カテゴリー「百合」の253件の記事

『ルビィ・ドロップス』Kindle版販売開始

ルビィ・ドロップス

第22回文学フリマ東京にて刊行した『ルビィ・ドロップス』の紙版が完売したためKindle版の販売を開始しました。『ルビィ・ドロップス』紙版は自家製本で発行部数もわずかであったため早期のデジタル化と相成りました。

 『ルビィ・ドロップス』は紅茶と言語とゴシックを軸にした少女の闘いの物語です。傷だらけの身体で杖を突き、眼帯をして入学してくる主人公・紅葉。予言の成就と闘うと宣言する彼女はいったい何者であるのか。
 心震える少女たちの物語を電子書籍でお届けします。

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『あの娘にキスと白百合を 4』缶乃

あの娘にキスと白百合を 4
缶乃
メディアファクトリー
2016.2.23

 「あの娘ににキスと白百合を」シリーズ待望の新刊です。
 今回も面白かったー。陸上部コンビのエピソードが中心の一冊で、え~と、詳しく書くとネタバレになってしまうかな。今回は本編5話+番外編2話収録で、5話の本編のうち3話が萌+瑞希の陸上部の二人です。この二人にこんなにばっちり焦点がくるとは思っていなかったです。発売日に本屋を四件回ってやっと見つけて帰りの電車の中で読み、心の中で快哉を叫びました。
 女子校百合もののメインストリームをぐいぐい進む群像劇的なシリーズで、本来この路線は『百合姫』が走っていたはずですがすっかりお株を奪った印象。かつての日常物少女小説的というか(NHKでやっていたドラマの)中学生日記的というか、青春の面倒くささがいっぱい詰まってます。大人の読者としては読んでいると気恥ずかしさにじたばたしたくなる感じ。
 百合漫画ファンには当然おすすめ。少女漫画読みの方にも楽しめるのではないかと思います。今から次の巻が楽しみ。

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『ハナとヒナは放課後 1』森永みるく

ヒナとハナは放課後 1
森永みるく
双葉社アクションコミックス
2016.1.12

 森永みるくの百合漫画新シリーズです。
 前連載の『学園ポリーチェ』が漫画自体は面白いのに扱われる事件が百合要素のある漫画的に調和してない感じが惜しかったのですが、今回は文句なしに楽しい百合漫画してます。
 森永みるく得意のちょっとどんくさなとこのあるちんちくりん黒髪ショートカットと金髪ロングビューティの組み合わせで、主人公のハナが黒髪ショート、金髪のヒナはファッション誌の読者モデルをしていたりするお洒落さん。ある日、ハナのバイトするファンシーショップにヒナが新人アルバイトとしてやってきます。ヒナはクールな外見の割にちんちくりんなキャラものが大好きな様子。バイトの先輩であるハナよりもお店のグッズに詳しいヒナ。でもヒナはキャラもの好きを否定します。いつもの森永みるくなのですが、いつも通り文句なしにかわいくて魅力的なキャラ&展開。いや、新たな作品になるごとにパワーアップしてるしてる気がする……。
 現実世界はファンシーショップもファッション誌も女子高生もやや華やかさを欠く時代ではありますが、この漫画ではキラキラしてます。1巻の終わりでは葛藤シーンも入りだし、いよいよ本格的に百合漫画として展開そうな予感で引っ張ってくれます。今から続刊が楽しみ。近所の書店では配本が少なめだったようで発売日に買うのに数件はしごしてしまい、その後も姿を見かけませんがネット書店には在庫もあるようです。『GIRL FRIENDS』や『くちびるためいきさくらいろ』『ひみつのレシピ』『お姫様のひみつ』等一作でもお気に入りがある読者であれば今回も面白く感じられると思います。おすすめ。

