『マリア様がみてる クリスクロス』今野緒雪
マリア様がみてる クリスクロス
今野緒雪
集英社コバルト文庫
2006.12.22
440円
★★★★☆
何年か前にヒットして百合ブームのきっかけになったのがこの『マリア様がみてる』シリーズ。コバルト文庫ということからもわかると思いますが、バリバリの少女小説です。
少女小説であるにもかかわらずにヒットに繋がったのは男性層の支持があったからとか。不思議なものです。
その『マリみて』シリーズもすでに二十六冊目。作中の経過時間は二年くらいかな。シリーズ第一作を少女時代に読み始めた読者もきっともうOLやおかあさんになっている頃でしょうか。
今回のお話は二度目のバレンタインイベント。「ソフト百合」を謳う作品なので少女がチョコレートをプレゼントする相手も少女ですし、生徒会主催の校内ヴァレンタインイベントの景品も学園のカリスマである生徒会役員とのデート券。
でも、このソフト百合というあたりが節度が利いていて楽しめるのです。シリーズを二十六作も重ねながら安定した面白さ。さすがにブームを巻き起こしただけのことはあります。
コバルトというのは面白い実力派を出してくるところで少し前には友桐夏という作家をデビューさせていました。三作目まで出たところで続刊が絶えていて寂しいのですが、どっしりと濃い心理描写の、コバルト以外でも活躍できそうな作家です。育ち方によっては恩田陸を越えそうな気がするんだけどなぁ……。