カテゴリー「本の感想」の104件の記事

2006.03.09

『出版大崩壊』小林一博

アマゾンへのリンク出版大崩壊 いま起きていること、次に来るものリンクはAmazonへ
イースト・プレス
小林一博
2001.4.30

評価:★★★★☆

 読むんじゃなかった……。

 作家志望者にとってはそんな本でした。
 ある直木賞作家の新刊の初版部数が1000部だそうです。日本全国に図書館が2600あります。図書館の半数が入れただけで初版が捌けてしまう数です。著者にはそれでも3000部刷りました、と申告して印税を渡したそうです。でも3000部×1500円×10パーセント印税でも45万円……。
 半年なり、一年なり、書くのにかかっているはずなのに。

 2001年の本ですが他にも恐ろしい数字が羅列されます。

  • 返本率平均40パーセント超
  • 年間出版点数65000点超
  • 伸びない売上

 良い話が一つもありません。この本が書かれてからすでに五年。今も状況は変わっていないのでしょうか。出版点数が多いということは作家志望者にはデビューの機会も多いと言うことなのでしょうが、デビューしても専業は難しそうな状況に思えます。

 出版業界の状況を描いた本はもっと新しいデータに基づいたものもあると思いますが、この手の知識の無かった私には衝撃的な内容に感じられました。テレビで軽く出版業界の問題点が指摘される時にはたいてい再販制度が槍玉にあげられますが、問題は制度よりも商習慣にあるみたいです。読んでいて、町の書店が可哀想になってきました。
 出版から少し時間が経ってしまっているので積極的にはお勧めはしませんが、図書館などで見かけたなら手にとってみてはいかがでしょう。

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2006.03.10

『アマゾンの秘密』 ダイヤモンド社 松本晃一

アマゾンへのリンク 以前に『アマゾン・ドット・コムの光と影』という本を読みました。秘密主義のAmazonの内幕を潜入取材によってレポートする本で、劇的なスクープはなかったものの興味深く読めました。

 今回読んだ『アマゾンの秘密』はアマゾンジャパンの立ち上げに関わった人物が当時を語った本。著者は技術寄りの人物らしく、経営や物流の話はほとんど無く、Amazonのwebサイトがどのように機能しているか、が中心。
 Amazonの正規の社員ではなく、アドバイザーとして参加していたので内情を綴った本を出せたのかもしれません。正規の社員になるとかなり厳重な守秘義務が課せられてしまうようです。

 印象に残った部分をいくつか引用します。

しかし実際には警戒されることはあっても、敵対的に扱われるということはほとんどなかった。しかも、出版社で窓口になってくれた担当者からも、会社を離れた書籍を愛する一個人としては、むしろアマゾンが日本の慣習を革新してくれることを望んでいる、という発言が予想以上に多く飛び出した。
『アマゾンの秘密』P.73より

 昨日の日記で取り上げた『出版大崩壊』にも関係のある話です。アマゾンジャパンが動き出す前に各出版社を回った時のエピソードだそうです。選りに選って、出版社から業界の旧弊打破を期待されるとは。すでに出版業界には自浄能力がなくて、外圧に頼るしかないのでしょうか……。

 アメリカ文化らしい大ざっぱなエピソードもあります。ABテストと呼ばれているらしいAmazonの社内実験の話です。

 さてカスタマーレビューのABテストではコンテンツから一切のカスタマーレビューを取り去ったものと、普通にカスタマーレビューが掲載されているものを、一定期間、同時にエンドユーザーに提示することによって、カスタマーレビューの存在が商品購入に対して意味を持つのかどうかが記されていた。
『アマゾンの秘密』P.87より

 Amazonユーザーを実験台にしてテストを行っているわけです。アクセスする人ごとにレビューがあったりなかったり。日本の企業だとこういうことは「ユーザーを混乱させる」「問い合わせが殺到するだけ」とやらせないだろうな、と感心させられました。

 そうそう。Amazonのカスタマーレビューには一万円くらいの価値があるそうです。最初のレビューには三〇〇〇円ギフト券が抽選で当たるキャンペーンは今も継続中ですが、ずっと続けられているだけのことはあるみたいですね。

 この本はAmazonのヨイショ本です。『アマゾン・ドット・コムの光と影』のようなルポとしての視点で書かれたのではなく、アマゾンジャパンを立ち上げた当時を振り返った成功談が綴られています。内実が明らかにされないAmazonの貴重な情報ではありますが、インパクトはあまり無いかな。

『アマゾンの秘密』 ダイヤモンド社 松本晃一 2005.1.27
評価:★★★☆☆

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2006.03.12

『現代SF1500冊 回天編1996〜2005』大森望

Amazonへのリンク
『現代SF1500冊 回天編 1996‐2005』リンクはAmazonへ
大森望 太田出版 2520円

評価:★★★☆☆

 五〇〇ページの分厚さです。でも書評というほど突っ込んだものではなくて、駆け足のSF読書案内。タイトル通りこの一〇年分の一五〇〇冊を紹介しています。

 なんでこんな読書ガイドをいまさら手に取ったかというと、実は私はあまり本を読まないからなのでした。
 ――自分で小説を書くのに?
 そう言われてしまいそうですが、読む本の大半が科学解説書やドキュメンタリーです。自分で書きたい話の資料探しが優先してしまって、小説は特定の作家のものを追いかけて読んでいるくらい。そんな状態なのでふと「自分の書いてるものと似た話がすでにあったらどうしよう」と思ったりしたわけです。今回の本はそのチェックにはうってつけでした。

