『生命進化の物語』リチャード・サウスウッド
生命進化の物語
リチャード・サウスウッド著 垂水雄二訳
八坂書房
2940円
2007.2.20
★★☆☆☆
リチャード・サウスウッドの名前をご存じの方もいるかもしれません。英国の狂牛病問題で少しだけ名前が出てきたことがあるので科学にはあまり関心のない人でも耳にしたことがあるかも。
地球の創世から現代までの歴史を生命の進化に焦点を当てて解説した本で、訳者のあとがきによると大学の一年生向けの講義から作られたのがこの本だとか。確かに図版が豊富で、丁寧に解説されていてこんな授業があれば面白そうです。
にもかかわらず評点が★★なのは文章が酷いから。翻訳もあまり良いとは思えないのですが、恐らくは元の文章自体がイマイチなのだと思います。例えば無作為にページを開いてみると
このような大型の捕食者の存在から、食物連鎖が引き延ばされ、ひょっとしたら、ほぼ極限の五段階のリンクにまで達していたかもしれないと考えられる。
『生命進化の物語』P80より)
こんな文章が目に飛び込んできます。「ひょっとしたら~かもしれないと考えられる」ってどれだけあやふやなんだ、と笑いがこぼれます。
接続詞の使い方もちぐはぐで、「したがって」で始まる文において、前の文との論理の繋がりがあやしかったりするのも当たり前。具体例を挙げだしたらきりが無さそうな悪文です。生命史の要所とも言える部分が的確にピックアップされ、わかりやすい丁寧な解説図が大量に付されているだけに、読みにくく、頭にすんなりと入ってこない文章がとても残念です。
内容はいいのに……。
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