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SONY MDR-EX750購入レビュー

SONY MDR-EX750購入経緯

 イヤホンを新調しました。SONYのMDR-EX750というモデルです。
 外で小説を書いている時に使っていたEtymotic ResearchのER-6を壊してしまい代わりになるものを、と家電ショップに試聴に行きました。お目当てはBluetooth接続のヘッドホン。外耳炎の経験がありイヤホン、特にカナル型ではいつ再発するかと心配だったのです。オーバーヘッド型のヘッドホンでそんな憂いとはおさらばさ!です。
 当初はAKG Y45BTのような小振りなヘッドホンにするつもりでしたが家電ショップで試聴して「う〜ん?」となりました。隣にあったAKG Y50BTを聴いてみたところ「こっちのがずっといい!」と。「ノイズキャンセラー付のも面白そう」ということでSONY MDR-ZX770BNも聴いてみると「インパクトないけどこっちも悪くない感じ」でした。でもどちらも大きい。売り場をうろうろして悩んだあげく毎日持ち歩く気にはなれそうもないということでイヤホンに路線変更です。

 脱線ですがついでなのでBluetooth接続の上級機SONY MDR-1RBTを聴いてみたら「値段の高い音がする!」でした。笑っちゃいそうですがほんとそういう感じ。有線ヘッドホンでも上級機はたいてい細かい音が拾えてすっきり聴こえ余計な音がしないのです。770BNも「欠点ないし質も高いけどコレ!という魅力がないような」とSTAXユーザ的には思ってしまいました。STAXは入門モデルであってもクラシックを聴いたときにダイナミック型やBA型にはない「うわー」と思える美しい響きがあったりします。欠点もありますが美点が吹っ飛ばしてくれます。いや、そういう買い物にきたんじゃなかった……。外で小説書きの友になる実用的な(あまり高価すぎない)ヘッドホン改めイヤホンを!

 有線イヤホンについてはろくに調べていなかったのですがぶっつけの試聴だけで選んでしまうことにしました。最初に目に留まったのがSONYのExtra Bassシリーズ。低音ずんどこはとても楽しそうです。外出時には特に。ところが試聴してみると「……?」でした。うんと低い音が出てるわけでもないし地響きを感じるわけでもない。力強いわけでもなく引き締まった低音でもなく。まどマギの『Magia』やパイプオルガン曲を低音の目安にしているのですがどちらも楽しくない……。以前使っていたAERIAL7TANKの楽しさと比べると残念な感じです。
 家電ショップでは適当に目についた製品を試して歩いたのですが、良い感じに聴こえたのが今回購入したSONY MDR-EX750でした。率直にいえば無難な音なのですが、1万円帯では価格の割に質は良さそう。細かな音がよく聴こえ、試聴の曲を色々試してもおかしな鳴り方をする曲がないのです。10本くらい試してみると無難なモデルが良いような気もしてきます。試聴も飽きてきたのでこれでいいやとSONY MDR-EX750にしました。

MDR-EX750ファーストインプレッション

 帰りの電車で早速聴いてみました。

  • 遮音性はそこそこあるのに車内アナウンスはしっかり入ってくる
  • 低音はそれなりに出てる
  • タッチノイズがEtymotic Research ER-5より少ない
  • MDR-1RBTと似て優等生的な高価格帯の音

 好印象です。クラシックでもJazzでもゴシックメタルでもアニソンでも試した範囲ではおよそ苦手なジャンルがありません。低音はちゃんと出てます。Extra Bassシリーズより低いところまで引き締まった低音が鳴ってる気がします。歩きながら聴いても自分の足音やタッチノイズがうるさすぎるということもなく、ジャンルを選ばないだけでなくシチュエーションも広く対応するようです。

 化粧箱はそれなりに見栄えするものではありますが1万円弱の製品ならもっとシンプルなパッケージでも良かったような気がします。ちょっと邪魔でした……。

MDR-EX750おうちで比較

 自宅でも聴いてみました。EX750。
 結論からいうと「アンプ!」でした。iPod touchと据置DACのヘッドホン端子とを比較してみたところ少し印象が変わりました。iPodのヘッドホン出力は音量自体はそこそこ出せるものの駆動能力は低めだったのを思い出しました。EX750では出力に余裕のある据置DACとiPodの差が音の線の細さに出ました。iPod touchでは残響のような成分が減ってしまいます。試聴の際にExtra Bassシリーズが残念に感じられたのはiPodの駆動能力が足りてなかったのかも。
 ポータブルアンプ持ち歩けってことかな……。それはさすがに小説書きの友からは外れてしまっているような。

