『「退化」の進化学』犬塚則久
「退化」の進化学
犬塚則久
講談社ブル-バックス
2007.12.20
861円
★★★★☆
本書一冊を通して何か訴えたかったこと、伝えたかった大きなことがあったわけではなさそうだけれど、サブタイトルの「ヒトにのこる進化の足跡」という内容をしっかり伝えてくれた本。
解剖学用語がずらずら並びます。巻末の参考文献もさくいんもけっこうなボリュームです。トンデモがしばしば紛れているブルーバックスだから、と高をくくるとぎゃふんとなります。でも大丈夫。豊富な図解をじっくり見返しながら「えーと、腓骨(ひこつ)がこれで脛骨(けいこつ)がこれで……と追いかければ理解するのに苦労はしないはず。単語がちょっと見慣れない程度ですが、専門用語が使われるのは骨や筋の名前がほとんど。特殊な概念や数式、化学式は登場しないので文面をパッと見た印象よりもとっつきは良いはず。
ヒトの体には原始的な痕跡も、進化の先端と思われる形質も同居していて、それが人それぞれ違うという話を体中至る所に残る痕跡器官を例にこれでもかと言うほど並べます。最初から最後までそれだけ。でも、読んでいるとなぜか楽しい。
知識の楽しみが得られる本だと思います。
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