『あなたの写真を拝見します』安友志乃
あなたの写真を拝見します
安友 志乃
窓社
2003.11.28
1500円
★★★☆☆
著者は「講評」が職業なのだとか。写真雑誌の投稿コーナーに添えられる選者の講評――あれを個人相手にするみたいな感じなのかな。投稿ではとりあえず入選しないと講評をもらえないけれど、この著者には対価を払うと講評がもらえるということみたいです。
この本はそんな講評をする著者のエッセイ。
写真論や、写真の鑑賞・評価スタイル、講評者のありかた、講評そのものについて。あまり体系立っていないのでエッセイのようでもありますが、講評というのはこういうことをしているのだよ、という紹介のようでもあります。
内容もおもしろいし、写真を芸術として接する人たちの感覚が窺えて興味深くもあります。電車の中吊り広告のコマーシャルフォトと写真展の写真が同じ写真なのだ、という発見は普通の人には「何をいまさら」なのですが、どっぷり写真の世界に浸かっていると当たり前じゃなくなってきて新発見のように感じられるらしいのです。
当たり前のことが実は重要なポイントに思えてくる。
そういうものなのかもしれません。
「講評」っていうのは写真でも、絵でも、あるいは小説でもなんでも、趣味で取り組んでいる人は欲するものなのかも。ネット上にも「御意見頂戴」という趣旨で、写真を掲示できる場所がたくさんあります。このblogにしてもそれに似た心理の露れなのかもしれません。
著者は講評の窓口サイトを開いているのかしらん、と検索してみたのですが移転した跡地しか見つからず。う〜ん。どれくらいの金額で講評をしているのかと気になったのですが……。
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