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『サイダーと泣き虫』缶乃

サイダーと泣き虫
缶乃
一迅社百合姫コミックス
2015.2.18

 とても面白かった『あの娘にキスと白百合を』の缶乃の同人原稿を集めた百合短編集。収録は八編+あとがきで148ページ。扉カラーもありました。
 以下、各話の内容説明を中心に感想を交えつつ。

花丸ハッピーエンド

 子分のような存在だった幼馴染みが中学、高校時代になっていつの間にか子分的な存在ではなくなっていて、優れたところを見せようと勉強やらなんやらで頑張って結果を出してみても以前のような立ち位置の再確認をすることは出来なくて。対する幼馴染みの内心は——というところを印象的に見せてくれるのです。『あの娘にキスと白百合を』の白黒コンビの関係にも少し通じるようなお話。

畢竟デッドエンド

 「花丸ハッピーエンド」の別視点+αバージョン。ずきゅーんときたモノローグをここで紹介したい気もしたのですが、これは本編を読んで楽しむべきと考え直したのでした。そうだよ!百合漫画ってこういうのを期待してたんだよ!感。

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

 オカルト研究会を舞台にしたお話。恋のおまじない的なものを軸に。

ようこそ!オカルト研究会

 「ひらひらひらく秘密ノ扉」と同じ舞台での四コマ。新入部員編。

シンデレラ

 少しだけ未来の設定で複合現実メガネという小物をキーにしたお話。複合現実メガネで憧れの彼氏に見えるようにするから身代わりデートで彼氏役をやってくれ、と友達に頼まれて……。

ただ春を待つ

 これと続く「夏が終わる」は純粋な百合ものではなく男子の絡む微妙に三角関係的なもの。こういうお話も大変好みなのでした。男が出てくるだけでイヤ、という人には回避推奨かもしれないですが缶乃の漫画としての面白さばっちりなのでもったいないですよ、と一言。

夏が終わる

「ただ春を待つ」の主人公の想い人である同性の先輩にフォーカスを寄せた続き。読んで「男女ものの少女漫画はこれと逆転した関係だったんだ」と改めて思ったのでした。でもこの逆転はシンメトリーではなくて少し危うさも漂い、それがまた良い余韻に。

竹に虎

 オカルト部のシリーズからの描き下し。語るに落ちてるPart.2、なのだけれど人と立場が変わってることが良いスパイスに。

 『あの娘にキスと白百合を』で缶乃の作風が気に入った人にはこちらも楽しめるはず。人間関係のテクスチャが多様で濃く、かつての少女小説やテレビドラマ・中学生日記の良い部分に触れているような感触が魅力です。
 缶乃の漫画自体未体験の人には『あの娘にキスと白百合を』シリーズを先にオススメ。

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