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『ほんとのかのじょ』今村陽子

ほんとのかのじょ
今村陽子
新書館ひらり、コミックス

 『ひらり、』vol.7〜14掲載作と描き下し2編を収めた「ほんとのかのじょ」シリーズ単行本です。「ピュア百合」を謳うアンソロジー上で、少女漫画的な華やかさと萌えを兼ね備えた絵柄——にも関わらず、SMです。といってもラバースーツにムチや蝋燭、というSMイメージの典型ではなく、天然SのゆーかとドMを自認するもえの言葉や仕草の中にSMが薫る女子高生二人のハートフルなお話。
 仮面優等生をやっているゆーかは実はかなり毒のある性格なのですが、そのゆーかにもえが告白するところから始まります。百合漫画らしい繊細な感情の描写と、かなり手遅れ感の漂うもえの性癖と、そんなもえに振り回されながら確実に天性のSを開花……いえ、素に近いところを見せていってるのであって元々あったS成分なのかも。SMといってもきっと様々で、ほんとうに人を人とも思わない&そう扱われたいタイプから思いやりある主従・加虐被虐関係まであるような気がするのですが、この漫画のゆーか&もえは愛情表現としてのSMであるようで、非常に美しくお似合いの関係を築いていきます。「これはちょっと」と引いてしまうようなヒドさはなく、かといって「Sっぽい」「Mっぽい」だけで終わらないコアな要素も含みます。SMと百合漫画の相性の良さが爽やかに際立ちもしていて、もっと続けば良かったのに、と掲載誌の終了があらためて惜しく思えたのでした。
 描き下しの最終話も素敵で良い幕が引けたな、とも思います。

 いや、ゴタクはいらんのでした。ゆーかももえも大変可愛らしく、ただそれだけで痺れてしまいます。SMぅ?と抵抗ある方にこそオススメ。

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『サイダーと泣き虫』缶乃

サイダーと泣き虫
缶乃
一迅社百合姫コミックス
2015.2.18

 とても面白かった『あの娘にキスと白百合を』の缶乃の同人原稿を集めた百合短編集。収録は八編+あとがきで148ページ。扉カラーもありました。
 以下、各話の内容説明を中心に感想を交えつつ。

花丸ハッピーエンド

 子分のような存在だった幼馴染みが中学、高校時代になっていつの間にか子分的な存在ではなくなっていて、優れたところを見せようと勉強やらなんやらで頑張って結果を出してみても以前のような立ち位置の再確認をすることは出来なくて。対する幼馴染みの内心は——というところを印象的に見せてくれるのです。『あの娘にキスと白百合を』の白黒コンビの関係にも少し通じるようなお話。

畢竟デッドエンド

 「花丸ハッピーエンド」の別視点+αバージョン。ずきゅーんときたモノローグをここで紹介したい気もしたのですが、これは本編を読んで楽しむべきと考え直したのでした。そうだよ!百合漫画ってこういうのを期待してたんだよ!感。

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

 オカルト研究会を舞台にしたお話。恋のおまじない的なものを軸に。

ようこそ!オカルト研究会

 「ひらひらひらく秘密ノ扉」と同じ舞台での四コマ。新入部員編。

シンデレラ

 少しだけ未来の設定で複合現実メガネという小物をキーにしたお話。複合現実メガネで憧れの彼氏に見えるようにするから身代わりデートで彼氏役をやってくれ、と友達に頼まれて……。

ただ春を待つ

 これと続く「夏が終わる」は純粋な百合ものではなく男子の絡む微妙に三角関係的なもの。こういうお話も大変好みなのでした。男が出てくるだけでイヤ、という人には回避推奨かもしれないですが缶乃の漫画としての面白さばっちりなのでもったいないですよ、と一言。

夏が終わる

「ただ春を待つ」の主人公の想い人である同性の先輩にフォーカスを寄せた続き。読んで「男女ものの少女漫画はこれと逆転した関係だったんだ」と改めて思ったのでした。でもこの逆転はシンメトリーではなくて少し危うさも漂い、それがまた良い余韻に。

竹に虎

 オカルト部のシリーズからの描き下し。語るに落ちてるPart.2、なのだけれど人と立場が変わってることが良いスパイスに。

 『あの娘にキスと白百合を』で缶乃の作風が気に入った人にはこちらも楽しめるはず。人間関係のテクスチャが多様で濃く、かつての少女小説やテレビドラマ・中学生日記の良い部分に触れているような感触が魅力です。
 缶乃の漫画自体未体験の人には『あの娘にキスと白百合を』シリーズを先にオススメ。

