『DarkSeed3』紺野キタ
Dark Seed 3
紺野キタ
幻冬舎コミックス (バーズコミックス ガールズコレクション)
2008.3.24
619円
★★★★☆
紺野キタの『Dark Seed』シリーズ待望の最終刊。神保町へ出張り、『Dark Seed 3』を購入して紅茶専門店TAKANOへ。サングマの2ndフラッシュを味わいつつ読んできました。TAKANOの紅茶はやっぱりおいしい……。
早速『Dark Seed 3』の感想。
ネタバレなしです。
ああ、いい話じゃないですか。
一巻から読み返して改めてそう感じます。
派手ではないけれど奥行きたっぷりに構築された世界。主人公であるセレストの成長。物語冒頭から最後までを貫く綿密なプロット。最終刊の結末で物語は収まる所へきっちり収まってます。クリスとセレストの関係は二巻ですでに落ちついた観がありますが、セレストとアルジー、リジーとクレアと主要な人物の関係も納得の行く形に辿り着きます。
読み終えて面白かった、良かったと思う半面、ちょっときれいに片付きすぎたかな?とも思います。指輪物語のような屍山血河のハデな話にならなかったのは登場人物たちが若い(中学生になるかならないか)設定のためでしょうか。紺野キタの物語の優しさを感じさせた部分は、世界の枠をも壊しかねない話の落着としてはインパクトの弱さに繋がった気もします。でもこの心地良い読後感はバタバタと人死にが出る話では出ないですね。
魔法ファンタジーである一方、このお話は恋物語でもあります。
ところが、主人公であるセレストがボクネンジン体質である上にさばさばした気質なもので紺野キタが得意とするしっとりとした静かな空気感を纏ってくれず、三巻で恋愛的に盛り上がるべきシーンが淡々と感じられたかも。なんというかアルジーとセレストの情緒面って『小さな恋のメロディ』くらいの年齢な印象でした。盛り上がるというよりもほのぼの。アルジーの側は王子様体質なので幻想的な雰囲気の恋物語も醸せたかもしれないけどセレストが相手では無理というもの。ああ、青春ってなんてじれったいんだろう。
剣を振り回すような活劇要素は薄いですが、じっくり読めるお話。読み終えたときには紺野キタ的に構築されたファンタジーの世界にほうっと満足の溜息がつけるのではないかと思います。
単なる独白なのですが「相手はエルフィンウッドの魔女だぜ」というケリーのセリフがなぜかとても嬉しかったり。
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