 改めて自分が最近の作家について何も知らないことに驚かされました。不勉強だ……。
 一昨年、昨年とライトノベル畑で活躍している作家が本格SFでも注目されてきているようで、違和感を覚えました。時代の流れでしょうか。そう言えば、SFマガジンでもセカイ系特集というのをやっていましたっけ。

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2006.03.20

『日本語はだれのものか』川口良・角田史幸

『日本語はだれのものか』 吉川弘文館 歴史文化ライブラリー
川口 良、角田 史幸 1785円 2005.5.1 (amazonへのリンク)

 ネット上で見かけた書評で本の存在を知り読んでみました。

 一言にまとめるなら「言語国粋主義反対」という本です。
 美しい日本語、美しい日本文化、というフレーズで売っている書物に対してのアンチテーゼ。
 美しい、と自賛している本で綴られている筆者の日本語が美しいとは私には思えないのでした。そんなこともあって、この本に書かれている美しい日本語→正しい日本語という幻想の否定には大賛成なのですが、一方で「言葉は常に変容していく」という言語学ではオーソドックスな、けれど美しい日本語派にはラディカルに感じられるであろう主張がすっきり明快には解説されなかったのが残念。
 言語学からは掴み取れない「正しい日本語」「根源の日本語」を美しい日本語派は感覚的に捕えているんだ!と強弁されたら否定できるだけの材料は無さそうです。

 面白かったけれど、もう一歩突っ込んで「美しい日本語派」を叩きのめすだけの有無を言わせない論理と材料が欲しかったかも。言葉は変化しつづけるもの、というのは例をたくさん挙げただけでは美しい日本語派は納得しないはずです。
 もちろん、挙げられた例は十分な説得力はあるのですが、美しい日本語派に対する反発が先に立ってしまっているかのような印象を受けました。
 なんだか惜しい本です。

『日本語はだれのものか』吉川弘文館 歴史ライブラリー 関口良・角田史幸 2005.5.1
評価:★★★☆☆

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2006.03.21

『203号室』加門七海

『203号室』 光文社文庫
加門七海 476円 2004.9.20 (Amazonへのリンク)

 怖いはずの仕掛けはたくさんあるのだけれど、なぜかあまり怖くない心霊ホラー。地方出身の女性が主人公で、都会暮らしに胸を弾ませて上京してきたのだけれど、借りた部屋が……という話。

 加門七海の作品では『蠱』は文句なしにおもしろかったし、『大江戸魔方陣―徳川三百年を護った風水の謎』『東京魔方陣―首都に息づくハイテク風水の正体』のあたりもなかなか良かったのですが、『うわさの神仏―日本闇世界めぐり』というオカルトエッセイで「あれれ?」という感じになり、最近の物は残念なことになんだかピンとこなくなってしまいました。

 今回読んだ『203号室』もいまひとつ。
 主人公の女性がパニック系の性格でうまく感情移入できず、おいてけぼりを食ったような印象です。ホラーではあまり冷静な主人公はまずいのかもしれませんが、幻覚なのか現実なのかを一人称的視点でまぜこぜにされてしまうと、恐怖ではなく狂気を描いた小説を読まされている気分になって醒めてしまいます。
 とはいえ、あまり理性的な主人公でも理屈臭くてうんざりしちゃうし。さじ加減が難しそう。
 気になったのは一人称的三人称で書かれた地の文で「イッちゃった人」(正気を失った人の意)のように口語、というか砕けた若者言葉が登場するところ。完全一人称ならアリだと思うけど、形式的に三人称の地の文で言葉が砕けすぎると興が削がれてしまいます。これもさじ加減かな?

 最初の頃の短編集『蠱』のようなスタンスの話がもう一度読みたい、と思うのは私だけでしょうか。

『203号室』 加門七海 光文社文庫 476円 2004.9.20
評価:★★★☆☆

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2006.03.24

『猫の気持ちを聞いてごらん』加藤由子

 猫の写真がなかなかうまく撮れません。

20060324_01 うちの猫は目が見えません。猫の感覚というのは人とはずいぶん違うらしく、空間の把握で記憶に頼ったりはしないようです。何を探し当てるのにも行き当たりばったり。餌と水は猫トイレの隣に決まって設置してあるのですが、トイレを探して餌場に行き着いても、すぐとなりにあるはずのトイレには見向きもせずに適当な方向に歩き始めます。壁に行き当たると向きを変え、トイレにぴったりと出くわすまで延々と歩き続けます。目が見えていた頃から餌場もトイレも同じ場所なのに……。
 目が見えないせいか周囲に対する関心も薄いようです。声をかけても振り向きませんし、人が近づいても甘える仕草をするわけでもありません。そうなると、写真を撮ろうと思ってもポーズが決まらない。――没写真ばかりが増えていきます。 と、猫の話題を振ったところで本の感想など。

ネコの気持ちを聞いてごらん 幻冬舎文庫
加藤由子 2006.2 520円(Amazonへのリンク)

評価:★★★★☆

 猫好きには割と定番の著者の猫エッセイ。片足のない"フー"と過ごす著者の元にある日"まる"がやってきて……という話。猫好きにありがちな「人の気持ちがわかる癒し」的な接し方ではなく、少し距離を置いた視点で猫を観察している独特のエッセイ。でも、やっぱり親ばか。

