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『コミック百合姫』2015年1月号

コミック百合姫 2015年1月号
一迅社
2014.11.18

表紙

 別の雑誌かと思いました。ひらがなで記された横書きの「ゆりひめ」にかんざきひろのイラスト。「表紙れんさいはじまるよ♪」とのことでストーリー仕立てになる模様。前号、前々号あたりから掲載作家陣変更の予兆はありましたが、雑誌イメージの刷新が図られているようです。

巻頭特集

 『ゆるゆり』OVAの情報。夏休みのごらく部一同のお話となるようです。

立花館ToLieあんぐる merryhachiめりはち

 ポップ&えっちなコメディの新連載。作者のmerryhachiは第12回百合姫コミック大賞の翡翠賞受賞の「Braver!」の作者であるそうです。いきなりの連載でびっくりですが、こなれた印象のコメディであることにもびっくり。絵も可愛くて安定していて全身ポーズでもデッサンばっちり、コメディとしてのテンポも良くて新人らしからぬ完成度。前号から始まったこるりの「桃色トランス」共々『メバエ』対抗の一翼になりそうです。全方面の百合漫画総合誌ならではのラインナップ。

捏造トラップ コダマナオコ

 コダマナオコの新連載。男女二組のペアのはずなのだけれどそこは『百合姫』掲載作。由真&蛍のヒロイン二人は幼なじみでどうやら男子sより絆を持っての登場の様子。視点キャラの由真は素直で常識的な感じですが一方の蛍は一見大人しげな小悪魔キャラ。男子sは今のところ存在感が薄かったりしますがこの先どんな役所が振られるのか楽しみでもあります。

俺と百合 百合男子第2章 倉田嘘

 藤ヶ谷の啓介並みの変人度はしっかり定着したようです。百合漫画事始めが啓介で師匠がミセス魚屋さんだもんね。変な方向に濃く育ってしまうのも当然? 今回は新章ということで環境も変化し、これまで各地に散っていたキャラ達が一同に介しての新展開となります。作中可愛さ担当であった武蔵野君がイメチェンしていてちょっと衝撃でした。そしてどうやら今度のテーマは「百合男子の女子との恋愛どうするの?」であるようです。籠目と啓介の対立するだろう展開が楽しみ。啓介の妹も前面に出てきて百合エピソード構成組となるのか期待してしまうところ。

パブロフガール ねこ太

 被虐・加虐のSMというよりは主従ネタの四コマ。カレーを辛くするのはご褒美です。

桃色トランス こるり

 TL風の描写は以前からありましたが、18禁ゲームのコミカライズに近い雰囲気の連載が『百合姫』にも載るようになったのだな、と感慨深いものがあります。読む側的にはまだ慣れない、といいつつやっぱりおかっぱダヨネーなどとつぶやくのです。

かなえて!ゆりようせい 源久也

 ちんちくりんな百合妖精が。しかも「つづく」って最後に書いてある。ふと思ったのですが「百合男子」とコラボとか意外と合いそう。啓介もきっと(可愛くない方の)百合妖精の一種。

隣のお嫁さん 大沢やよい

 百合専門誌に載っていると読者側的に予断が働いてしまうのですがこのお話はそういう点でちょっと損をしてる気がします。のほほんとしたお嫁さんのダメっぷりの可愛いこと。百合漫画としては(読み切りであれば)やや弱い設定のお話ではありますがすごく好ましい。

つま先にゼロ距離 あおと響

 この作者さんは空気というかテイストというかリズムというかノリというか演出というか独特のものがあって創作者としてのオリジナリティを感じます。今回はフラれたばかりの大人の女性が遭遇した中学生女子にときめいてしまうお話。

ゆるゆり なもり

 京子&唯、ちなつ&あかり、ごらく部オールスターズの三本立て。ミニあかり可愛いじゃないですか〜。

Himecafe

 今回のゲストはなもり。さすがに看板作家さんということでなんと三回目です。次回は倉田嘘。今回も面白かったし次も楽しみですが『百合姫』出身でないゲストポジションの連載作家さんのhimecafe対談も読みたいな〜。今だとこるり先生とかべにしゃけ先生とか。

がちの百合道

 アイドルグループメンバーへの情熱を語るシリーズ。アイドル関連は異文化感がたっぷりあって毎回感心させられます。

りりくるぱーてぃくる

 ドラマCDシリーズ「りりくる」の連動ページ。イラスト担当のみわべさくら氏のイラストコラム。

それは百合だった

 懐アニメの中の百合シーンを紹介というコーナー。今回は『機動警察パトレイバー』の野明×香貫花。

LILY LILY WHISPER

 イラストコラムのシリーズのようです。今回はあおと響。

10年後の百合の話をしよう

 小さなコーナーですが編集長のコラム。「百合は売れない」という一言が強烈ですがそれは≒「百合だから売れるわけではない」という意味のよう。漫画そのものがたどる下降線に百合漫画も沿ってしまうようになった、ということなのかな。この種の話をするなら、きっちり実売部数のデータに基づく話を示して欲しい、と思ったり。とはいえ以前の読者男女比の数字のように発表した側自身で揶揄するようなうさんくさい数字を出されても意味がないか……。

citrus サブロウタ

 前回、芽衣に迫られた柚子というシーンでがっちり引っ張りましたがそう簡単に決定的な状況には進展しないのも「citrus」。修学旅行イベントに突入し新キャラも投入されて主人公二人のやきもきする関係を維持したまま新展開。

