STAX SR-001MK2・その5
なんだかそれらしい音が鳴るようになってきたのでSR-001MK2の慣らし運転経過レポでも。
印象 | |
0 | よくわからない。とりあえず鳴っている。 |
~8 | 高音より低音が強い。もわもわしてAMラジオみたい。 |
~40 | 残響がぽわ~んと響く。水の中で聴いているよう。 |
~46 | なんとなくモヤが晴れてきた気が。 |
~47 | ピアノ協奏曲を聴いている最中にモワモワした中からピアノの旋律が鮮やかに浮かび上がってきた。かなりの激変でCD一枚聴くうちにどんどん明瞭に。 |
~48 | 弦楽器の弦を擦る感触が明晰に。楽器の胴が鳴っているイメージも浮かぶようになってきた。 |
~49 | すっきり霧が晴れて一段落。でもまだ微妙にエコー付な感じ。 |
~75 | 46~49時間ほどの劇的な変化はなし。気づけばいつの間にか霧もエコーも無くなってすっきりキビキビ。まだ音が澄んできそうな印象。 |
~100 | 多少残響が多すぎるように感じていたピアノの音が少しシャープになった気が。鳴らし初めを思い出すと別物のよう。(2007.2.8追記) |
~150over | 耳が慣れてきたのか集中して聴きやすいまとまり感のある音に。弦楽器の音が本当に繊細で素敵に。Vn協奏曲などは特に気持ち良く。(2007.2.18) |
まとめ:
STAXのヘッドホンはコンデンサー型という独特の原理だとか。うまい例えが見つからないのですが、さらりとした空気のような音です。音を出す機械の存在感が薄くて、音だけがあるみたい。ER-6も独特でしたが、SR-001MK2はそれ以上に独特で音の迫力みたいなものは希薄、いえ皆無です。癖がないすっきりとしたミネラルウォーターのよう。音の品質自体は自室で使っているAKG K501比べてみてもそうそう劣らない気がします。
音の傾向は高音がキラキラするK501とは反対で、低音がたっぷりです。でも豊かな低音に埋もれない明晰な高音があるのでドヴォルザークのチェロ協奏曲などが映えました。バッハの無伴奏ヴァイオリン曲
などではヴァイオリンの倍音が目立たずに地味に聴こえたかな。
音全体の印象は「明」です。不吉な響きのはずのショスタコーヴィチのヴィオラソナタが不思議に明るく聴こえます。
立体感も豊か。だけど、ER-6ほど整理された感じではありません。
ロックやポップスはリズム楽器の低音が目立ちすぎて違和感が大きいです。特に電子楽器。低音の突入音がドンッという感じではなくてスパッと「最初から低音鳴ってました」みたいな顔で唐突に出現します。うーん。音は言葉にしにくいですね。STAXのコピーに「スピード感のある音」というのがあるようなのでたぶんそれです。スピード感。でもどこか軽い。
そして最初に戻るのですが、あくまでも希薄で繊細で楚々と聞こえます。特に弱奏部分の細い細い音は本当に繊細。小さな音でも表情が豊かで思い切り耳を傾けたくなる魅力があります。全般に大雑把な音よりも細かな音が得意な印象。
繊細な音だけに騒音には弱いです。テレビがついている部屋ではテレビの音の方が気になりますし、パソコンが動いているだけの部屋でもファンの音が耳障りに感じられるくらい。音を大きくすれば解決かというとそんなこともなく、大音量でもやっぱり繊細な印象は変わりありません。
装着感は、頭の大きさに合わせてヘッドバンドのアームの部分をじわっと癖をつける感じで調節してやるととても快適になります。標準状態ではバネが効き過ぎて耳の穴が痛くなりました。軽いし、暑苦しくもないので夏でも快適に使えそう。
ポータブル用途には……正直微妙です。騒音に弱いのがネックに。出張先のホテルで楽しめる本格オーディオ、という感じでしょうか。
聴いてみた中でSR-001MK2で特に美しく聴こえた録音を三つ挙げてみます。
ピアノ曲は「わ~」と思うほど綺麗に響きます。一方でハンマーで弦を打ち鳴らす荒々しさや迫力とは縁がないので「ピアノってこんな音だっけ?」とも。でも、美しければそれでいい……ような気もします。
ハチャトゥリアンの「ガイーヌ」(ロリス・チャクナヴォリアン)も金管がぱぷぁーん!と気持ちよくノリノリで聴けますし、山下達郎の「COZY」
が曲、演奏、録音の三拍子揃った名盤であることもよくわかります。ピアソラの「Luna」
ではバンドネオンの音色に心が蕩けるよう。
私は歌曲はどちらかといえば苦手なのですがバッハのマタイ受難曲をSR-001MK2で聴いてみたところ「あれあれ? なんか心地良い」と印象が変わりました。人声が格別綺麗に聴こえるわけではないのですが、聴いていても退屈せずに耳を傾けられるように。対訳を横目に教会建築の写真集を眺めながら聴くと気分が出たり。(2007.2.21)
SR-001MK2をプレゼントしてくれたS、ありがとう。
こんなにわくわくしながらCDを聴きまくったのは久しぶりでした。
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