 他にも飼育ガイドなどを書いているらしい著者ですが、エッセイで本領を発揮しています。特に

『雨の日のネコはとことん眠い―キャットおもしろ博物学』 PHP文庫
加藤由子 1996.4 470円

この本が良かった。最初に読んだのはハードカバー版です。文庫もすでに絶版の気配ですが、このエッセイが加藤由子のエッセイの中で一番お気に入り。イラストも猫好きの琴線に触れる出来。猫好きは必読です。

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2006.03.31

『恐竜野外博物館』ヘンリー・ジー

『恐竜野外博物館』 朝倉書店
ヘンリー・ジー+ルイス・V・レイ
監訳:小畠郁生 訳:池田比佐子 2006.1.15 3800円

評価:★★★☆☆

 書籍版『ジュラッシク・パーク』といった趣でした。
 恐竜図鑑かと思って手に取ったのですが、生態の面に踏み込んでおもしろい読み物に仕立ててあります。

 全ページカラーの美しい本です。恐竜のイラストも色鮮やかな色彩が与えられ、大胆な仮説――想像力を飛躍させ過ぎかも――に基づく生活シーンが再現されています。

 冒頭でフィクションです、と断ってはいるけれどもこれを子供が読んだら学説なのかフィクションなのか混乱してしまいそう。それにちょっと変な、明らかに間違っている再現も混ざってるような。大抵の映画の中の恐竜達よりはずっとまともではありますが。
 それでも美麗なイラストと頭を捻ったであろう習性の設定は楽しめました。雰囲気としてはドゥーガル・ディクソンの『新恐竜』みたいな感じかな。恐竜に詳しい人が吹くもっともらしいホラ……。

 おもしろかったです。唯一の不満は「テリジノサウルス類の生態、もっと工夫して!」でした。体に似合わぬ特大の爪を持つ奇妙な恐竜なんですが、ありきたりに「シロアリの巣を壊して……」じゃつまらない。現生の生物でテリジノサウルス並に凶悪な爪を持っているのはナマケモノ。あるいはモグラ。大木の枝にぶら下がっていた恐竜とか穴掘り恐竜とか駄目ですか。フィクションなんだし。

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2006.04.13

『ビヨンド 惑星探査機が見た太陽系』マイケル・ベンソン

リンクはamazonへビヨンド 惑星探査機が見た太陽系
著:マイケル・ベンソン 訳:檜垣嗣子 新潮社 2004.12.22 5880円

評価:★★★★★

 写真集です。
 と、言ってもカメラ絡みの話ではなくてSF絡み。太陽系の惑星探査で得られた写真を集めた本。

 「探査機の撮った写真ならNASAのサイトで見られるよ」

 そう思った方、天文関係に詳しいですね。確かにNASAのサイトでは膨大な探査機の画像が公開されています。一時間や二時間では到底全部は眺め切れないくらいの画像の山です。最新情報もありますし。
 でも、残念なことにNASAの職員は「プロカメラマンの眼」を持っていません。何が映っているのかが正確に分かれば良いというスタンスです。彼らは科学者なので当然です。
 この『ビヨンド』は画像のプロの視点でまとめられた探査機のデータです。訳の分からないアート風にアレンジされているのではありません。ただ、NASAが資料として公開した画像から本来の美しさを引き出しただけ。いんちきな加工ではなくて、人の眼に美しく見えるツボを押さえただけです。私たちの使うカメラでも、蛍光灯の照明の下で撮った写真と白熱電球の下で撮った写真では被写体が同じでも雰囲気が違います。ちょっとした色調整で、写真の印象はがらりと変わってしまうのです。
 どのみち、写真が真(まこと)を写すとは限りませんし。

 私のお目当ては火星の写真です。趣味のSF小説書きで火星を舞台にしているので、少しでも現地の雰囲気が掴めれば、と。

 良かったです。とても。
 一番印象に残った写真は火星全土を包む砂塵嵐・ダストストームのパノラマ合成写真でした。ダストストームを火星地表で体験したらどんな感じなのだろう……。

 火星以外の惑星の写真もどれも素晴らしいです。NASAの公開している広報写真とは違い、画像のプロが仕上げるとここまで訴える物が違うのか、と感動できます。写真の力って素晴らしい。
 お勧めです。

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2006.04.14

『デジカメ時代のスナップショット写真術』大西みつぐ

デジカメ時代のスナップショット写真術 大西みつぐ
平凡社新書 2002.11.20 780円

評価:★★★★☆

 やっと見つけた。
 この本を読む直前にも『デジカメ写真は撮ったまま使うな!―ガバッと撮ってサクッと直す』(鐸木能光)というデジカメ本を読んでいたのですが、これまた載っている写真が商業出版物とは思えない出来の物ばかりで、ようやくまっとうな写真の載っている本に出会いました。いえ、最初からプロカメラマンの書いた本を探せば良かっただけの話なんですが。

 新書の体裁なので数日前に紹介した『散歩写真のすすめ』のようなひどい印刷の写真が載っているのかと心配しましたが、写真としてなんとか見映えのする印刷です。掲載されている写真はサイズも小さいので微妙ですし、本の内容的にスナップばかりですが、それでもきちんと写真の技術を押さえたプロの写真。なんてことのない普通のスナップに見えるカットでも、何かが違います。

 書かれている内容も実がありました。写真に興味があり「散歩」というキーワードにもピクリと反応する人は一読あれ。散歩写真の神髄とか大仰なことは書かれていませんが、写真を愛し、それを職業にしてきた人ならではの言葉の重みがあります。

