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『宇宙エレベーター こうして僕らは宇宙とつながる』アニリール・セルカン

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アニリール・セルカン
大和書房
2006.7.10
2100円

★★★☆☆

 おもしろかったのかおもしろくなかったのか。評価に困る本でした。

 タイトルを見て「軌道エレベータの本だ」と早合点したのですが、読んでみると軌道エレベータの話はほんのちょっぴり。文章はとても丁寧ですが、掴み所のない感じです。分類するならば科学エッセイになるはずなのですが、対象読者がよくわからない。

 しばらく読み進めてふと思いました。翻訳者は誰なんだろう、と。著者表記がカタカナですし、本文中にはトルコ人とあります。ところが本の奥付を見ても、後書きを見ても翻訳者名が出てきません。むむむ、とさらに読み進めるとどうやらこの著者は日本で研究中で日本語もばっちりなようです。
 経歴がすごいです。
 ドイツ生まれのトルコ人でドイツ、スイスで育ち、アメリカで建築を学び、数学の講師をし、建築学の修士を取り、東大で博士、JAXAで宇宙構造物の講師を、トルコ人初のNASA宇宙飛行士候補……と波瀾万丈。本の内容も経歴以上に幅広く、宇宙エレベータをはじめ宇宙論やらシュメールの石盤やら多彩です。

 その幅広さが災いしてか、本全体で纏まりが無くなってしまっているようで、自分は今なんの本を読んでいるのだろう、と迷子の気分に。

 追記。アニリール・セルカン氏は経歴詐称と捏造論文で問題となってしまいました。そうなった今、この本はどのように見えるでしょうか。

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