『生物と無生物のあいだ』福岡伸一
生物と無生物のあいだ
福岡伸一
講談社現代新書
777円
2007.5.20
★★★☆☆
『プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー 』でとても好印象を掴んだ著者の本で今回はどんな話だろう、と期待しながら手に取りました。
野口英世の話から始まってDNA分析で使われるPCR法の話、生き物の体の構成物質がごく短いサイクルで完全に入れ替わってしまう話。「なんか関係ない話を始めたなー」と思えてもそれがしっくりとテーマに戻ってくる科学解説本では珍しい文章構成の妙を感じる語り口。この筆者はライターとしての素質があると思います。
ただし、今回はプリオンの本の時のように明確な結論のある内容ではないので、タイトルの「生物と無生物のあいだ」から連想されるような生物の定義がばしっと示されるわけではありません。「生命とは動的平衡にある流れ」という、この一文だけを見てもナニソレ?な、けれど、この本を読んでいくとナルホド!と思える生命像が見えてきます。
期待に違わぬ面白い本でした。
そうそう。この本を読むと野口英世のことについても調べてみたくなると思います。
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