 書名には「デジカメ時代の」と修飾語がついていますが、内容的にはデジカメの話題はほんの一部。でも、それでいいのだと思います。カメラとしての扱いはデジカメも銀塩もさほど変わらないと思うので。

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2006.04.19

『折り鶴から折るおりがみ恐竜大国』

 Origamiの話です。
 と、ローマ字にしてしまうとPDA(電子手帳)愛用者のblogとしては超小型パソコンの話題のような感じですが、今回は本物の折り紙。でも、恐竜の折り紙ということで何となくZaurusとも関係があるような、無いような。

Amazonへのリンク『折り鶴から折る おりがみ 恐竜大国』 山田勝久
誠文堂新光社 2006.02.25 1500円

評価:★★★★☆

 恐竜好きには強くお勧めしたいです。
 これまでにも恐竜の折り方の載った折り紙本はありましたが、恐竜がずらりと並んでいるものは珍しいと思います。 ――あ、Amazonを検索すると『折り紙の歩く恐竜、走る恐竜』というのがあるみたい。『恐竜王国』の恐竜たちを制覇したら探してみよう――

 

スピノサウルスとZaurus パラサウロロフス、ランベオサウルス、スピノサウルス、プロトケラトプスetc……。
 ディメトロドンなどというマイナーなものもいます。(恐竜じゃないけど)
 なんというか、もう、折るべし!折るべし!。
 パラサウロロフスとスピノサウルスを試してみました。折り紙自体も久しぶりで、元々が不器用なものでヨレヨレですが楽しかったです。右の写真が私の苦闘例・スピノサウルス。背びれ、ついてます。上半身が低めの姿勢で二本脚で立たせることができます。ヨレヨレに目をつぶればカッコイイです。

 この『恐竜王国』にはプロトケラトプスの折り方も載っています。残念ながらヴェロキラプトルは載っていませんが、ティラノサウルスがあるのでこれを小さく、細めに折ってやれば……。
 そうです。中国で発見された非常に有名な化石「プロトケラトプス対ヴェロキラプトル」の格闘シーンの再現ができるじゃありませんか。
 ちなみに、プロトケラトプスの折り方は難易度★★★となってます。スピノサウルスが★★。すでにかなりの苦戦を強いられているので私に折れるかどうか。

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2006.04.26

『あなたの写真を拝見します』安友志乃

Amazonへのリンクあなたの写真を拝見します 安友 志乃
窓社 2003.11.28 1500円

評価:★★★☆☆

 著者は「講評」が職業なのだとか。写真雑誌の投稿コーナーに添えられる選者の講評――あれを個人相手にするみたいな感じなのかな。投稿ではとりあえず入選しないと講評をもらえないけれど、この著者には対価を払うと講評がもらえるということみたいです。

 この本はそんな講評をする著者のエッセイ。
 写真論や、写真の鑑賞・評価スタイル、講評者のありかた、講評そのものについて。あまり体系立っていないのでエッセイのようでもありますが、講評というのはこういうことをしているのだよ、という紹介のようでもあります。

 内容もおもしろいし、写真を芸術として接する人たちの感覚が窺えて興味深くもあります。電車の中吊り広告のコマーシャルフォトと写真展の写真が同じ写真なのだ、という発見は普通の人には「何をいまさら」なのですが、どっぷり写真の世界に浸かっていると当たり前じゃなくなってきて新発見のように感じられるらしいのです。
 当たり前のことが実は重要なポイントに思えてくる。
 そういうものなのかもしれません。

 「講評」っていうのは写真でも、絵でも、あるいは小説でもなんでも、趣味で取り組んでいる人は欲するものなのかも。ネット上にも「御意見頂戴」という趣旨で、写真を掲示できる場所がたくさんあります。このblogにしてもそれに似た心理の露れなのかもしれません。

 著者は講評の窓口サイトを開いているのかしらん、と検索してみたのですが移転した跡地しか見つからず。う〜ん。どれくらいの金額で講評をしているのかと気になったのですが……。

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2006.05.02

日経サイエンス200606号

日経サイエンス 2006年 06月号
日経サイエンス社 2006.5.1 1400円

評価:★★★★☆

 クオリアの茂木健一郎と福岡伸一の対談が興味深かったです。福岡伸一は反プリオン仮説の人で『プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー』(ブルーバックス)という著作のある人。プリオン云々に関してはこの本はとってもお勧め。牛肉輸入にまつわるニュースの数々がばかばかしくなること請け合いの内容です。

 小惑星探査機「はやぶさ」の記事も――これもすでにテレビ番組でさんざん解説されていた内容ですが――面白かったし、オメガ数の話も興味深かったです。「ナノ電池」も面白い。一番気になったのは「星間旅行者を宇宙線から守る」という記事。宇宙線の遮蔽に関する記事なのですが、結論から言うと大きく嵩張る遮蔽装置なしでは宇宙線の遮蔽は難しい、ということ。がーん。自作SFの中で長期間の宇宙線被爆に耐えられる宇宙服みたいなもの出しちゃってる……。

