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2016年1月の3件の記事

『ハナとヒナは放課後 1』森永みるく

ヒナとハナは放課後 1
森永みるく
双葉社アクションコミックス
2016.1.12

 森永みるくの百合漫画新シリーズです。
 前連載の『学園ポリーチェ』が漫画自体は面白いのに扱われる事件が百合要素のある漫画的に調和してない感じが惜しかったのですが、今回は文句なしに楽しい百合漫画してます。
 森永みるく得意のちょっとどんくさなとこのあるちんちくりん黒髪ショートカットと金髪ロングビューティの組み合わせで、主人公のハナが黒髪ショート、金髪のヒナはファッション誌の読者モデルをしていたりするお洒落さん。ある日、ハナのバイトするファンシーショップにヒナが新人アルバイトとしてやってきます。ヒナはクールな外見の割にちんちくりんなキャラものが大好きな様子。バイトの先輩であるハナよりもお店のグッズに詳しいヒナ。でもヒナはキャラもの好きを否定します。いつもの森永みるくなのですが、いつも通り文句なしにかわいくて魅力的なキャラ&展開。いや、新たな作品になるごとにパワーアップしてるしてる気がする……。
 現実世界はファンシーショップもファッション誌も女子高生もやや華やかさを欠く時代ではありますが、この漫画ではキラキラしてます。1巻の終わりでは葛藤シーンも入りだし、いよいよ本格的に百合漫画として展開そうな予感で引っ張ってくれます。今から続刊が楽しみ。近所の書店では配本が少なめだったようで発売日に買うのに数件はしごしてしまい、その後も姿を見かけませんがネット書店には在庫もあるようです。『GIRL FRIENDS』や『くちびるためいきさくらいろ』『ひみつのレシピ』『お姫様のひみつ』等一作でもお気に入りがある読者であれば今回も面白く感じられると思います。おすすめ。

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『紅玉は終わりにして始まり』ケルスティン・ギア

紅玉ルビーは終わりにして始まり
著:ケルスティン・ギア
訳:遠山明子
東京創元社

 面白かったです。
 Twitterでタイムラインに紹介があって「この人が紹介してるなら面白いに違いない」「きっと好みのテイスト」と読んでみると大当たりでした。やー、面白い本を教えてくれる人というのはほんとありがたいです。
 ヤングアダルト向けの時間旅行SFです。旅行といっても紀行的なテイストのお話ではなく、主人公の少女が巻き込まれていく冒険もの。陰謀も絡み、とても物語力に溢れたドキドキワクワクタイプのお話。始まりの舞台はほぼ現代のようですが、十七世紀以降の時代へのアプローチもあるためにヨーロッパ時代ものの香りもあってとても好み。加えてニュートンやサンジェルマン伯爵のような歴史上の有名人物が登場します。めっちゃうさんくさいことの起きそうな顔ぶれじゃないですか。うはー。
 お話は常に一歩先が予想できるように組まれていて、読んでいてとてもしっくり「こうでなくちゃ!」という感覚に溢れつつ、二歩先を読ませないストーリーテリングと構成の妙に溢れています。ヤングアダルト向けの鑑のようなお話。
 主人公の少女・グウェンは完璧タイプの主人公ではなくちょっと冴えないところもあるごくごく普通の子。でも、普通といってもお姫様タイプでないだけで十分にトラブルメイカーで事態をごろんごろんと転がし始めます。これは面白い!というわけで三部作だという続刊も近いうちに読んでみようと思います。

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映画『クリムゾン・ピーク』

 観てきました。
 『クリムゾン・ピーク』。

 『スターウォーズ/フォースの覚醒』が大盛況の今、「何か観ようかな」と迷っているなら迷わず『スターウォーズ』最新作。でもゴシック物大好きだったり、超豪華SFエンタメ傑作はお腹いっぱい、ということなら『クリムゾン・ピーク』はかなりオススメです。

 なんといっても映像が素敵です。メインの舞台となるお化け屋敷・アラデール・ホールの美しいこと。真っ赤な粘土の丘に建つ屋敷はかなり寂れているのですがその寂れ方が素晴らしくゴシックなのです。ゴシックもののお約束の通りの半ば廃墟のようなゴシック建築の屋敷(あれほんとにゴシックの範囲なんだろうか……)を舞台に心霊現象と陰謀と愛憎が展開されるのですがそれがもうゴージャス。

 お話は裕福なカッシング父娘の日常から始まります。娘・イーディス・カッシングは小説を書く箱入り娘。そこに現れるトーマス・シャープ青年。クリムゾン・ピークでの鉱物採掘事業の出資者を求めてカッシング父の元へやってきたのです。
 いかにも怪しいトーマス・シャープとその姉・ルシール。

 20世紀初頭を舞台に、ということでイーディスの服装や眼鏡もそれらしい質感で描かれ、上映開始早々からテンションがあがります。ストーリーは良くも悪くも陳腐なゴシック。ああ、きっとそうなるんだ、という予想に沿って——というより予想が立つように常に前フリがなされて、その通りに展開していくのです。
 なのでシナリオ的には陳腐、と感じる人も多いはず。でも、陳腐で良いのです。ゴシック物はその成立時点で最初から陳腐さに溢れていました。イメージの美しさに酔えさえすれば良い。それがゴシックです。そして『クリムゾン・ピーク』は美しいイメージの連発でした。完璧です。ネット評でも流れていましたが、絵からそのまま抜け出してきたかのようなラファエル前派風美女の映像はもうシビレルとしか言いようがなかったです。

 もちろん、不満もあります。予告では館の様子がたっぷり紹介されていましたが、ヒロイン・イーディスがなかなかアラデール・ホールに行かないのです。ひたすら「早く屋敷へ!」とやきもきさせられた前半でした。

 終盤はやや意外——ストーリー的に予想外なのではなく演出的に「そーゆー方向か」となりました。このあたりはゴシックものの定石から外れた現代的な部分でしょうか。

 ネット上の感想をあちこち眺めていてトム・ヒドルストンのお尻に関する言及が多かったのが印象に残りました。

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