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ドキュメントスキャナ ScanSnap・その5

 ScanSnapリンクはAmazonへのまとまったレポとしては最終回です。

一週間分の紙ゴミ。高さ約60cm  四月の上旬に購入して以来せっせと続けていた書籍の電子化ですが、総スキャン枚数37,000枚余――厚さにして恐らくは二メートル分ほど?を作業してみての印象をまとめてみます。50,000枚のパッドユニット(ゴムの紙押さえ)交換時期ももう間もなく、かな。
※三年/300万枚以上使ってきてパッドユニットは四つ目か五つ目、ゴムローラは二つ目となりました。

  1. 書籍の山の解消にはならない
  2. 透明テキスト付PDFの便利さ
  3. スキャンデータとモバイルの相性の悪さ
  4. 意外に使える名刺OCR
  5. こまめなお手入れが必須

 ドキュメントスキャナの使用感はこの五つに尽きると思います。

1.書籍の山の解消にならない

 これは書籍整理をドキュメントスキャナに期待していた人にはがっかりな結論かもしれませんが、偽りのない実感です。スペース確保目的での導入は労力が割に合わないと断言します。
 毎日二時間前後を費やして一ヶ月半、電子化できたのはA4雑誌とB5雑誌計200冊ほど。資料的な意味合いの強い雑誌数種だったので「後で便利に使えるはず」とモチベーションが維持できましたし、実際資料として活用しているので「スキャンして良かった」と思います。けれど、資料としては活用しなさそうな小説・漫画類に同じ労力を費やすのは私には無理です。数千冊の蔵書を電子化しようという人であれば毎日一、二時間使っても年単位の時間がかかります。
 スキャナ自体がちょっとくらい速くなっても書籍の山を片付けるという用途には適さないはず。ネックはスキャン速度ではなく手間と得られる成果にあると思います。(トレイに原稿を放り込んで放置するので、速度よりトレイ容量が大きいことの方が面倒が減る)
 何より、電子化は新しい知見が得られるわけではない、どちらかというと後ろ向きの作業です。

 小説類はとくにスキャンしてしまうと読まなくなるでしょう。スキャンした物の品質は当然ながら印刷物には敵いません。モニタ自体が100dpi未満でスキャンデータを扱うには性能が不足気味です。コミックもスキャンしてしまうと繊細な絵柄の物は見映えしません。特にコミックのスクリーントーンはモアレが出るので相性が悪いです。電子化は資料として検索し参照する見られればいい物には向いていますが、内容を楽しむコンテンツは……デジタル化そのものに熱意を持てる人でないと価値を見出しにくいと思います。

2.透明テキスト付PDFの便利さ

 透明テキスト付PDFは、電子化の最大のメリットです。デスクトップ検索ツールと併用することでスキャンした資料がそのままデータベースになります。現在は整理整頓のためのスキャンは諦めて95%がこの「検索できる資料データベース」作りとしてのScanSnap利用となりました。残りの5%は後述の「名刺OCR」です。

  • 記事を電子販売しているものはデータ購入がいいかも
  • 画像の上に記事を刷り込んでいるような書籍類はOCRの精度が低く検索利用困難
  • 内容検索ができないのであれば本のまま持っていた方が使いやすい
  • OCRは型番が列記されるようなカタログみたいなものが苦手で「0(ゼロ)(オー)(句点)(丸)」「1(いち)(アイ)(エル)」「8(はち)(イー)」を誤認識しやすい
  • WindowsSearchやGoogleDesktopSearchは「あるはずの単語が検出できない」「ないはずの単語が検出される」問題がある

 細かな問題は多いですが「資料探しの時間を短縮する」ということに対しては電子化は非常に大きな効果があります。

3.スキャンデータとモバイルの相性の悪さ

 モバイルとの相性の悪さ、というのは愛用のZaurusとのことです。
 PDAの中では比較的大きく精細な画面を持つZaurusですが、A4やB5サイズのスキャン画像を閲覧するのは少々荷が重く、また、透明テキスト付PDFでの内容検索ができません。(※QPDF3で可能となった。2008.11.4追記)せっかく資料を電子化しても、それがモバイルで活用できないとあっては片手落ちです。ノートPCならばPDFでもへっちゃらなのですが……。
 ZaurusのPDFの閲覧ソフトがどうにもメモリ食い&処理が重い、ということもあって実用性は低いです。

 2009年3月になってVAIO type Pを購入してみましたが、218dpiの8inch液晶はスキャン資料を綺麗に表示してくれるものの、物理的な縦寸が不足するのであくまでも「検索利用&部分確認用」といった印象です。きちんと読むための環境ならAmazon KindleやSONY readerが欲しいなぁ……。

2012年3月。第三世代iPadを購入。これでようやく表示環境が整いました。ソフトやデータの運用は手探りでまだ「すごく便利」には至っていませんが、あと一歩。

4.意外に使える名刺OCR

 オマケのようについてくる名刺OCRソフト。意外に使えます。2008年の正月に溜め込んだ名刺を読み込ませて整理してみたのですが、認識率も高く、アドレス帳が比較的楽にできあがりました。Zaurusのアドレス帳と連携させて超便利!と言いたいところなのですがOutlookを間に挟まねばならないのが玉に瑕。
 ScanSnapユーザで未体験の方はお試しあれ。人によっては名刺処理がメインの用途になり得ます。