 据置DACに繋いだMDR-EX750ですがクラシックが(ポータブル用途としては)楽しく聴けます。少し大きめの音量で音に包まれる感じにするといい感じ、はダイナミック型共通。トラーゼのプロコフィエフ・ピアノ協奏曲。ベロフのドビュッシュー前奏曲集。ハーンのシェーンベルクヴァイオリン協奏曲。ボロディン四重奏団のショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲。このあたりが良い感じ。バロック音楽もタイトに響く低音のおかげで気持ち良いです。音色そのものが美しいというほどではないのでヴァイオリンの独奏などはあまり得意でないですが小〜中規模のオケには割と合うみたい。
 澤野弘之のBEST OF VOCAL WORKS[nZk]BEST OF SOUNDTRACK【emU】といったアニメサントラもかなり楽しく。音場がしっかりしてて楽器の分離の良い録音と合う……のかな。
 ただ、まだ買ったばかりであるせいかハイハットを連打するようなところで音が繋がってしまって耳に刺さります。この粒の細かい音が連続するところでのイマイチな感じは椎名林檎のノイズ多用曲では聴いてるのが苦痛なレベルに。ボーカル曲の、日本製イヤホンやヘッドホンでよくいわれる「サ行のきつさ」もあってこれも同根であるように思います。気になったのはこのくらいで全体に超優等生。

ノイズアイソレーションイヤーピース EP-EXN50M

 オプションのイヤーピースで良さげなのがあると知りました。SONY ノイズアイソレーションイヤーピースです。さっそく買ってきました。
 これは単純に遮音性を上げるアイテムみたいです。装着感がやや固くなるのでフィットサイズが標準のイヤーピースとはちょっと違うかも。私の場合は耳が痛くなったので元の標準イヤーピースに戻りました。遮音性も心持ち良くなる程度で効果は小さめです。むしろ装着状態の方が音に大きく影響するので、よりフィットする(かもしれない)ちょっと感触の違うイヤーピースと考えて試すのがおすすめ。過剰な期待をするようなものではないです。

ハイレゾ音源を聴いてみた

 MDR-EX750は「ハイレゾ対応」です。幸い、使用している机上のDACは96Khz/24bitまで対応していますし、音源もあります。

 DACの設定を96Khz/24bitモードにし『Hilary Hahn J.S.Bach Violin Concertos 88.2Khz/48bit』を再生してみました。これ、幸いにも?最初に買ったCD版(44.1Khz/16bit)とハイレゾ音源配信が始まったときに飛びついた88.2KHzの両者が揃っていて比較が可能です。さっそく聴き比べてみると……。

 わかんない。sweat02

 20Khz以上の音などふつうは聴こえないので当然といえば当然なのですが、音の定位や音場が違って聴こえるのではないかと期待したもののそういうこともないようです。1万円以下のポータブル用途の製品に期待しすぎてもいけないのかな。あるいは耳があまり良くないのかも。
 波形を編集ツールで比較してみると24bitのハイレゾ音源の方が音量の範囲が広く(弱奏パートと大音量パートの音量差が大きく)とても単純比較できなさそうです。またデジタル配信初期のものであったせいかデータ自体に微妙?と思える要素もあってこのデータでのCDフォーマットとの比較は避けた方が良さそう。残念。

ある程度使い込んでみた感想

 購入から一ヶ月ほどを経てそれなりに慣らしも進んできた頃合いかと思うので印象のまとめなど。

 ボーカル曲における「サ行のきつさ」は多少緩和されましたが解消にまではいたっていません。ハイハットを連打するようなところではやはり耳障りに感じられます。品質が安定していて使用開始直後からそれなりに性能を発揮できているということなのでしょう。それでも全体に音の固さがとれ、机上DACとiPod touchでの残響の柔らかさに差が出なくなってきたように思います。耳が慣れてきただけかもしれませんが。

 ボディはアルミらしいかっちりとした感触があって好感が持てます。塗装してあるので傍目にはプラと見分けがつかないのはちょっと悔しいかな。ケーブルは絡みにくくしなやかで非常に使いやすいです。ハイレゾ対応は音源側がまだ十全に生かしきっていないということもあるようですし、イヤホン本体にしてもポータブル用途でハイレゾというのはぴんと来ません。ティーンの繊細な耳であっても歴然とした違いを感じ取るのは困難だと思います。そもそも可聴範囲外の高音以前に、普通に聴き取れる音の範囲で「サ行の刺さり」「ハイハット連打が耳障り」といった些少ではある弱点はハイレゾ以前の問題に思います。たぶん高品位音源が活きてくるのはSHURE KSE1500 高遮音性コンデンサー型イヤホン KSE1500SYS-J-Pのようなハイエンド製品での話なのでしょう。お値段すごくてポータブル用と思うと手が出ませんが。

 苦手とするような曲ジャンルもなく、すっきりとした音で楽器それぞれの分離も良く立体感があり、うんと低い音もそれなりに再生してくれて、強めの低域はスピード感がありタイトで締まりある鳴り方でぼわぼわせずにボーカルや高音をマスクしてしまうようなこともないとても優等生的な音です。低音はタイトではありますがイヤホンらしいそれで、重くて量感のある鳴り方ではないので「これほんとに低音かなぁ?」と不満に思う人もいるかもしれません。プレーヤーとウェットティッシュを持って家電店で試してみるのがおすすめです。

 遮音性はほどほどで地下鉄や人声で満ちたファストフード店などではやや周囲の騒音が気になります。でも歩いているときの周囲の気配を断ってしまう程度には遮音性はあります。静かな図書館で音漏れを気にする必要もないはず。

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