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2006.05.05

『軍艦島 眠りの中の覚醒』雜賀雄二

リンクはAmazonへ軍艦島―眠りのなかの覚醒 雜賀雄二
淡交社 2003.3.30 3000円

評価:★★★★★

 素晴らしいです。
 1986年に新潮社から刊行された写真集の改訂新版。モノクロ写真の写真集です。

 軍艦島はとても有名な廃墟です。NHKのドキュメンタリ番組でも特集が組まれたことのある場所で、海底炭坑の採掘根拠地となった島です。長崎県の端島が正式名。
 160メートル×480メートルの小さな島ですが、最盛期には五千人が暮らしていたとか。日本初の鉄筋コンクリート高層建築住宅が建ち、海岸線はコンクリートで護岸され、島全体のシルエットが軍艦のようであることから「軍艦島」と呼ばれます。炭坑の閉山と同時に廃墟となりました。たぶん、日本でもっとも高名な廃墟。文化遺産への登録運動も行われているとか。

 写真がモノクロであるのもすごくいいです。強烈な説得力があるのです。モノクロである必然性がわかります。幾度も個展が開かれ、賞を与えられるのも納得できるはず。
 ああ、印刷じゃなくて印画紙で見たいな。この写真。

 というわけで、強力にオススメです。この写真集。有名な写真家の有名な写真集なので図書館にも入っていると思います。

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2006.05.22

よくわかる最新レンズの基本と仕組み

リンクはAmazonへ図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み
桑島幹 秀和システム 2005.3.17 1470円

評価:★★★☆☆

 デジカメ用のワイコンを買って歪みやらゴーストやらが気になったので、風化しかけていた光学知識のリフレッシュを兼ねて読んでみました。

 「よくわかる」とか「図解」なんてあるので軽い絵本的な読み物かと思ったのですが、かなりきちんとしています。数式も煩雑になりすぎない程度にまとめだけ示され――すっ飛ばして読んでもそれなりに理解できるような読み物に仕上がってはいますが、自分で撮った写真を見て「ああ、これが××収差なんだな」と実感するためには、結論だけ提示されている数式に自分で適当な数字を入れて「なるほど」と納得することが必要かも。

 カメラ専用の本ではなくて汎用のレンズ本。CD-ROMドライブの仕組みやレーザープリンターの仕組みなんかもざっと解説されています。

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2006.06.29

日経サイエンス200608号

日経サイエンス 2006年 08月号
1400円
評価:★★★★☆

 この夏の『恐竜博2006』を控えてでしょうか、科学雑誌ではこぞって恐竜特集が組まれているようです。昨年の恐竜博2005は「スー」の展示で大盛況でしたが、今年は巨大な竜脚類がテーマです。『世界最大の恐竜博2006 ~スーパーサウルス、幕張上陸~』だそうです。
 む? 今年は上野の博物館の特設展示ではなくて幕張なんですね。大きすぎて科学博物館には入らないのかな?

 そんなわけで日経サイエンスにも恐竜特集が載っていました。フタバスズキリュウが新種認定されたという(少し古い)ニュースと、「恐竜の巨大化と哺乳類の進化」という記事です。
 後者では竜脚類の骨には気嚢――鳥類が持つ、効率的な呼吸システム――の存在を示唆する構造が見られたことから、

  1. 恐竜類は酸素濃度が劇的に低下したペルム紀・三畳紀境界で気嚢を発達させ
  2. 低い酸素濃度で活動できる体制を作り
  3. 以降の酸素濃度の上昇に伴い余剰の代謝能力を巨大化に向けた

と説明していました。が、なんか変ですよね、これ。

  • 陸上鳥類は230キロ程度のモアがせいぜい。
  • 巨大化の制約の少ないはずの水中なのに水棲鳥類はペンギン程度。

 現代の鳥はなんで大きくないの、ということになります。
 科学でも、言葉による説明というのはこんな感じで必ず穴がある物です。仮説なら特に。

 巨大恐竜特集は『Newton (ニュートン) 2006年 08月号』でも行われていました。 その記事の中で面白かったのが「一番遅い信号の痛覚でも、約1.7秒ほどで体のすみずみから脳まで~」と書かれていたこと。尖ったものを踏んで怪我をしても1.7秒後に「痛っ!」って、ギャグマンガのようです。

 『日経サイエンス200608号』には神奈川県立 生命の星・地球博物館の紹介もちょうど載っていて、猛烈に行きたくなってしまったので休みを取って行ってくることにしました。明日あたりにレポートできるかと思います。

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2006.07.06

「ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 風景写真」

リンクはAmazonへナショナルジオグラフィック プロの撮り方
風景写真―景観の臨場感を出す

ロバート・カプート 2005.12.12 1200円
評価:★★★☆☆

 写真撮影のハウツー本。
 日本のグラビア雑誌は割と淡々とした写真が多いですが、ナショナル・ジオグラフィックはアメリカの翻訳雑誌だけあってこってりした印象の強い写真が目立つ気がします。写真だけじゃなくて、誌面のデザインや記事自体もこってりしてるし。

 そのこってり風味を撮るカメラマンによる撮影ガイド。
 ただし、内容は普通。普通だけど大切なことがシンプルに書いてありました。
 興味の持てる被写体を選べ、光――太陽の状態を気にしろ、画面の中で何を一番目立たせたいか明瞭に、etc...