5.こまめなお手入れが必須

 埃。埃もScanSnapの大敵です。
 ScanSnapのように原稿を動かしてスキャンする機械は、読取装置のガラスに埃が落ちただけでスキャン画像に縦線が入ってしまいます。特にカラー原稿では埃ひとつで赤・青・緑のいずれかの原色の線が引かれてしまうので目立ちます。これはもうスキャナをこまめに掃除するしか対処の方法がありません。
 原稿は(古い本であれば特に)濡れ雑巾で表紙や小口をざっと拭くのがお勧めです。裁断部も意外に細かな紙粉がついているものですし。
 スキャナの側はこまめにするのはメガネ拭きで読取部を軽く拭くだけでOK。
 紙の繊維屑は時折、掃除機でぶぃ~んと吸い、不織布に無水アルコールを垂らして読取部を拭いてやるとすっきりします。あ、でもブロアの類で空気を吹き付けるのは厳禁ゴムローラをアルコールで拭くのも厳禁

その他、気になった点

  • 紙質、紙目方向によっては縦罫線が左右に波打つことがある
  • 色つきの紙に印刷された原稿は紙の色が抜けてしまう
  • 柔らかな(厚めの)原稿や写真にはローラの痕とピックアップユニットの爪痕がつく。
  • 原稿トレイ容量50枚は雑誌や書籍の処理には足りない。

おまけ

 コクヨのCaminacsW(A3ドキュメントスキャナ)やキヤノンのimageFORMULA DR-C125など競合機種もあるようです。ScanSnapシリーズ(一覧)にもS300やS1500などの新型も登場しているようです。

おまけ2 裁断機

 PK-513LリンクはAmazonへ『500枚切れる』と売られている物リンクはAmazonへなどが個人ではメジャーでしょうか。後者はPT6176という型番らしくyoutubeに使用動画があるようです。
 私の使用しているのはDC-210NリンクはAmazonへというディスクカッター(の前モデル)ですが、裁断量が40枚(ギコギコと刃を幾度か往復させてようやくと言った感じ)と少なくて面倒。平べったいので収納性は悪くないですがけっこう大きいです。どうせ買うなら本が丸ごと一冊ざっくり裁断できる物が良さそう。

ScanSnap購入レビュー・まとめ

 溢れる本の山を電子化してスペース整理をという目的には少々荷が重いです。フラットベッドスキャナに比べれば楽ですが、やっぱり手間は手間。
 検索利用することが確実な資料の電子化にはとても役に立ちます。日々手に入れる新鮮な資料を新しいうちに電子化するのが最も効果的。明確なリターンがあるので電子化に伴う手間も惜しくなく継続できると思います。

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招き猫@豪徳寺

親猫~こけたら~♪ FinePixF10 1/75sec F3.7 14mm ISO80 -0.3EV 連休の最終日、豪徳寺の招き猫を納める棚も大盛況。すでに置き場もなくて、というわけでもありませんが大猫の頭の上にちび猫がちょこんと乗っています。

 豪徳寺は井伊直弼の墓があったり、招き猫で多少名を知られてはいますが、観光地としてはさほど有名ではないはず。なのに今年の連休は人がかなり多かったような。
 お寺に隣接する空き地に豪徳寺の駐車場を作る予定もあるようですし、都心の観光地として売り出す心づもりなのかもしれません。三重塔もその一環……かな?

恥ずかしがり屋さん FinePixF10 1/60sec F4 16mm ISO80 ちょっとシャイな黄金色の童顔招き猫。陰から覗いているのはいいけど、あんまり身を乗り出すと落っこちてしまうぞ~。

ネコ缶 FinePixF10 1/75sec F2.8 8mm ISO80 この招き猫を収める棚には時折鰹節の小分けパックやらなんやらが置かれていますが、今回はとなりの観音様の花置きにネコ缶が。

……これ、次に来たときに蓋がぱっかんと開いて中身が空っぽになっていたりして。
 ぞ~っというよりはなんだか可愛らしく思えてしまうのが招き猫。

昨年は咲かなかったような気がする豪徳寺の藤。

藤の花は蜂たちに大人気 FinePixF10 1/210sec F3.4 12mm ISO80 -0.3EV

 今年はきれいに咲きました。
 藤は気むずかし屋さんなのかな。

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『宇宙観光旅行時代の到来』水野紀男

リンクはAmazonへ宇宙観光旅行時代の到来
水野紀男
文芸社
2006.11.25
1400円

★★☆☆☆

 なんてつまらない……。
 経済の観点から宇宙が商業の場所となる可能性を示した本、なのですが、商業活動の場所となりうる要素だけをぞろぞろと列記しただけで展望もアイデアも示されず面白味がありません。ビジネス関係の本にありがちなタイプです。「ビジネスチャンスの生まれる要素はこれだけある」とビジネスライクな素っ気ない文章で材料をざっと並べてみせる。商業の場として宇宙開発を見ている人には有意義なのかもしれませんが、読み物としては箸にも棒にもかからないつまらなさ。どんな読者を想定して書かれた本なのやら。

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