精神
『マリア様がみてる』のまなざし “姉妹”たちの息づく場所
今野緒雪 聞き手・構成=青柳美帆子
半壊のシンボル 川崎賢子
吉屋信子と百合的欲望の共同体
「突然の百合」という視座 木村朗子
吉屋信子から氷室冴子へ 嵯峨景子
解放区としての百合 中里一
現実との接線
女達への関係性を表象すること 堀江有里
レズビアンへのまなざしをめぐるノート
百合レズ論争戦争絵巻 牧村朝子
彼女たちの友愛、あるいは恋模様
女子と/の恋愛 百合という観測問題
天野しゅにんた 聞き手・構成=青柳美帆子
「百合」の来し方 藤本由香里
「女どうしの愛」をマンガはどう描いてきたか?
女の子たちの突破口 川口晴美
「百合」の栽培に向いた土壌、日本 高嶋リカ
read between the lines 西UKO
同じ物語なのになぜレズビアンが疎外感を味わうのか
『LOVE MY LIFE』映画版の謎を分析する 溝口彰子
「百合」に交わるもの
それが恋なら必然 月子 聞き手=玉木サナ
『彼女とカメラと彼女の季節』の移した彼女と彼女と彼について
百合 境界なきジャンル エリカ・フリードマン 訳=椎名ゆかり
倉田嘘『百合男子』に表された百合ファンダムの姿についての一考察
ジェームズ・ウルカー
いろんな百合が割けばいい、わたしは血の色の百合がみたい
玉木サナ
マンガの世界を構成する塵のような何か。 日高利泰
百合はジャンル境界を描きかえるのか
“少女”(たち)の行方
百合を探してどこまでも
綾奈ゆにこ 聞き手・構成=キツカワトモ
戦闘美少女と叫び、そして百合 石田美紀
うちなる少女を救い出すこと 上田麻由子
『シムーン』の孤独と連帯
あなたの痛みは私そのもの 須川亜紀子
NO YURI, NO LIFE
百合文化に分け入るために 青柳美帆子
作品・人物・メディアガイド

『ユリイカ』2014年12月号目次より

 特集の先頭に来ていた「少女小説の精神」とまとめられた記事群では吉屋信子から宮本百合子、氷室冴子をたどり「マリみて」に至るまでの道筋が語られ、とても楽しかった。牧村朝子の記事は百合・レズビアンの当事者としての百合というフィクションジャンルの消費について触れられていたのも興味深かったです。

 ヒトコト言いたくなってしまったのは「戦闘美少女と叫び、そして百合」という記事。「戦え!!イクサー1」「トップを狙え!」らを百合的戦闘美少女の原型として挙げていますが、高千穂遙の「ダーティペア」(1980)とそのアニメ(1985)、「ガルフォース」(1986)をオタク側の百合原点に加えなければ片手落ちというもの。「ダーティペア」がたとえ「レズじゃないわよっ」と宣言し、後にクラッシャーダンチームの男性キャラたちと結ばれる設定であろうとも。

 「内なる少女を救い出すこと」というアニメ「シムーン」を論じた記事には快哉を叫びました。2006年のアニメが今になってこれほど熱く格調高く語られるとは。めっちゃハマったアニメだけに夢中で読んでしまいました。

 内容紹介は特に気に入った記事だけとなりましたが引用した目次を見れば各記事の内容も窺えるのではないかと思います。百合が評論の畑で真っ向から論じられる機会はそうそうないでしょう。オススメ。

 当ブログ内の記事から関連図書のオススメ。

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