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『コミック百合姫』2015年5月号

コミック百合姫 2015年5月号
一迅社
2015.3.18

表紙

 表紙シリーズの子のどちらの部屋かわかりませんが百合おたくの部屋の模様。百合ゲームらしきもののパッケージが二つと「立花館ToLieあんぐる」のポスター。「ゆり♥︎がーる」と「ガチ♥︎百合学園」遊んでみたい……。

プリンスプリンス あおと響

 登場人物大勢で、男装女子や女装男子らしき人物もいて主人公もぱっと見た感じは男の子のように見えるのですが今のところ性別不詳。連載第一回で誰が誰やらという混沌状態を異性装が後押しします。大勢のキャラも見分けはつけやすくお話はやや突飛に展開しつつもわかりやすいコミカルな学園もの。一話目で最初のイベントが収束していることもあり次回以降の展開は予測できませんが、良い感触でした。最終コマの引きは冒頭に戻って見直すと「あ、なるほど」という納得とともに次号が楽しみになります。四月には同作者の短編集『ナチュリーズ』も出る模様。こちらも楽しみ。

本屋の人 古河一樹

 作者は第11回百合姫コミック大賞の紫水晶賞の方。書店もののゆる〜い日常漫画といった感じの連載第一回。新規に書店勤めを始めた主人公とお店の顔ぶれを紹介した初回でした。のんびり脱力した雰囲気で展開しそうな感じです。

住めど地獄のインェルノ 春日沙生

 ちんちくりん可愛い絵柄で描く地獄ライフ。進学し新生活が始まるはずだったのになぜか気づくと地獄行きの判決を受け、地獄ライフが始まります。なぜ地獄に? 本当に地獄なの? という謎とともに、主人公の死と関係ありそうな要素も示されます。

桃色トランス こるり

 魅力的なキャラたちとえっちなサービスシーンで楽しませてくれるこのシリーズ。今回はエロスという意味では控えめでしたがその分可愛らしいエピソードとなっていました。

2DK、Gペン、目覚まし時計 大沢やよい

 OLと漫画家の日常話なのですが、地味なはずの日常の質感がすごく良いこのシリーズ。最新単行本『スパイスガールズ』収録作が『百合姫』に掲載されていたあたりでぐっと前進した感とともに、新連載群のスタートという雑誌の流れがうまく噛み合った気がします。『ストレンジベイビーズ』での経験が今作に生かされていそう。それにしても意識た会……一度参加してみたい。

運命の赤い縄 沼地どろまる

 作者の名前で検索すると第21回幻冬舎コミックス新人漫画賞にお名前がありました。シャープで整理された今風の絵柄に手慣れた感じでデビュー作なの?という印象。おまじないを軸にちょっとばかり行き過ぎた束縛をコメディ調に見せてくれます。

citrus サブロウタ

 今回もドキドキさせてくれるシーンもあり「citrusやっぱ面白い!」のですが、特に絵で「カッコイイ!」と思うとこがいくつもあることにシビレタのでした。著者が別誌で連載している超能力アクションの『銃皇無尽のファフニール』との相乗効果かな。citrusの場面もダイナミックさが増した印象でした。

12分のエチュード 仲原椿

 幼い頃から技術を積み上げてきた若きベテランと入門したばかりの初心者と。全国大会を目指そうということになったもののあまり覚悟の決まっていない高校吹奏楽部を舞台にしたお話です。音を出すことの楽しさにアプローチしているお話に好感が持てます。

ここの様ファシネイツ 藤枝雅

 『百合姫』ではすごく久しぶりの藤枝雅。「いおの様ファナティクス」のスピンオフ。久しぶりではありますが可愛らしい絵柄と雰囲気は変わらず。いおの様の娘を主人公にしたお話で、続き物であるようです。