ひみつのえりあし べにしゃけ

 大学が一緒の幼馴染み。髪を切ったら元がきれいな子だっただけにボーイッシュな魅力を振りまきはじめ主人公もヤキモキしてしまうのでした。かわいらしいお話だ……。

月と世界とエトワール 高上優里子

 扉ページの「クライマックス間近…!」の煽りにどきどきしながらページをめくれば前回に引き続きの急展開。アクションシーンがあるわけではない音楽&学園モノでお話自体は静かに進みますが、陰謀家っぽかった海百合さまの意図も次第に明らかに。世界の突然の変節の理由も明らかになるのですが、ここは、ここはもちょっと盛り上げて欲しかった!と思いつつクライマックスに向けての助走ということなのだろうと次回が楽しみに。

私が仕事をやらない、ただひとつの理由 春日沙生

 お手紙《花粉》を届ける蝶とお手紙《花粉》を待つ花との小さなお話。ちんまり可愛い絵柄でお話も可愛く。

虹色ミライ 片倉アコ

 今回のお話で雰囲気というか見せ方というかで大きな飛躍を予感させた百合姫コミック大賞出身の作者。多くもないけれど決して少なくもないマイノリティとして生きる人とマジョリティとして疑問なく成長してきた少女との出会いのお話、と書くと難しげですが失恋して道ばたで泣いていた女子高生と淡々系OLのお話です。

ショタガール 河合朗

 ひ、ひどい。思わず笑ってしまったヒロインのあかん人度。何がひどいのかは、あ〜、タイトルから想像してもらうのが良いのではないでしょうか。前号が百合女子の話であったのでセットのエピソードなのかも。

私が会社を辞めた時の話 ちさこ

 お勤め嫌だオーラ出まくりでした。失業してハローワークに行ってはみたけれど今ひとつ真摯になれない主人公。でもぶらぶらしていても経済的に苦しくなり、働いている友人達との溝を感じるばかり。ハロワの担当のおねーさんに相談に乗ってもらい立て直しを図るも……。前号が「私が会社を辞めようと思った時の話」で少しずつタイトルが進展して行くのかもしれません。

猪里さんと相馬さん くずしろ

 紹介するとネタバレになりそうだし、してもいいネタバレのような気もするけどどうしたものか。女子が同性に対してよく言う「可愛い」を題材にしたとーってもくずしろらしいキター感のある話でした。

犬神さんと猫山さん くずしろ

 犬猫本編を読むのはしばらくぶりの気がします。あー、やっぱり面白いじゃーん。そしてこっちも感想を書くとネタバレになりそうで迂闊なことを書けないという。

らぶです くずしろ

 ハタ迷惑なアクションいちゃつきバトルシリーズ。『百合姫』が2011年にリニューアルした折にはカバーストーリーでガンアクションものが載りましたが最近はアクション要素少なめになってきていたこともあってこのシリーズ楽しみだったり。ややイロモノな感じでありつつ勢いのあるお話が好きです。

あやめ14 天野しゅにんた

 今回はあやめと珊瑚、幼馴染みの二人の過去を振り返りつつ。このシリーズはどういうお話になるのか着地点が予想できない。

喋喋喃喃ちょうちょうなんなん 竹宮ジン

 今回からは文化祭の出し物にするクラス演劇の話です。演劇+恋愛ものということでお約束があるに違いない!という期待を外しません。そして次回への引きで「うがー」となるのです。

恋のワンルーム 蕗

 一人暮らしの主人公の隣の部屋へ越してきたのはおっちょこちょいの頼りない女の子。なぜか色々面倒を見る羽目に。新人っぽさはまだ残りますがほっこりするお話でした。

第12回百合姫コミック大賞結果発表

 これからの『百合姫』の目指す方向がよくわかる新人賞コメントとなっています。佳作の「Braver!」の作者さんは今号からmerryhachiというペンネームで連載が始まっているし、入選の「わがままちゃんと気ままちゃん」、佳作の「あの子がキレイになった理由」も読んでみたいと思わされる絵柄でと選評でした。

★ ★ ★

 次号予告には片倉アコ「ラストワルツ」、仲原椿「12分のエチュード」、河合朗「失格少女」、大沢やよい「女ふたりで暮らしてみた話。(仮)」と百合姫コミック大賞出身の作家さんたちによる新連載が一気に四つも予定されているようです。楽しみ。

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