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『それいぬ 正しい乙女になるために』嶽本野ばら

リンクはAmazonへそれいぬ―正しい乙女になるために
嶽本野ばら
文藝春秋
2001.3
530円

★★★★☆
※表紙画像はハードカバー版、Amazonへのリンクは文庫版です。

 少し古い本ですが、図書館から借りて読みました。

 読んでいるだけで気恥ずかしくなるような本があります。人目を憚るような内容だからではなく、読むと照れてしまうような本。嶽本野ばらの本にはどれもそんなところがありますが、このエッセイは気恥ずかしさNo.1に違いありません。
 幻想の少女性と言ったものは吉屋信子から現代のコバルト文庫に至る少女小説、あるいは少女漫画の中にまでたっぷり含まれていますが、嶽本野ばらの論じる“乙女”は少しどぎつくて、気恥ずかしくて、こてこてです。この本は現役の乙女たちよりも元少女やおじさんたちにオススメしたいかも。読んでその恥ずかしさに身悶えするのも一興です。乙女のハートを密かに隠し持つ人に。

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『よみがえる分子化石』秋山雅彦

リンクはAmazonへよみがえる分子化石―有機地質学への招待
秋山雅彦
共立出版
1995.4.1
1407円

★★★★☆

 ★★★★をつけましたが誰が読んでも面白いという類の本ではないです。

 化石成因論(タフォノミー)という学問があります。理科の教科書なんかに「化石ができるまで」なんて図解入りで、生物が死んでから土砂に埋まり、時間が経つと化石になります……みたいな説明がありますが、あの化石のできあがる過程を研究するのが化石成因論です。
 この化石成因論というジャンル、調べてみようと思っても実は非常に資料が少ないのです。英語圏の検索エンジンで"taphonomy"を調べてみても数えられるほどの論文と一、二冊の本がヒットするだけ。もちろん日本語の専門書・解説書もありません。古生物学の全集本などには化石成因論の章が必ず設けられていますが、どれも高校の理科の教科書イラストレベル。炭酸カルシウムが鉱物に置換されて~などともっともらしいことは書いてあるのですが「置換て実際にどんな化学反応が起きてるのさ」「どうして元の骨の形がきっちり残るのさ」などという疑問には答えてくれません。
 直接疑問を解決してくれる本がないなら周辺から、と言うことで化石の中の有機分子を扱う本を探してみたところ……ありました。今回紹介しているこの本。十年以上前の本ですが、私の知りたかったところの近くをかすめています。化石に対してミクロの視点で接し、時間の流れを扱うという点で化石成因論を支える柱になるはずの知識です。

 欲しかった情報に近いものが手に入ったゆえの高評価なのですが、化石全般に対して興味があります、という人でも楽しく読めると思います。数式は登場せず、化学式が少しだけ出てくる程度なので専門でなくても取っつきにくくはないはず。本来の対象読者はこれから化石研究に携わろうとする大学一年生……くらいの感じかな?

 ああ、金子隆一あたりが一冊タフォノミーの話でぎっしりの本を書いてくれるといいのにナ。

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招き猫@豪徳寺

招き猫系お煎餅屋さん FinePixF10 1/240sec F5 24mm ISO200 小田急線豪徳寺駅の北側にある商店街の一角。お菓子屋さんの店先。
 古そうな森永のアイスクリームケース。塗装は日焼けしてしまっていますが、金属部分はぴかぴかカッコイイ。年期の入ったのれんの招き猫もいい感じ。
 お菓子屋といっても駄菓子屋ではなくてお煎餅やモナカと招き猫を色々揃えているお店。

クモの卵かな? FinePixF10 1/14sec F2.8 8mm ISO200 こちらはいつもの豪徳寺の招き猫を納める棚。
 写真右寄り、どアップの猫の耳の後ろ側になにやらヒゲのような物がひょろひょろと。最初は変形菌の子実体かと思ったのですが、近くにはクモの巣が。あ~。これはもしかしてクモの卵?
 大きさはヒゲの根本から球状の先端まで3~5mm。

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『生命進化の物語』リチャード・サウスウッド

リンクはAmazonへ生命進化の物語
リチャード・サウスウッド著 垂水雄二訳
八坂書房
2940円
2007.2.20

★★☆☆☆

 リチャード・サウスウッドの名前をご存じの方もいるかもしれません。英国の狂牛病問題で少しだけ名前が出てきたことがあるので科学にはあまり関心のない人でも耳にしたことがあるかも。

 地球の創世から現代までの歴史を生命の進化に焦点を当てて解説した本で、訳者のあとがきによると大学の一年生向けの講義から作られたのがこの本だとか。確かに図版が豊富で、丁寧に解説されていてこんな授業があれば面白そうです。
 にもかかわらず評点が★★なのは文章が酷いから。翻訳もあまり良いとは思えないのですが、恐らくは元の文章自体がイマイチなのだと思います。例えば無作為にページを開いてみると

このような大型の捕食者の存在から、食物連鎖が引き延ばされ、ひょっとしたら、ほぼ極限の五段階のリンクにまで達していたかもしれないと考えられる。

『生命進化の物語』P80より)

 こんな文章が目に飛び込んできます。「ひょっとしたら~かもしれないと考えられる」ってどれだけあやふやなんだ、と笑いがこぼれます。
 接続詞の使い方もちぐはぐで、「したがって」で始まる文において、前の文との論理の繋がりがあやしかったりするのも当たり前。具体例を挙げだしたらきりが無さそうな悪文です。生命史の要所とも言える部分が的確にピックアップされ、わかりやすい丁寧な解説図が大量に付されているだけに、読みにくく、頭にすんなりと入ってこない文章がとても残念です。
 内容はいいのに……。

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ZauBunko

http://www.geocities.jp/hqb03254/zaubunko.htmlにてZauBunkoなるSL Zaurusのアプリが公開されておりました。Zaurusの新しい話題は久々。

ZauBunko 早速試してみました。
 左はスクリーンショット。

 ふむふむ。青空文庫とZaurusのブンコビューワの橋渡しをするソフトのようです。いちいちwebブラウザを使わなくても青空文庫から作家一覧・作品一覧を取得して、収録作品を落としてこられる……iTuneみたいな役割を果たすようです。
 いいじゃ~ん。
 本来はブンコビューワがこの機能を内蔵していて然るべきなのに、ブンコビューワはC1000を購入して以来一度もバージョンアップしていません。
 そういえばブンコビューワはSharpSpaceTownブックからも直接買い物できないんですよね。Sharpはハードとコンテンツ販売サイトの両方を持っているのに、iTuneというお手本が登場して数年経つのに、真似さえもしない地味な運営……。

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招き猫@豪徳寺

掃除中 FinePixF10 1/60sec F2.8 8mm ISO80 -0.3EV 立ち寄った豪徳寺は掃除中でした。
 招き猫の棚も掃除の途中らしくこんな感じ。割としょっちゅう覗きに行っていますが、招き猫の棚の掃除の最中に出くわしたのは初めてかも。清掃用具が点々としています。

20070706_01 銅で葺かれた屋根の雨だれの落ちる所に座っていたせいか顔が緑青色に。どことなくお岩さん風?
 そういえば猫の写真集の中で豪徳寺のこの石柱に(無理矢理?)座らせられた本物の猫の写真がありました。お寺の中で猫を見かけるのは門近くの花屋さんと、お墓の方の人を寄せ付けない猫だけだったりします。
 招き猫のお寺ではあっても猫のお寺ではない感じ。

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