 先日の生命の星・地球博物館でうまく撮れなかったので、何かヒントはないかと思って読んでみたのでした。う~む。ヒントは掴んだ気がするのですが、うまく実践できるかどうか。七月十五日からの「恐竜博2006」に出かけてスーパーサウルスを相手に挑戦してみるつもりです。

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2006.07.09

『火星縦断』ジェフリー・A・ランディス

リンクはAmazonへ火星縦断
ジェフリー・A・ランディス著 小野田和子訳
ハヤカワSF文庫 2006.05.31 940円

評価:★★★☆☆

 久しぶりに青い背表紙のハヤカワSF文庫を読んだ気がします。この本を手に取ったのは『火星縦断』というタイトルと、NASAの火星探査チームに所属する本物の研究者が著者だという点に惹かれたから。本格ハードSFとして期待してのことです。それに、私自身が趣味で書いている小説の舞台が近未来の火星、ということで気になっていたのでした。

 内容は売り文句に違わぬハードSF、といいたいところですが、ハードSFとはちょっと感触の違うアドベンチャー物でした。火星探査に訪れたメンバーたちが帰還用の宇宙船を失ってしまい、かつて探査の途上で倒れた探査チームの残した帰還船までサバイバルツアーをする、という話。
 もちろん、現役の火星探査の研究者が描くのですから登場する火星の風景は正確なのでしょうが、なぜかあまり印象に残りません。各キャラクターの過去を描くことの方に比重が置かれているからでしょうか。ハリウッド仕立てのB級アドベンチャー映画のような構成も、舞台である火星よりも人間関係にスポットが当たっているように感じられてゴリゴリのハードSFを期待しているとちょっと肩すかしです。

 あまり理屈臭くない冒険譚なのでハードSFに慣れていない人でも違和感なく読めると思います。現実の世界では宇宙開発の未来はあまり明るくなさそうな状況ですが、小説の中にもその明るくない未来が反映されているようで、ちょっと景気の悪い舞台設定になっています。
 お勧め度はちょっと低めです。

☆☆☆

 ココログ、なんか調子悪いですね。朝なのに重い。数日後の大規模なメンテナンスも不安です。バックアップを取っている人が続出していたりするのでしょうか……。

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2006.07.14

『ヴァイオリンとチェロの名盤』本間ひろむ

ヴァイオリンとチェロの名盤――カザルスからヴェンゲーロフまで50人を聴く
本間ひろむ 平凡社新書 2006.2.10 819円
評価:★★★☆☆

 クラシック音楽が好きです。ヴァイオリンが特に。聴くだけで弾けはしないのですが。

 ヴァイオリン曲のCDなどCDショップや図書館に行けばうんざりするほど並んでいますが、好みに合ったCDにはなかなか巡り会えないものです。愛聴盤は二、三十枚あるかどうか。同じCDばかり繰り返し聴くのもなんなので「もっといいのないかなー」と探し続けることに。こういった名盤紹介本にはついふらふらと手が伸びます。

 でも、この手の本が気に入るということはまずありません。
 この本もそうでした。あまり好きではないCDが名盤に分類されて並んでいるのです。未聴の盤でお勧めに上がっていた物も二点ほど聴いてみましたが、やっぱりこの著者とは好みが合わない……。
 まぁ、それは当たり前と言えば当たり前ですよね。音楽でも本でも、他人と趣味がぴったり一致することってほとんどないですから。バッハが好きで、ショスタコーヴィチが好きで、モーツァルトが苦手で――あたりまでは趣味が重なる人もいますが、じゃあ、どの演奏家のどの録音が好き?という話になるとちっとも噛み合いません。不思議、というか面白いですね。

 この本で唯一、共感を覚えたのは五嶋みどりの推薦盤が「パガニーニ カプリース」(リンクはAmazonへ)であったこと。中学の頃だったかな? 私はこの録音を聴いてクラシックファンになりました。今でも大好きな一枚。大抵の図書館にもおいてあるようですし、お勧めCDです。

 本自体は、う~ん、あまりお勧めじゃないかな。ああ、でもヴァイオリン奏者の歴史的な位置づけなんかも簡単にまとめてあるので、初心者には手軽なガイドになるかも。

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2006.07.23

『デジカメ自然観察のすすめ』

リンクはAmazonへカラー版 デジカメ自然観察のすすめ
岩波ジュニア新書 海野和男 2005.6.18 1029円

評価:★★★★☆

 何の気なしに図書館で手に取ってみた本ですが、意外に面白かったので紹介を。

 昆虫写真家が書いた昆虫写真入門本です。レーベルが「岩波ジュニア新書」ということで子供向けの印象ですし、実際、小学校高学年から中学生くらいの年齢層を対象にして書かれたような感じでしたが、昆虫の撮影に関しては大人も子供もないわけで、大人が読んでも楽しめました。

 どこにでもいるハエトリグモやテントウムシ、カナブンも大写しにしてみると意外にカワイイ。マニアじゃなくても、手軽にクローズアップ撮影が楽しめるのもコンパクト・デジタルカメラの魅力。昆虫撮影を楽しんでみたいという人にお勧め。

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2006.08.07

『恐竜ホネホネ学』犬塚則久

リンクはAmazonへ恐竜ホネホネ学 犬塚則久
NHKブックス 1071円 2006.6.30

評価:★★★★☆

 ホネホネ学、と軽めのタイトルがついてるのでおもしろおかしく軽く読めそうな印象ですが、少々手強いです。でも、難しくはないのです。恐竜や化石に熱心であれば小学校高学年でも十分に読みこなせるでしょう。逆に、大人でもあまり関心がないまま手に取れば挫折してしまうはず。