ゆるゆり なもり

 作中でのキャラ真似というか交換ネタは毎度楽しい。長期シリーズならでは。閉じ込めイベントでは櫻子とあかりというあまり話が動かなさそうな組合わせ……に見えてオチにやられるのでした。

himecafe

 作家さんを呼んだ対談記事シリーズ。今回は大沢やよいゲスト回。2012年7月号以来の二度目の登場です。「最近ハマっている百合漫画」として『さよならガールフレンド』が挙げられていてAmazonの紹介ではとくに百合との表記はないのですが面白そう。近いうちに読んでみよう……。

ヒメトピ

 新商品の紹介ページ。四月からアニメの始まる『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』、とても面白かったノベルゲーム『flowers』の続編『FLOWERS -Le volume sur ete-(夏篇) 』他6点の紹介がありました。

それは百合だった

 90年代のアニメを振り返るコラム。今回はスポ根ものテーマで「エースを狙え!」をはじめ様々なタイトルが挙がり「プリンセスナイン」が紹介されます。これ知らなかったけど検索したらいかにも90年代な映像が出てきました。

LILY LILY WHISPER

 イラストコラム。コラムというか一コマイラストで萌えシチュを紹介するコーナーで今回はコダマナオコ。イラストを見ていて「そういえばコダマナオコの漫画、ジャージ着た子がけっこう出るよね」と思ったのでした。

ヒメレコ

 編集者個別のオススメ作品紹介記事。百合作品の話題のあまり流通しない小説ジャンルはこのコーナーを参考に探したりしてます。

立花館ToLieあんぐる

 カラーページの見開きがたいへん確信犯(誤用)的でした。

犬神さんと猫山さん くずしろ

 相馬と乙姫が登場するとテンション上がります。このシリーズ、回を重ねて面白さが増していってる気が。後半の秋のサービスの良さに感心してたら「おおぅsweat01」となりました。

捏造トラップ コダマナオコ

 由真と蛍と男子二人でお泊まりデート、と百合漫画誌にあるまじき?展開ですが、やっぱり百合漫画らしい展開を予想する読者の期待は外さない。そのあたりの際どさあざとさも含めて「ふふふふ〜」となってしまう今回のコダマナオコの連載。武田くんがイイ奴すぎてちょっと不憫な気もしてきました。でもそこも含めて楽しい……。親友バリア強力です。

かなえて!ゆりようせい 源久也

 新しいへんなのでてきた。ゆりようせいはハンコもらったり微妙に投げやりだったりして背後に組織めいたものがありそうなのだけどじっくり説明されていくのかな。ようせいたちのゆるさからすると元締め?もゆるゆるの予感。

少女失格 川井朗

 バトロワものの第二話。お話が割と速く進んでいく模様。見せ場ひとつずつじっくり見たい気もするしあんまりこってり見せられても酸鼻になっちゃいそうだしのジレンマが。

さかさま鬼ごっこ 竹宮ジン

 小さい頃に離ればなれになった大好きだった幼馴染みとの再会。なのに相手は主人公のことがわからなかったようで……。むっとする主人公。そこから、と展開する読切。

パブロフガール ねこ太

 妹萌えの義姉に義姉を犬扱いするS寄りの義妹。同じ学校に通うことになったのだけれど犬のはずの歩が学校では少し様子が違い戸惑う妹・沙羅。……あれ? 粗筋紹介するとすごくまじめな話に見える。

あやめ14 天野しゅにんた

 中学生思春期エロワードコメディ。今回は老人ホームで演劇編。独特のおおらかな不思議漫画感は何者なのだろう。

ラブデス くずしろ

 怖くてちょっとじゃなくて歪んでるペアは今回も絶好調。この二人はもうまっとうな恋愛できなさそうだし、この子らにラブレター渡す子も相当チャレンジャー。冒頭の一コマにしかいないけど面白いキャラなのかも……。

花丸ハッピーエンド/畢竟デッドエンド 缶乃

 同時発売の『サイダーと泣き虫』から紹介用に二話が掲載されていました。感想は単行本の方でじっくりと。

俺と百合 倉田嘘

 「百合男子」第二部は割とシリアスっく展開?という印象の武蔵野くん回でした。しかし、しかし武蔵野くん、君は報われないオーラを纏っている気がしてしまうのです……。

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『演劇部の魔女と騎士』犬丸

概要

演劇部の魔女と騎士
犬丸
新書館ひらり、コミックス
2015.2.28

 百合アンソロジー『ひらり、』のvol.3〜14、増刊の『ほうかご』vol.1〜2掲載作に描き下し1編を加えたもの。カバー下、各話の幕間に四コマやイラストが配され、扉ページのカラーも新作。掲載初期の分(たとえばvol.3「魔女と騎士」)ではほぼ丸ごと描き直されているようです。雁須磨子の推薦帯が巻かれ、巻末には小川一水の解説が2ページあります。

