『千住家にストラディヴァリウスが来た日』千住文子
千住家にストラディヴァリウスが来た日
千住文子
新潮社
2005.10.25
1470円
★★★★☆
ストラディヴァリウス。とてもとても有名な弦楽器です。音が優れていることでもですが、値段が高いことでも有名。そんなストラディヴァリウスのひとつデュランティが数奇な運命を経てヴァイオリニスト千住真理子の元へとやってくるまでのお話。手放しにおもしろい!とは言えないのですが、千住真理子が巡り会ったヴァイオリンの名器を千住家が一丸となって真理子のものにすべく奔走する姿を綴ります。五嶋みどりの母・五嶋節の半生記『母と神童―五嶋節物語』 もパワフルで面白かったけれど、こちらは千住家の芸術家三兄弟がどんな人であるのかが窺えるのが興味深く、ちょっぴりじーんとくる話でした。
千住真理子がストラディヴァリを入手する前と後の音色をCDで聴き比べながら読むとさらに楽しめるかと思います。“デュランティ”入手後の初アルバム『カンタービレ』とその次の『愛の夢』
などは喜びに溢れて踊り出しそうな音色です。“デュランティ”も千住真理子の表現力によく応えているよう。千住真理子本人の手によるエッセイ『聞いて、ヴァイオリンの詩』
も千住家の不思議な空気が感じられる面白い本でした。
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