 専門用語が多いのです。
 頸骨、恥骨あたりはわかると思いますが、頸骨上突起がとげ状だの、前関節突起だのと連発されてついていけるでしょうか。図解は一応ありますが、それも大雑把です。骨の各部の呼称が解剖学用語で連発される上に、それらの骨の種ごとの特徴が言葉で説明されるので、骨格の解説図――本の挿絵ではなくもっと詳細な物――と首っ引きで想像力を巡らせないと書いてあることがわかりません。細かく図解を付けてくれれば、言葉の説明よりわかりやすいのに……。
 骨の部位を示す言葉がややこしいだけで、それ以外の面では平易な本です。蟻塚を崩して蟻を食べる生物は手の関節がこんなんだから、この恐竜も蟻を食べていたんじゃないかな――といったように現生動物の骨格と恐竜の骨格を比較して恐竜の生態を推測する、という類のわかりやすい話なのです。

 内容的にはとても面白い本でした。国立科学博物館の恐竜展示についても触れられているので、この夏にお出かけになる方は一読して行かれるのも良いかとは思います。うーん。これで図解さえしっかりしていればとってもお勧めなのですが……。
 骨や筋肉の解剖学的呼称にもめげないぜ!という人に。

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2006.08.11

『折り紙で作る10大恐竜』髙井弘明

折り紙で作る10大恐竜―大人の工作 髙井弘明
KKロングセラーズ 2006.7.1 1050円

評価:★★★★☆

プレシオサウルス FinePixF10 1/20 F4.3 18mm ISO400 以前に『折り鶴から折る おりがみ 恐竜王国』という本の紹介をしました。今回も恐竜の折り紙本の感想をひとつ。

 Amazonには本の写真がなかったので表紙紹介と作例紹介を兼ねたのが左の写真。
 今回の『折り紙で折る10大恐竜』は以前に紹介した本よりは折り方がシンプルな気がします。でも、美しく折るのは逆に難しいかも。
 プレシオサウルスの首、しおしおで折り目が分厚くなってしまいました。紙が幾重にも折れる部分が首になっているため、小さめサイズの紙で折ると折り目がスマートでなくなってしまいます。一辺15cmの折り紙だと、私が不器用なためご覧の有様。20cm以上の紙での挑戦がお勧めです。

 フクイラプトルとかラジャサウルスとか、他の折り紙本では見かけないような恐竜の折り方もあります。獣脚類の種類ごとの微妙な差は折り紙で差別化するのが難しそうなのですが、比べてみると「なるほど!」と頷けます。

 著者は「ともだちMUSEUM」というサイトで折り紙教室コーナーを開いている方のようです。

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2006.08.27

『脊椎動物の進化』エドウィン・H・コルバート

リンクはAmazonへ脊椎動物の進化 エドウィン・H・コルバート
築地書館 2004.10.24 18900円

評価:★★★☆☆

 値段を見るとぎょっとできます。が、実本を手に取るとその重さで納得もできるでしょう。厚さ42mm、大きさは雑誌のNewtonよりちょっと小さい程度。百科事典の一分冊程度のボリュームです。

 著者による前書きでは「学生のための教科書ではなく、読み物」とされていますし、確かに古生物に興味があれば読んで理解できないことはない文章主体の本です。個々の化石種の解説は、一般読者向けの科学解説本と難しさも、詳しさも同じ程度。でも、それが脊椎動物進化史の主要な分岐点すべてに渡って行われるともはや気軽な読み物ではなくなってしまいます。
 結果、化石脊椎動物に関する初学者のための教科書、という実態に。

 将来古生物学を専門にするつもりであれば二万円近いこの本を購入しても後悔しないとは思いますが、理科系読書ファンには図書館で読むことを進めます。私も図書館から借りてきて読みました。
 ただし、この本は読み物として目を通しておしまいだとあまり意味がないかも。リファレンスとして手元に置いておくと便利な――そう。図鑑です。絵は少ないけど。

 自作小説の資料に、と思って借りてみたのですが半ば意地で読み通しました。面白いし、文章も難しくはないけど、量が量なのでそれなりに気力が必要です。

 Amazonに一点ある在庫、高価な本なのに売れるのかなぁ……。

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2006.09.21

『99.9%は仮説』竹内薫

リンクはAmazonへ99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方
竹内薫 光文社新書 2006.2.20 700円

評価:★★☆☆☆

 科学解説本としてはかなり売れている本のようです。
 読んでみた印象としては「イマイチ」。
 ページ数は250ページ以上あるのですが、何この行間?文字サイズ?と思うほどスカスカ。そして太字が一ページに一行、いやもっとかな。怪しげな宗教のパンフレットみたいな体裁です。

 内容に関してはあまり目新しくありません。書いてあることもわかりやすく、大事なことですが、今更これがベストセラーになっている理由がさっぱりわかりません。タイトルがその内容を表しています。細かく書かれているのはその「仮説」の例の数々。

 挙げられている例はそれぞれ面白いです。

  • 飛行機の飛ぶ原理
  • 冥王星と第十番惑星(この本が出た後で冥王星が惑星から外された)
  • ホーキング博士の実証主義と実在主義

 でも、なんで実在主義が紹介されているのにデカルトの名前が出てこないのかな。
 仮説の王様である「ニュートンの運動方程式」の危うさについて説明しないのかな。
 進化論は実証されたのか、という部分の説明をなぜ省くのかな。

 不満が山積です。現代科学を支える根幹部分の仮説についてもっと詳しく検討しても良かったんじゃないかな、と思います。その上で、技術として圧倒的な実績を積み上げて日常を支えている科学の堅牢さを示しても良かったと思います。