ストーリー

 中高一貫教育らしき女子校の演劇部が舞台。メインに据えられるのは魔女ウィッチこと唯地ゆいち騎士ナイト役の内藤の二人。この二人に加えて、二学年下から三学年上まで十人以上が関わる群像劇的な連作短編集です。全十四話。

オススメポイント

 登場人物多め+時系列が話順ではないということもあって戸惑うかもしれませんが各話ごとの登場人物を追ううちにそれぞれの関係性も見えてきます。むしろ、それぞれの話で脇役であったりするキャラも含めて作中の演劇部が受け継ぎ織り上げていくものが見えてくると、そう極端に多くないはずの登場人物相互の関係が気になり、複雑さを意識することでしょう。
 キャラたちの間には凛とした距離感が保たれ、百合漫画ではあってもペアの熱々っぷりをメインに見せるタイプではないです。ふと二人きりになった登場人物たちに距離が縮まる瞬間が訪れ、部活のにぎやかな空間から二人きりの張りつめた空気に切り替わる。その瞬間がたまらなく素敵なのです。
 全話を通じてぐっと来たのは火ノ見さんという自由人キャラ。火ノ見さんを軸にした「私たちの知らない2、3の事情」と「ありふれたかくしごと」の最終二話がダメ押しとなって掛け替えのない大切な話となりました。今回、単行本で読んでも改めて「大好きだ」と確認できた次第。
 登場人物の関わりに戸惑った方は作者がTwitterで投下した人物相関図で整理できるかも。(掲載誌が年三回刊だったこともあり連載中はとてもありがたかった)
 小川一水の解説も熱心な百合漫画読者による声援のようで頬が緩んだのでした。
 試し読みページできていました。

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『聖純少女パラダイム』森島明子

聖純少女パラダイム
森島明子
新書館ひらり、コミックス
2015.2.28

 アニメ『ユリ熊嵐』のキャラ原案&コミック版を担当している森島明子の百合連作です。百合アンソロジー『ひらり、』に掲載された作品に、登場人物たちのその後を描いた描き下しを加えたもの。キラキラ系少女漫画テイストの『ひらり、』での連載ということでタイトルに埋められた文字通り聖&純な方向に振られた話になっています。もちろん森島明子のポップで馴染みやすい作風はそのままに。

 上品で華やかな女子校ドリームを持って聖パラダイム学園に入学してきた葵。同性の恋人を得るんだ!と意気込んで入学したリリ。この表紙の二人を軸に生徒会の二人組、文芸部の二人組を描いていくスタイルです。ぷにっと柔らかそうなほっぺほした森島明子キャラたちが友情や恋の位置づけを手探りしていきます。

 キャラでは生徒会組の王子様キャラ・ユキが大変好みなのでした。

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『コミック百合姫』2015年3月号

コミック百合姫 2015年3月号
一迅社
2015.1.17

 今号も新連載ラッシュの『百合姫』。

表紙 かんざきひろ

 テレカかプリクラかという感じの表紙デザイン。表紙を開いたところにプリクラ風の綴じ込みページが。む。シールになっているのかと思ったのですがそういうわけではない模様。そういえば今年の表紙シリーズは装丁面での小細工はまだナシですね。……と思ったら巻頭カラーページに続きがあって表紙の二人のTwitterアカウント( @septlove_owo @saki0307XXX )入りの記事がありました。今のところツイートはほんのちょっと。Twitterのこのアカウント使って何か展開させるのかな?

