『沈黙のフライバイ』野尻抱介
沈黙のフライバイ
野尻抱介
ハヤカワ文庫JA
630円
2007.2.28
★★★★☆
久々に夢中で読んだ本でした。少し前にアニメ化で紹介した同作者の『ロケットガール』よりずっと面白かった。
同系統のSFとしては谷甲州が軍事寄りの航空宇宙軍シリーズというのを書いていたのですが、こちらは現在絶版とのこと。人気シリーズだったのに……。今は電子出版で二作品が購入可能ですが、残りの電子化が停滞しているようなのが残念です。
野尻抱介の新作で久々に近未来・国産ハードSFに触れてみるとこれが楽しくて、楽しくて。谷甲州のSFは土木・建築臭が心地良いのですが、こちらは純粋な宇宙開発臭たっぷり。ライトノベルよりもハードSFで本領発揮の人なのだな、と改めて思いました。
『沈黙のフライバイ』は近未来を舞台にしたハードSF短編集。アニメチックな美少女や奇矯な能力を持つ登場人物はいませんし戦争もありませんが、手に汗を握り、一気に読めてしまうこと請け合い。工学的思考と文芸の心地良いハーモニーが楽しめると思います。オススメ。
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