 あまりの読み応えのなさに★二つ、でした。

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2006.09.24

『床下の小人たち』メアリ・ノートン

リンクはAmazonへ床下の小人たち メアリー・ノートン(著) 林容吉(翻訳)
岩波少年文庫 714円

評価:★★★★☆

 趣味の創作小説に小人を登場させようと思って久しぶりに手に取ってみた一冊。『だれも知らない小さな国』『木陰の家の小人たち』と並んでよく読まれている小人ものの児童文学だと思います。子供の頃に買った版が自宅に残っていたはずなのですが、いくらさがしても見つからなくて新しく買ってきました。岩波少年文庫もずいぶん体裁が変わっていました。

 メアリ・ノートンの小人物語には続編があるのを今になって知りました。二冊とも夢中で一気に読んでしまいました。子供の頃、この続編を読めていればもっと楽しめていたんだろうなぁ……。

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2006.10.31

『ドラゴン・ハンター』チャールズ・ガレンカンプ

リンクはAmazonへドラゴンハンター ロイ・チャップマン・アンドリューズの恐竜発掘記
チャールズ・ガレンカンプ 技術評論社 2006.9.5 2394円

評価:★★★☆☆

 「アンドリューズ探検隊」というのは聞き覚えのある人も多いのではないかと思います。二十世紀の初めはまだ冒険家の時代で、ロイ・アンドリューズもそんな高名な探検家の一人。ただし、彼は極地の犬橇探検でも、アフリカの未開地探検でもなく、ゴビ砂漠で古生物学上の大発見をいくつもした人。

 この本は「面白い?」と聞かれると微妙な感じもします。伝記としての体裁を守っているのでちょっぴり堅苦しいし、なんとなく定型のヒーロー像に当てはめていないか?って感じてしまう。一番興味のあった化石関連の記述は少々薄めで、徹底した人物伝。なので私としては★三つなのだけれど、化石ハンターの一代記として読めば帯の宣伝文句通り「これはインディ・ジョーンズだ……」と思える波瀾万丈さ。訳文が少々ぎこちない感じがするのが惜しいかな。

 お勧めは……う~ん、恐竜好きよりも伝記好きな人に。

☆ ☆ ☆

 実はこの本、紹介するのに躊躇しました。投稿用に書いてる自作の小説と少しだけ被る部分があったので。ネタ的に重なる部分がある上に、創作の中の登場人物より波乱に富んだ人の伝記なんて読んでしまうと――凹むのです。悔しい!と。

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2006.12.07

『絶滅古生物学』平野弘道

リンクはAmazonへ絶滅古生物学 平野 弘道
岩波書店 2006.2.24 3990円

評価:★★★☆☆

 概論的な内容の、大量絶滅と生物進化に関する本。大学生の教科書として書かれたのだとは思いますが、専門用語だらけ、数式だらけということはまったくないので読み物としても(ちょっと固めだけど)楽しめると思います。

 絶滅の定義、様々な絶滅理由の候補と検証。ちょっと前までは「巨大隕石が恐竜の……」というのがよく言われていましたが、どうやらそれはハズレらしいという話etc。
 数式も論文も嫌、でもお子さま向けの恐竜本も飽きた、という恐竜ファン向き、かな。評価の★が少なめなのは(大学生向けの)教科書的で読み物としては少し取っつきにくいからです。でも専門書と言うほどガチガチでもないので、読み物としてオススメ。

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2006.12.10

『月に行こうか、火星に行くか』五代富文

リンクはAmazonへ月に行こうか、火星に行くか 五代富文
丸善 2006.7.15 1600円

評価:★★★★☆

 小説のようなタイトルですが、宇宙旅行を扱った読み物。宇宙開発の技術者が紹介するリアルな宇宙旅行の可能性を示します。高度100キロを数分飛ぶスペースシップ・ワン、100億円で地球周回軌道を飛ぶロシアのロケット。さらにその先――。

 最近では宇宙関連の話題はあまり賑わいません。火星探査機の話題も日本ではほんの一瞬で、最新の探査結果を纏めた本さえ出てきません。そんな中でとても貴重な読み物だと思います。

 宇宙を目指して勉強する中学生、高校生に強くお勧め。宇宙は手の届く時代に差し掛かろうとしているようです。間もなく「ロケット・ガール」というアニメと、そのアニメと連動する女子宇宙飛行士の養成企画(大まじめなものです)が動き出そうとしています。
 「どうせ宇宙なんて……」と鼻で笑えなくなる夢の詰まった一冊。技術者の書いた本なので文章がなんだかこなれていませんが、それでも楽しめるはず。

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2006.12.23

『ファンタジーのDNA』荻原規子

リンクはAmazonへファンタジーのDNA 荻原規子
理論社 2006.11 1575円

評価:★★★☆☆

 児童文学の勾玉シリーズで有名な荻原規子の読書エッセイ。
 子供時代の読書経験が綴られ、今のファンタジー作家としての荻原規子を構成する要素が窺い知れます。国文科卒という著者らしく少し硬めの論理展開を見て、ちょっと癖のある文章がこの著者の自然なスタイルなんだな、というのが面白く感じられました。
 読書経験を取り上げたエッセイなので、取り上げられているのは本好きならば恐らくは誰もが――いや、誰でもって訳じゃなくて物語好きならば、かな――通ってきた懐かしい本たち。児童文学の名作ばかりなのですが、荻原規子がそれらの本に感じたものに強く共感を感じます。だから、荻原規子の本が面白く感じられるんだ、と納得した次第。

 特別に新しいことが書かれているわけではありませんが、荻原規子の物語が好きな人には深く共感できる本ではないかと思います。表紙のイラストがまた繊細で素敵です。

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