12分のエチュード 仲原椿

 新連載です。部活もの。高校に進学して陸上部に入部しようとして吹奏楽部に入部してしまった主人公。間違いからではあったけれど、と始まる吹奏生活。と紹介するとコメディ的な印象ですが陸上→吹奏楽へのスイッチもしっかり描いていて「お!?」という感じです。初回&巻頭ということもあり60ページ超とボリュームもあります。

少女失格 河合朗

 こちらも新連載。スクールカーストが明確でいじめやらなんやらで息苦しい学校に転校生がやってきた。転校生はどこのグループにも属そうとしないアウトカースト派。と、ちょっぴり緊張が走った日常の教室で、うとうとして目覚めたところで突発するバトルロワイヤル。『百合姫』では少数派のアクションもの。信頼と裏切りのゲームが展開することになりそう。

ラストワルツ 片倉アコ

 今号三つ目の新連載。学園の生徒を守り奔走する影の請負人。最後の晩餐ラストワルツというのがお話のキーワードであるようです。少女漫画寄りの絵柄になんとなくアクション苦手そう?とか失礼な想像しちゃったのですが、あれ? 交差技・止め絵的(時代劇が得意とするタイプ)の素手格闘が短いシーンながらいい感じで極まってました。

2DK、Gペン、目覚まし時計

 そして四つ目の新連載。こちらはしっとりとした日常もの。すごーく生活能力の低い相方と同居するなんでもテキパキできてしまうOLのお話。この作者の描くダメキャラは可愛い〜。九州の言葉がさらっと織り込まれるのも魅力的。連載で次回への引きも用意されていますがしっくり落ち着いた読後感。

立花館ToLieあんぐる merryhachi

 らっきーすけべ?コメディの第二回。連載初回も思ったのですが、主人公視点のこのお話、スカートの裾や胸元にがっつり視線が行くという時点でナチュラル・ボーン・百合ーズ。「マリみてみたいなの」が百合漫画の第一イメージであったこともあって読み手的に慣れずにいますが楽しい漫画であるのも確か。

キミのそばで、ここはユメのなか 春日沙生

 寝ている間に仕事を片付けてくれる夢のような小人。そんな存在がいたらいいのに、という想いを物語に。こういう短編らしい短編があるとなぜか『百合姫』らしさを感じるのでした。

捏造トラップ コダマナオコ

 コダマナオコは百合漫画でそのキャラ・設定は大丈夫なの?という際どいところを攻めて来つつハズさないのです。この連載では男女のカップル二組の話として始まったのですが、第1話にして主人公に対し小悪魔的にセクシャルなアピールを仕掛けてくる幼馴染み・蛍が描かれることもあり、主人公、幼馴染み共に彼氏がいるにも関わらずに百合オタに「そうこなくっちゃ〜!」と拳を握らせてくれます。もちろん今回の第2話でも、初カレとの関係を少しずつ進展させていく主人公と小悪魔チックに煽りつつもじわじわと手綱を引き絞っているかに思える蛍に読者としては声援を送るのです。蛍の側の彼氏の「おや?」という側面なども挟み込まれつつ次回がとても楽しみなのでした。

喋喋喃喃ちょうちょうなんなん 竹宮ジン

 ますますややこしくなる三人の関係。お、これは一気にカタがつくかな?という展開だったのですがもう一波乱来ました。ひゃー。

ゆるゆり なもり

 櫻子のまんがにインパクトがありすぎてすべて持っていきました。

Himecafe

 今回のHimecafeゲストは倉田嘘。すっかりテンションの高い啓介のようなキャラが定着している印象。次回は大沢やよいがゲストの模様。あおと響とか春日沙生とか仲原椿とかこるりとかmerryhachiとか未登場の作家さんも呼んで欲しいな。

citrus サブロウタ

 修学旅行編では凸凹双子姉妹が登場し芽衣&柚子と絡みます。ここまで対立するライバルが投入されてきたこともあって双子との競争関係はややもどかしくあり。ワンクッション挟んだ双子との関わりがダイレクトになりそうな引きが用意され、次回が楽しみな展開に。芽衣のキーワードは「必要とされること」のようなのだけれど、祖父や父との関係も一応はクリアされた状態でまだ伏せられた要素とつながりそうなことが気になります。

犬神さんと猫山さん くずしろ

 基本四コマですが大コマがあったりして「かーわーえーえー」ですよ。相馬さんは周りを苦労させる人ですね……。

月と世界とエトワール 高上優里子

 前々回あたりから最終イベントの気配の濃かった月エト、ついに今号で最終回。海百合様、いいとこごっそり持っていきました。世界とよぞらの恋愛関係の進展もずっと読んで行きたかったな。3月18日には単行本4巻も出る模様。

ゆりのおねえさん あおと響

 百合男子事始め的な(たぶん)少年視点による百合っぷるご近所さん観察記。この作者さんはショタも可愛く描くなぁ……。ほのぼの日常話もいい感じだし、次回からは連載が始まるようです。こってりした童話的な世界観のお話でデビューした方ですが、未だ作風の広がりが未知数で新連載もどんな話になるのか楽しみ。

私が会社を爆破しようとした時の話 ちさこ

 「会社」シリーズ、今度はタイトルで爆破しかけてしますが、非常に忙しい職場に勤めるOLのお話です。アイドルのイベントに行きたいのに忙しすぎて行けない、女上司が邪魔をする、と思いきや。

パブロフガール ねこ太

 姉のアウトさ加減が割とリアルに想像できてしまいました。妹ちゃんキレてみせるくらいで済ませてくれるなんて天使……。

あやめ14 天野しゅにんた

 下ネタギャグを読んでいて「天才バカボン」が頭に浮かんだのでした。お下品ギャグの方向性が昭和中頃的な感じがするからでしょうか。

ラブデス くずしろ

 冒頭であっきーの夜道の一人歩きを翔子が心配するのですが、あっきーも翔子も痴漢くらい平然と片付けてしまいそう、むしろ痴漢の命の方が危うい気がしてならないのです。

かなえて!ゆりようせい 源久也

 題字の隣に「いちりんめ。」とあるのですが正式にシリーズ化したのでしょうか。今回も得体のしれない百合妖精だった……。

桃色トランス こるり

 およよ。今回はほっこりする感じのワンシーンでコンパクトでした。毎回えっちシーンが入ってくるという方針ではないのかな。

俺と百合 倉田嘘

 啓介妹・みゆきの友達が出てきたりと第二部に入って顔ぶれも増え、少し捻った展開の模様。これは鎌倉君が出てきて啓介並みにフラグをへし折っていく姿が見られるのか。あるいはみゆきや爽が百合女子たちとペアを作っていくのか。

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 次号もあおと響、春日沙生、古川一樹の新連載が始まるようです。この三号ほどで短編中心だった誌面が連載ばかりへと一気にシフトした印象。作家陣もかなり変わっていて2011年1月号以来の誌面大刷新となっているように思います。

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『さようならむつきちゃん』磯谷友紀

さようならむつきちゃん
磯谷友紀
新書館ひらり、コミックス
2014.12.29

 たいへん好みでした。

 「ひらり、」発のコミックスが二冊、2014年の百合漫画を占めくくりました。どちらも非常に好みに合っていて改めて「ひらり、」の休刊が惜しまれます。
 『さようならむつきちゃん』は「ひらり、」vol.5、8、12、14に掲載されたものと作者が同人誌で発表していた四編が収録された短編集です。「ひらり、」掲載作六割、同人誌分が四割くらいのページ数割合。単行本サイズは「ひらり、」本誌よりも少し小さなB6サイズ。「ひらり、」vol.12の表紙を飾ったイラストも扉にカラーで収録されています。
 「ひらり、」掲載作のうち三本は歳の差百合。一本はバレエもの。同人誌からは進学に際しての別れのお話と修道院もの×2と魔女召還もの。
 絵柄やお話の描き方はファンタジー寄りで背後にほのかに現実の生々しさが寄り添っている作風。歳の差百合では年長キャラの歳が示されたりもするのですが「ああ、それは悩むよね……」とずしりと来ます。現実から完全に乖離したおとぎ話でもなく、嫌な生々しさでもなく。
 ぱらぱらと中身を覗いてみれば合う人はぴんと来るはず。機会があれば手に取ってみられることをお勧め。

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